このイベントの主催者の一人で、パネルディスカッションのファシリテーターも務めた大槻寛氏(長野西高等学校野球部監督)に聞いた。
――このイベントの経緯は?
大槻:2017年に、第1回の「北信ベースボールサミット」を開催しました。長野県内でもすでに野球人口の減少が始まっていました。そのことについて話し合うとともに、指導者の質や指導法に対する疑問について意見交換しました。なにより、「子供たちが野球を選択し、子供達が主役となれ、できるだけ長く野球を続けてくれる北信野球界」を目指していくことを決意しました。
さらに、2017年11月に、それまでではあり得なかった小中高大社会人プロ野球の指導者が集まり、現状を共有し合うイベント「第1回北信野球の日」を開催しました。
長野オリンピックスタジアムを無料開放。北信地域の幼稚園、保育所、小学校に30000枚のチラシを配布し、来場者は3000人を数えました。
もちろん未経験者も多く参加してくださいました。いつきてもいい、いつ帰ってもいいという形態と、中高の野球選手が「コンシェルジュ」となるスタイルが大好評でした。
昨年の第3回の「北信ベースボールサミット」では慶友整形外科病院の古島弘三先生にもお話をいただきました。こういう形で多くの皆様に協力いただきながら「子供が主役の北信野球界」を目指してきました。
この会を開くために、中学、高校の教員が中心となり活動してきました。多くの仲間が日曜夕方、自チームの指導後に集まり、議論を重ねてきました。
――今回のサミットは一つのエポックになるそうですね?
大槻:この日に「長野県青少年野球協議会北信支部協議会」が正式に組織化されることになります。少年野球チーム、小学校の硬式チーム、中体連のチーム、クラブチーム、硬式のチーム、高野連が一つの傘下に入り、指導の共有、系統的な指導の確立、サポート体制等「子供が主役の野球界」のスタートラインに立つことができそうです。
これまでサミットには外部講師をお招きし、お話をお聞きする中で一致団結を図ってきましたが、今回は「当事者意識」をテーマに、自分たちにきちんとを矢印を向けたグループディスカッションをメインに据えることに決めました。
いろいろな活動が全国で始まっています。2020年はこの動きを「全国的な流れにしよう」と話しています。
野球界は「一枚岩になれない」ことが大きなネックだとされてきたが、北信地区の取り組みは、モデルケースとなって、全国に波及することを望みたい。(取材・写真:濱岡章文)