「子どもたちにとって何が大事か?」に立ち返る
活躍する場は今ではなく、中学や高校など未来にあると思うからこそ選手の可能性を潰してはいけない。身体のケアについて杉山監督は熱心に勉強し、さまざまな研修や講習会に参加し情報をアップデートしている。
「大人になって肘を痛める原因の大半は、子どもの頃に投げすぎているという話も聞きます。ケガをしてからでは遅いので違和感があればすぐ言って欲しいと伝えていますし、スポーツを続ける上でストレッチの重要性を子どもの頃から理解することは大切です」
さらに、技術に関してはなるべく教え過ぎないよう気をつけていると言う。
「どうしても指導者は技術(テクニック)を教えたがってしまいます。でも、野球にはこれといった正解はありません。本田俊介総監督に『悩んだときは、子どもたちにとって何が大事か? に立ち返るのが重要』と教えていただきました。大人から指示をされたまま行動する子どもにはなって欲しくないので、なるべく自分で考えるよう促しています」
主役はあくまでも子ども。子どもの成長や目標をサポートするために指導者がいるという考えのようだ。野球を通し、自立心が芽生えればそれは将来多くのことに役立つに違いない。(取材・文/写真:細川良介)