最後に子ども達からの悩みや質問を斎藤コーチ、現役選手が答えるコーナーを実施。中学生のレベルについていけないかもしれないという悩みについては、直前までメジャーでプレーしていた牧田投手からチャレンジすることの大切さ、楽しさなどが、キャプテンをしていてチームをどうまとめれば良いか悩んでいるという質問に対してはベテランの福留選手から言いにくいことを言うことと、上から目線にならずに同じ目線で話すことの重要性などが語られた。
今回のイベントは吉本興業のある社員の子どもが、野球チームに入っていたのに馴染めずに辞めてしまったことを野球好きの芸人に相談したことがきっかけとのこと。あれよあれよという間に話がまとまり、元メジャーリーガーが三人も参加する豪華なイベントとなった。
普通の野球教室と違うのは、やはりトークのプロである吉本興業の芸人も参加しているということ。子どもへの指導の際にも所々で笑いのネタを提供し、参加した選手達もそれに対して楽しみながら対応していた。特に精力的に声を出していたのは斎藤コーチ。とにかく野球は失敗するスポーツであり、それに対して落ち込む必要はなく、次に同じ失敗をしないように努力することが大切だと繰り返し話す姿が印象的だった。
吉本興業がマネジメント契約をしているスポーツ選手は少なくないが、このような形でのコラボレーションは初めての試みだという。自身も高校時代に静岡県内で好投手として知られていたトータルテンボスの藤田憲右さんも、現在の少年野球を取り巻く環境を危惧しており、これからもこのような取り組みをどんどん実施していきたいと話していた。また参加した子どもからは、野球選手だけでなく芸人と話ができて楽しかったという声も聞かれた。こういう形で野球が他の分野とコラボすることも野球の普及の一助となる。そんなことを感じるイベントだった。
■参加したコーチ、監督の子ども達に対するコメント
・斎藤隆コーチ
「野球を続けるか辞めるかは自分の意志でよく考えて決めてほしい。自分で考えることが大切で、続けたから偉いというわけでもない。ただ辞めるのは簡単。少しでもやりたいという気持ちがあれば、僕は続けてもらいたい」
・福留孝介選手
「何よりも野球をやりたいという気持ちが大切。今日その気持ちを感じられたのであれば、ぜひそれを大切にしてもらいたい」
・牧田和久選手
「野球を好きだという気持ちが上達に繋がると思う。これからもぜひ野球を好きでいてほしい」
・上田剛史選手
「自分の経験上、野球が楽しいと感じている時が成長している時だと思う。楽しむ気持ちを持って、これからも野球をしてもらいたい」
(取材・文/写真:西尾典文)