ニュース 2019.11.26. 12:05

少年野球界も学びたい、ラグビー界の「自分で問題解決できる選手を作る」風土



ラグビー側から見た野球の魅力


最後に川合さんに「野球界から学ぶこと、うらやましいなと思うこと」を聞いてみました。
今回ラグビーが「心に響くスポーツ」、「尊敬されるスポーツ」として脚光を浴びましたが、野球界にも参考にできる点や、価値を見直すべき点があるのではないでしょうか。「ラグビー側から見た野球の魅力」とは?

川合さん「プロ野球は、あれだけ試合数ができて選手たちが多くの報酬を得られるのが魅力的ですよね。ラグビーもプロ化に向けて動いていますが、あれだけお金を作り出せるスポーツってないですよね、夢があります。それから子どもたちにとっては『野球をやりたい』って思ったときに、地域に野球クラブがたくさんあるのがうやましいですね。
また、世の中の人の多くが野球のルールを知っていますから、見ている人がその子の頑張りを理解しやすいですよね。ホームランとかファインプレーとかすごいって思うじゃないですか。ラグビーは何がすごいのかよくわからないから、結構見慣れないとわからないんですよね。

それから、野球は打率とか、数字で結果が目に見やすい。目標設定がしやすいのがいいと思います。レギュラーを決めるときがそうですね。僕らも客観性を重視しますがレギュラー決めがシビアになってきたときに、打率のようなデータがあるわけじゃない。そういうところで野球はわかりやすくていいなと思います。ライバル争いでも、下級生のほうが数字がよければ使ってもらえますしね。メンバーから外れた子どもに対して、きちんと数字で理由が言える。そこもいいところだと思います。さらに、個人プレーとチームプレーの両方を、子どもたちが経験できることも魅力ではないでしょうか。」

かつてはラグビーも選手を型にはめて監督の指示通りに動く“コマ”で戦った時代がありました。しかしそれでは国際舞台では勝てない、その方法では限界があると気づいたそうです。「ラグビーで身につけたヒューマンスキルを社会人になったときに生かす。社会貢献できる人材を作る」という大きな目的のもと、川合さんは「プレーヤーとして世界で戦う者、それか社会に貢献できる者、どっちかを将来、生徒たちが達成できればいいと思ってます」と話します。
関係者が長年貫き通してきた情熱によって、今回のラグビーW杯の成功が教えてくれたもの。スポーツ界全体で、もう一度考えてみるといいかもしれません。(取材:樫本ゆき)

プロフィール
川合レオ(かわい・れお)
一般社団法人ラグビーパークジャパン代表理事/メインコーチ
1974年、神奈川県生まれ。45歳。玉川学園高等部から玉川大学でセンターとして活躍。。大学3年のときにニュージーランドに1年留学。卒業後、NECグリーンロケッツに入部。日本代表としてフランス、アイルランド遠征に参加(キャップ1)。2002年日本選手権優勝。2003年社会人大会優勝後、引退。筑波大学大学院体育研究科卒。2010年よりJRFU普及育成委員会コーチング部門長として現在に至る。

ラグビーパークアカデミーHP https://www.rugbypark.jp

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