11月30日、12月1日と7日の3日間にわたって第15回タイガースカップが阪神甲子園球場で行われた。サブタイトルが『中学硬式野球・関西No.1決定戦』となっていることからも分かるように、関西エリアのリトルシニア、ボーイズリーグ、ヤングリーグが参加しており、中学硬式野球ではトップレベルの大会の一つである。過去には東妻勇輔(和歌山興紀ボーイズ→智弁和歌山→日本体育大→ロッテ)や中川卓也(大阪福島リトルシニア→大阪桐蔭→早稲田大)などもこの大会で大活躍を見せている。そんな大会だけあってスタンドには多くの高校野球関係者の姿もあった。そんなタイガースカップの準決勝、決勝の計3試合で光った未来のスター候補について紹介したい。
【決勝】
五條リトルシニア0-4兵庫伊丹ヤング
【準決勝】
兵庫伊丹ヤング3-1桜井リトルシニア
関メディベースボール学院ヤング2-9五條リトルシニア(5回コールド)
2年ぶり2度目の優勝を飾った兵庫伊丹ヤングは準決勝で溝部大地(2年・投手・165cm・52kg・左投左打)が自責点0の1失点完投、決勝戦では福島健晟(2年・投手・168cm・65kg・右投右打)が2安打完封と安定した守りで見事に連戦を勝ち抜いた。
ともにスピードは110キロ台後半だが、丁寧に低めを突くピッチングが光る。特に準決勝で完投した溝部は肘の使い方が上手く、バランスの良さも目立った。体の成長とともにスケールアップが期待できそうだ。
最優秀選手には決勝戦で4安打を放った森澤拓海(2年・遊撃手・167cm・64kg・右投左打)が輝いたが、他の野手も好素材が目についた。
トップバッターの岩本聖冬生(いぶき・2年・左翼手・165cm・60kg・左投左打)は俊足巧打のリードオフマン。準決勝では第1打席から四球、ライト前ヒットで出塁してチャンスを作り、第4打席のショートゴロでは一塁到達4.01秒をマークした。これは高校生でも十分俊足のレベルである。少し体の近くにバットを近づける独特の構えだがタイミングをとる無駄な動きがなく、広角に打ち分ける上手さも光った。
準決勝は4番、決勝は5番に入った太鼓地優希(2年・右翼手・173cm・65kg・左投左打)は強打者タイプの左バッター。大きな構えでゆったりとタイミングをとり、力みなく強く振り切ることができている。2試合でヒットは1本に終わったが、凡打でも鋭い当たりが目立った。高校レベルでも早くから対応できそうな雰囲気は十分だ。
準決勝の第1試合で敗れた桜井リトルシニアでは長岡真一郎(2年・1番・捕手・170cm・70kg・右投右打)の強肩が目立った。捕手らしいがっちりした体格で、地肩だけでなくフットワークも良く、イニング間のセカンド送球では最速2.08秒をマーク。順調に成長すれば中学在学中に1.9秒台をマークするようになるだろう。
強打が光ったのが関メディベースボール学院ヤングの4番に座った勝本大智(2年・一塁手・178cm・79kg・右投右打)だ。プロフィールからも分かるように体格は既に高校生のようで、パワーも申し分ない。相手の厳しいマークにあいながらも3打席で2打数2安打1打点1四球と4番の役割を果たし、大敗したチームの中で健闘を見せた。打つ以外のプレーが平凡なのは残念だが、パワーだけに頼らずに打撃技術に磨きをかけていけば面白い存在になりそうだ。
決勝で敗れた五條リトルシニアでは3番に入った砥出隼介(2年・右翼手・174cm・58kg・右投右打)が攻守に目立った。まだまだ体は細いものの、リストの強いバッティングで準決勝ではセンターオーバーのスリーベースを放った。ヘッドの走らせ方が良く、体が大きくなれば飛距離ももっと出るようになるだろう。
中学2年の冬ということもあって現時点で将来を見極めるのは難しいが、今後が楽しみな選手は少なくなかった。今回取り上げた選手もそうでない選手もここから更に成長を遂げて、高校でも甲子園を沸かせるようなスターになってくれることを期待したい。(取材・写真:西尾典文)
【決勝】
五條リトルシニア0-4兵庫伊丹ヤング
【準決勝】
兵庫伊丹ヤング3-1桜井リトルシニア
関メディベースボール学院ヤング2-9五條リトルシニア(5回コールド)
2年ぶり2度目の優勝を飾った兵庫伊丹ヤングは準決勝で溝部大地(2年・投手・165cm・52kg・左投左打)が自責点0の1失点完投、決勝戦では福島健晟(2年・投手・168cm・65kg・右投右打)が2安打完封と安定した守りで見事に連戦を勝ち抜いた。
ともにスピードは110キロ台後半だが、丁寧に低めを突くピッチングが光る。特に準決勝で完投した溝部は肘の使い方が上手く、バランスの良さも目立った。体の成長とともにスケールアップが期待できそうだ。
最優秀選手には決勝戦で4安打を放った森澤拓海(2年・遊撃手・167cm・64kg・右投左打)が輝いたが、他の野手も好素材が目についた。
トップバッターの岩本聖冬生(いぶき・2年・左翼手・165cm・60kg・左投左打)は俊足巧打のリードオフマン。準決勝では第1打席から四球、ライト前ヒットで出塁してチャンスを作り、第4打席のショートゴロでは一塁到達4.01秒をマークした。これは高校生でも十分俊足のレベルである。少し体の近くにバットを近づける独特の構えだがタイミングをとる無駄な動きがなく、広角に打ち分ける上手さも光った。
準決勝は4番、決勝は5番に入った太鼓地優希(2年・右翼手・173cm・65kg・左投左打)は強打者タイプの左バッター。大きな構えでゆったりとタイミングをとり、力みなく強く振り切ることができている。2試合でヒットは1本に終わったが、凡打でも鋭い当たりが目立った。高校レベルでも早くから対応できそうな雰囲気は十分だ。
準決勝の第1試合で敗れた桜井リトルシニアでは長岡真一郎(2年・1番・捕手・170cm・70kg・右投右打)の強肩が目立った。捕手らしいがっちりした体格で、地肩だけでなくフットワークも良く、イニング間のセカンド送球では最速2.08秒をマーク。順調に成長すれば中学在学中に1.9秒台をマークするようになるだろう。
強打が光ったのが関メディベースボール学院ヤングの4番に座った勝本大智(2年・一塁手・178cm・79kg・右投右打)だ。プロフィールからも分かるように体格は既に高校生のようで、パワーも申し分ない。相手の厳しいマークにあいながらも3打席で2打数2安打1打点1四球と4番の役割を果たし、大敗したチームの中で健闘を見せた。打つ以外のプレーが平凡なのは残念だが、パワーだけに頼らずに打撃技術に磨きをかけていけば面白い存在になりそうだ。
決勝で敗れた五條リトルシニアでは3番に入った砥出隼介(2年・右翼手・174cm・58kg・右投右打)が攻守に目立った。まだまだ体は細いものの、リストの強いバッティングで準決勝ではセンターオーバーのスリーベースを放った。ヘッドの走らせ方が良く、体が大きくなれば飛距離ももっと出るようになるだろう。
中学2年の冬ということもあって現時点で将来を見極めるのは難しいが、今後が楽しみな選手は少なくなかった。今回取り上げた選手もそうでない選手もここから更に成長を遂げて、高校でも甲子園を沸かせるようなスターになってくれることを期待したい。(取材・写真:西尾典文)