■ 大切にしている子ども達とのコミュニケーション
全国から色んな選手が集まる大阪桐蔭では、色んなキャラクターの子どもがいる。西谷監督はコーチだった若い頃は寮に住み込み、選手と共に生活していたため、練習が終わってもご飯やお風呂で一緒になり、お互いの良いところも悪いところも知って自然と信頼関係が生まれたという。
「大きく言うと家族みたいでした。そんな中だから何でも言えたし、最後は自分の子どものようになっていましたね」
少年野球チームはそこまで指導者と子どもが一緒にいる時間は長くはないが、子どもたちの心をほぐすような会話やコミュニケーションを取ることも、ひとつの手段ではないだろうか。
少年野球人口の減少という深刻な状況を、野球にかかわる大人たちもまっすぐに見つめなければならない。
「野球をする人間がここまでいなくなるのは、昔は想像できなかったと思います。野球が当たり前だった時代もあったのに、今はそうではない。だから危機感を持たなくてはいけませんし、あぐらをかいてはいけない時代になったと思います」
野球の楽しさ、素晴らしさを1人でも多くの子どもたちに伝えるために、まずは指導者が目線を下げて子どもたちの“心”を掴むことが、ひとつのきっかけになると信じたい。
(取材・文/写真:沢井史)