野球少年、野球少女のお父さん、お母さん、そして少年野球指導者の皆さんにとって役に立つ、勉強になる野球の本を紹介します。
今回紹介するのは、コンディショニングコーチとして近鉄バファローズや千葉ロッテマリーンズ、元ニューヨークメッツ などで活躍された立花龍司さんの『最新! メジャー流 野球コーチング術 投打の基本と、折れない心と体の作り方』(竹書房)です。
中学時代にはボーイズリーグの日本代表に選ばれた経験もある立花さんの著書から一部をご紹介します。
「○○しよう」がポジティブな考えで、「○○するな」はネガティブな考えです。
ポジティブシンキングによって積極的なモノの捉え方、考え方のできる人は、必ず「なりたい自分」や「やりたいこと」を持っています。
ポジティブな人が、いつも「○○しよう」「○○のようになりたい」という気持ちで行動を起こすのに対し、ネガティブシンキングの人は「なりたくない自分」をいつも先に考えてしまいます。
「○○したくない」
「○○のようにはなりたくない」
「○○してはダメだ」
ネガティブな人は、このようについつい否定的に物事を考えてしまうのです。
ネガティブさというものは、ポジティブさより人から人へ伝わる力がとても強いです。チーム内にネガティブな考え方をする人がいれば、それは徐々に人から人へと伝わっていき、やがてポジティブな人までネガティブな考え方にしてしまいます。
そしてこれは意外に知られていないのですが、監督やコーチといった指導者がチーム内にネガティブな思考を広めていることが多いので、チームを勝利に導きたいのであれば、指導者の方々には十分に気をつけていただきたいと思います。
それではここで、指導者が思わず言ってしまいがちな「ネガティブな指示」をいくつかご説明しましょう。
これは、実際にあったプロ野球の話です。
相手チームのエースピッチャーは速球派で、自チームの打線は高目の速球に手を出し、空振り三振をしたり、ポップフライを打ち上げたりと、いつもいいように手玉に取られていました。
業を煮やした監督は、このエースピッチャーと対戦したある日、チームの選手たちに言いました。
「おまえらいいか、高めのボールに絶対に手を出すな」
監督が明確な指示を出したものの、選手たちは相変わらず高めのボールを振りにいったり、止めたバットに当てて凡打にしたりと同じようなことを繰り返しています。
それを見ていた監督は、烈火のごとく怒り始めました。
「おまえら、俺の言うことが聞けないの!高めには手を出すなって言ってるだろ!」
すると今度は、凡打ではなく、見逃し三振が増えていきました。
これは、「○○するな」というネガティブな指示を、さらに強めた結果だと考えられます。選手たちの中から積極性が失われ、消極的になった結果、バットが振れなくなり、見逃し三振が増えてしまったのです。
私の研究結果でも出ているのですが、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1.25倍も速くなることが分かっています。
では、先述した監督はどのように選手たちに指示すればよかったのでしょうか。
当然、指導者は選手に対して「○○していこう」というポジティブな言い方にしなければいけませんから、この場合だとこうなります。
「ベルトから下の低めのゾーンを積極的に狙っていこう」
【ポイント】
打者に「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、後者の方が1.25倍も速くなる。指導者は常に「○○していこう」と言うべし。
■内容紹介■
日米でこんなに違う野球の指導法!
日本「高目は絶対に手を出すな!」
アメリカ「低目は高目より圧倒的に打率が高いから、チーム一丸で低目を狙っていこう!」
どちらが、いい結果を生むでしょうか?
本書では、日本人初のメジャーリーグのコーチとして、ニューヨーク・メッツに入団した立花龍司氏が、日米の野球の指導法を比較しながら、メジャー流のコーチング術と投打の基本について、最先端のテクニックを伝授している。
ちなみに、冒頭の問題は、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1・25倍も速くなるという研究結果がある。 コマンド(命令)だった「○○しろ」が動機付けによってミッション(与えられた任務)となり、そのミッションをみんなで推し進めることによってそこにパッション(情熱)が生まれ、いろんな工夫や知恵が出てくるのだ。
イチローやダルビッシュ有、名将ボビー・バレンタイン監督ら、メジャーで活躍する選手や監督とのエピソードも数多く交えながら、いま最先端とされるピッチング、バッティング理論とコーチング術、さらには、ケガしないための体作り等を写真と図解で分かりやすく解説。可愛い息子さんや教え子が、心も体も折れることなく、少しでも長く野球をプレーできるようになるための知恵と知識がいっぱい詰まった一冊。
今回紹介するのは、コンディショニングコーチとして近鉄バファローズや千葉ロッテマリーンズ、元ニューヨークメッツ などで活躍された立花龍司さんの『最新! メジャー流 野球コーチング術 投打の基本と、折れない心と体の作り方』(竹書房)です。
中学時代にはボーイズリーグの日本代表に選ばれた経験もある立花さんの著書から一部をご紹介します。
「○○しよう」がポジティブな考えで、「○○するな」はネガティブな考えです。
ポジティブシンキングによって積極的なモノの捉え方、考え方のできる人は、必ず「なりたい自分」や「やりたいこと」を持っています。
ポジティブな人が、いつも「○○しよう」「○○のようになりたい」という気持ちで行動を起こすのに対し、ネガティブシンキングの人は「なりたくない自分」をいつも先に考えてしまいます。
「○○したくない」
「○○のようにはなりたくない」
「○○してはダメだ」
ネガティブな人は、このようについつい否定的に物事を考えてしまうのです。
ネガティブさというものは、ポジティブさより人から人へ伝わる力がとても強いです。チーム内にネガティブな考え方をする人がいれば、それは徐々に人から人へと伝わっていき、やがてポジティブな人までネガティブな考え方にしてしまいます。
そしてこれは意外に知られていないのですが、監督やコーチといった指導者がチーム内にネガティブな思考を広めていることが多いので、チームを勝利に導きたいのであれば、指導者の方々には十分に気をつけていただきたいと思います。
それではここで、指導者が思わず言ってしまいがちな「ネガティブな指示」をいくつかご説明しましょう。
これは、実際にあったプロ野球の話です。
相手チームのエースピッチャーは速球派で、自チームの打線は高目の速球に手を出し、空振り三振をしたり、ポップフライを打ち上げたりと、いつもいいように手玉に取られていました。
業を煮やした監督は、このエースピッチャーと対戦したある日、チームの選手たちに言いました。
「おまえらいいか、高めのボールに絶対に手を出すな」
監督が明確な指示を出したものの、選手たちは相変わらず高めのボールを振りにいったり、止めたバットに当てて凡打にしたりと同じようなことを繰り返しています。
それを見ていた監督は、烈火のごとく怒り始めました。
「おまえら、俺の言うことが聞けないの!高めには手を出すなって言ってるだろ!」
すると今度は、凡打ではなく、見逃し三振が増えていきました。
これは、「○○するな」というネガティブな指示を、さらに強めた結果だと考えられます。選手たちの中から積極性が失われ、消極的になった結果、バットが振れなくなり、見逃し三振が増えてしまったのです。
私の研究結果でも出ているのですが、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1.25倍も速くなることが分かっています。
では、先述した監督はどのように選手たちに指示すればよかったのでしょうか。
当然、指導者は選手に対して「○○していこう」というポジティブな言い方にしなければいけませんから、この場合だとこうなります。
「ベルトから下の低めのゾーンを積極的に狙っていこう」
【ポイント】
打者に「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、後者の方が1.25倍も速くなる。指導者は常に「○○していこう」と言うべし。
■内容紹介■
日米でこんなに違う野球の指導法!
日本「高目は絶対に手を出すな!」
アメリカ「低目は高目より圧倒的に打率が高いから、チーム一丸で低目を狙っていこう!」
どちらが、いい結果を生むでしょうか?
本書では、日本人初のメジャーリーグのコーチとして、ニューヨーク・メッツに入団した立花龍司氏が、日米の野球の指導法を比較しながら、メジャー流のコーチング術と投打の基本について、最先端のテクニックを伝授している。
ちなみに、冒頭の問題は、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1・25倍も速くなるという研究結果がある。 コマンド(命令)だった「○○しろ」が動機付けによってミッション(与えられた任務)となり、そのミッションをみんなで推し進めることによってそこにパッション(情熱)が生まれ、いろんな工夫や知恵が出てくるのだ。
イチローやダルビッシュ有、名将ボビー・バレンタイン監督ら、メジャーで活躍する選手や監督とのエピソードも数多く交えながら、いま最先端とされるピッチング、バッティング理論とコーチング術、さらには、ケガしないための体作り等を写真と図解で分かりやすく解説。可愛い息子さんや教え子が、心も体も折れることなく、少しでも長く野球をプレーできるようになるための知恵と知識がいっぱい詰まった一冊。