ニュース 2020.01.06. 17:00

全国に広めたい、子どもを野球障害から守る「野球手帳」

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今年で7回目を数える新潟青少年ベースボールフェスタが、12月21、22日、ハードオフECOスタジアムで行われた。このイベントは新潟県青少年野球団体協議会が主催。小学生の「野球肘検診」を主要な目的として始まった。




■「野球手帳」があることで検診がさらに有効に


このコラムでも紹介したが、新潟県では小学校5年生の野球少年には「野球手帳」という小さな手帳を配布されている。この手帳には少年野球に多いスポーツ障害の特徴や予防方法が記載され、医療機関での治療経過も記入することができる。また、成長期の身体を考えたトレーニングの仕方、体のケアの仕方などが丁寧に説明されている。

「ベースボールフェスタは、この『野球手帳』を実際に活用する機会を作るために始めました」
このイベントの主催者で、野球障害ケア新潟ネットワーク代表、新潟リハビリテーション病院院長の山本智章医師は話す。山本医師は「野球手帳」の生みの親でもある。



「野球手帳」は、2012年に2万部が作成され県内の小中学生の野球選手に配布されたが、ただ配布しただけでは手帳は活用されない。野球手帳を見ることによって指導者や保護者が野球肘などを理解し、選手みんなが毎年検診を受け、身体のケアを考えて行動してこそ手帳の存在が大きな意味を持つ。
そこで考えた末に2013年から青少年ベースボールフェスタを開催するようになった。
「野球肘検診」の会場では、問診票を書くときに持参した野球手帳を開いて見る子どもの姿があちこちで見られた。
また医師がエコー検診をする際も担当者が野球手帳で子どもの記録をチェックしていた。



「野球肘検診」そのものは全国で行われているが、「野球手帳」があることで子どもたちの継続的な健康状態を確認することができる。
このベースボールフェスタでは野球肘だけでなく腰痛の相談や、野球障害全般の医事相談も行われたが、この際に「野球手帳」があることで、より的確なアドバイスをすることができている。
「県内の整形外科医の先生には『野球手帳』についてよく理解していただき、医療機関受診の際のスムーズな診療と指導者との情報共有にも活用しています」
「検診では受診者の1.5%程度で肘OCD(肘離断性骨軟骨炎)が見つかります。この比率は全国的な標準と変わらないと思います」
野球肘検診は野球肘の早期発見により重症化の予防に大きく貢献している。

■意図、目的を説明する姿勢


ベースボールフェスタではコンディショニング教室とトレーニング教室が行われた。いずれも新潟グループが独自に編み出した「えちごストレッチ」「こしひかりトレーニング」の仕方が紹介された。
これらの教室は小学生が対象で、保護者も見学できるが、それぞれの講師は単にやりかたをレクチャーするのではなく、ストレッチやトレーニングがなぜ必要なのか、どんな目的、効果があるのかをパワーポイントを使って子どもと保護者に丁寧に説明していた。
新潟県野球界の活動は、対象者に「やらせる」のではなく「理解してもらい」「自分から率先してやるようにする」姿勢が顕著だが、これが高い実効性につながるのだろう。

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