野球少年、野球少女のお父さん、お母さん、そして少年野球指導者の皆さんにとって役に立つ、勉強になる野球の本を紹介します。
今回紹介するのは、コンディショニングコーチとして近鉄バファローズや千葉ロッテマリーンズ、元ニューヨークメッツ などで活躍された立花龍司さんの『最新! メジャー流 野球コーチング術 投打の基本と、折れない心と体の作り方』(竹書房)です。
中学時代にはボーイズリーグの日本代表に選ばれた経験もある立花さんの著書から一部をご紹介します。
ピッチャーが試合でストライクが入らなくなってしまうのは、肉体的、技術的な問題よりも、精神的な部分が原因の大半を占めていると思います。
私は社会人野球チームのトレーニング指導もしていますが、昔、こんなピッチャーがいました。
彼は150キロのストレートを投げる本格派で、大学時代は1年生の頃からドラフト候補となり、1〜2年生の頃は公式戦にもよく登板していました。
しかし、ストレートは速いけれどもストライクが入らず、フォアボールが多いということで、3年生以降はリリーフに回ることが多くなりました。
リリーフに回ってもコントロールは一向によくならず、代わりっぱなの先頭打者にフォアボールを与えると、そこでピッチャー交代という使われ方をしたため、プレッシャーによってさらにコントロールを悪くするという悪循環に陥ってしまいました。
その後もコントロールはよくならず、結局念願のプロ野球からは声がかからず、彼は社会人野球チームに進みました。
入部早々、彼は先発で起用されることが決まりました。私は大学時代の彼を知っていたため、監督に「彼はコントロールを乱すことがありますが、フォアボールを連発したからといって、ピッチャーをすぐに代えるような使い方はしないでください」と助言し、さらにこう付け加えました。
「彼には『5回までに3点取られてもいい。3点までは交代もないから思い切り投げろ』と言ってあげてください」と。
すると彼はフォアボールのプレッシャーから解放されたのか、大学時代とは見違えるようなピッチングを度々見せるようになりました。
これは少年野球にも言えることだと思いますが、初回から「フォアボールを出すな」と言われたら、誰だって「フォアボールは出してはいけない」と硬くなります。
ストライクが入らないピッチャーがいたら、フォアボールを意識させるのではなく、「3回までは3点で抑えよう。それができればナイスピッチングだ」と視点を変えて、激励してあげればいいのです。
「3点で抑えればいいのか」と考え方を切り替えたピッチャーは、仮に先頭打者にフォアボールを与え、その後1点取られたとしても「まだ2点余裕がある」と気持ちを切り替えることができます。
練習でストライクは入るのに、試合でストライクが入らなくなるピッチャーには、とにかく”フォアボール”を意識させないことが重要です。
「勝たなければいけない」
「フォアボールを出してはいけない」
そんなプレッシャーから解放してあげることが、指導者が第一にするべきことだと言っていいでしょう。
【ポイント】
試合で突如コントロールを乱すピッチャーは、精神的に余裕がない。そんな選手には「四球を出すな」ではなく「○点以内で抑えよう」と言う。四球を意識させないことが重要
■内容紹介■
日米でこんなに違う野球の指導法!
日本「高目は絶対に手を出すな!」
アメリカ「低目は高目より圧倒的に打率が高いから、チーム一丸で低目を狙っていこう!」
どちらが、いい結果を生むでしょうか?
本書では、日本人初のメジャーリーグのコーチとして、ニューヨーク・メッツに入団した立花龍司氏が、日米の野球の指導法を比較しながら、メジャー流のコーチング術と投打の基本について、最先端のテクニックを伝授している。
ちなみに、冒頭の問題は、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1・25倍も速くなるという研究結果がある。 コマンド(命令)だった「○○しろ」が動機付けによってミッション(与えられた任務)となり、そのミッションをみんなで推し進めることによってそこにパッション(情熱)が生まれ、いろんな工夫や知恵が出てくるのだ。
イチローやダルビッシュ有、名将ボビー・バレンタイン監督ら、メジャーで活躍する選手や監督とのエピソードも数多く交えながら、いま最先端とされるピッチング、バッティング理論とコーチング術、さらには、ケガしないための体作り等を写真と図解で分かりやすく解説。可愛い息子さんや教え子が、心も体も折れることなく、少しでも長く野球をプレーできるようになるための知恵と知識がいっぱい詰まった一冊。
今回紹介するのは、コンディショニングコーチとして近鉄バファローズや千葉ロッテマリーンズ、元ニューヨークメッツ などで活躍された立花龍司さんの『最新! メジャー流 野球コーチング術 投打の基本と、折れない心と体の作り方』(竹書房)です。
中学時代にはボーイズリーグの日本代表に選ばれた経験もある立花さんの著書から一部をご紹介します。
練習ではいいのに試合ではダメなピッチャーの意識改革
ピッチャーが試合でストライクが入らなくなってしまうのは、肉体的、技術的な問題よりも、精神的な部分が原因の大半を占めていると思います。
私は社会人野球チームのトレーニング指導もしていますが、昔、こんなピッチャーがいました。
彼は150キロのストレートを投げる本格派で、大学時代は1年生の頃からドラフト候補となり、1〜2年生の頃は公式戦にもよく登板していました。
しかし、ストレートは速いけれどもストライクが入らず、フォアボールが多いということで、3年生以降はリリーフに回ることが多くなりました。
リリーフに回ってもコントロールは一向によくならず、代わりっぱなの先頭打者にフォアボールを与えると、そこでピッチャー交代という使われ方をしたため、プレッシャーによってさらにコントロールを悪くするという悪循環に陥ってしまいました。
その後もコントロールはよくならず、結局念願のプロ野球からは声がかからず、彼は社会人野球チームに進みました。
入部早々、彼は先発で起用されることが決まりました。私は大学時代の彼を知っていたため、監督に「彼はコントロールを乱すことがありますが、フォアボールを連発したからといって、ピッチャーをすぐに代えるような使い方はしないでください」と助言し、さらにこう付け加えました。
「彼には『5回までに3点取られてもいい。3点までは交代もないから思い切り投げろ』と言ってあげてください」と。
すると彼はフォアボールのプレッシャーから解放されたのか、大学時代とは見違えるようなピッチングを度々見せるようになりました。
これは少年野球にも言えることだと思いますが、初回から「フォアボールを出すな」と言われたら、誰だって「フォアボールは出してはいけない」と硬くなります。
ストライクが入らないピッチャーがいたら、フォアボールを意識させるのではなく、「3回までは3点で抑えよう。それができればナイスピッチングだ」と視点を変えて、激励してあげればいいのです。
「3点で抑えればいいのか」と考え方を切り替えたピッチャーは、仮に先頭打者にフォアボールを与え、その後1点取られたとしても「まだ2点余裕がある」と気持ちを切り替えることができます。
練習でストライクは入るのに、試合でストライクが入らなくなるピッチャーには、とにかく”フォアボール”を意識させないことが重要です。
「勝たなければいけない」
「フォアボールを出してはいけない」
そんなプレッシャーから解放してあげることが、指導者が第一にするべきことだと言っていいでしょう。
【ポイント】
試合で突如コントロールを乱すピッチャーは、精神的に余裕がない。そんな選手には「四球を出すな」ではなく「○点以内で抑えよう」と言う。四球を意識させないことが重要
■内容紹介■
日米でこんなに違う野球の指導法!
日本「高目は絶対に手を出すな!」
アメリカ「低目は高目より圧倒的に打率が高いから、チーム一丸で低目を狙っていこう!」
どちらが、いい結果を生むでしょうか?
本書では、日本人初のメジャーリーグのコーチとして、ニューヨーク・メッツに入団した立花龍司氏が、日米の野球の指導法を比較しながら、メジャー流のコーチング術と投打の基本について、最先端のテクニックを伝授している。
ちなみに、冒頭の問題は、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1・25倍も速くなるという研究結果がある。 コマンド(命令)だった「○○しろ」が動機付けによってミッション(与えられた任務)となり、そのミッションをみんなで推し進めることによってそこにパッション(情熱)が生まれ、いろんな工夫や知恵が出てくるのだ。
イチローやダルビッシュ有、名将ボビー・バレンタイン監督ら、メジャーで活躍する選手や監督とのエピソードも数多く交えながら、いま最先端とされるピッチング、バッティング理論とコーチング術、さらには、ケガしないための体作り等を写真と図解で分かりやすく解説。可愛い息子さんや教え子が、心も体も折れることなく、少しでも長く野球をプレーできるようになるための知恵と知識がいっぱい詰まった一冊。