東京バンバータJr.は、これからの少年スポーツは、マネジメントのプロが率いるクラブチームが担うべきだと考え、創設された。
従来の少年野球チームは、ボランティアの指導者が手弁当で指導を行うスタイルが一般的だったが、東京バンバータJr.では、高校、大学、社会人での豊富な選手経験、指導者経験を有するプロの指導者が指導を行う。
コンディショニングから基礎練習、そして実践練習までをプロが指導していく。
当然、月々の謝礼も必要にはなる。
「これまでの少年野球では、休みのたびに“お茶当番”や“お弁当作り”、そして“遠征の付き添い”などで、お父さん、お母さんは振り回されていました。謝礼そのものは安かったかもしれませんが、親の負担は相当なものでした。でも、東京バンバータJr.は、保護者の皆さんには極力負担をおかけせず、プロの指導者が安心、安全に野球を教えています。こちらのほうが、トータルでは親の負担は軽いと思います」
東京ヴェルディ・バンバータGMの熊本浩志氏は語る。
「それに、東京バンバータJr.は、トップチームの選手たちとの合同練習も行います。トップ選手たちのプレーに触れて、子どもたちは“いつかあんな風になりたい”とあこがれの気持ちを抱きます。モチベーションも上がります」
創設から3年で、選手数は約60名になった。
チームには、他チームの高圧的な指導や、高齢の指導者による旧弊な指導に疑問を抱いて参加した子どももいる。また親の負担が大きいことや、親子ともども拘束時間が長いことに不満を持った保護者が、東京バンバータJr.を選択したケースもあった。
「こうしてできたジュニアチームの最年長組が、中学生の年次になったので中学部U-15を立ち上げたわけです。中学部U-15では身体の成長や将来ビジョンに応じて選択できる硬式・軟式の両カテゴリーを運営することで、お互いの長所を活かした育成を行なっていきます」
東京ヴェルディ・バンバータ 中学部U-15は、以下のフィロソフィーを掲げている。
理 念
子どもたちと、野球の未来のために
目 的
「自主自立」自分の考えで行動する習慣を身につける
社会に必要とされる野球人の育成
目 標
・各選手が全員進学先でも野球を続けてくれる
・全国制覇
「昭和の野球」の体質からなかなか脱却できないといわれる、日本の野球界。
東京ヴェルディ・バンバータは、こうした日本野球とは一線を画した全く新しい少年野球像を創り上げようとしている。今後の動向に注目したい。(取材・写真:濱岡章文)