できるようになるまでやります。それが指導方針
ーー宮前ドリームスの指導方針、ポリシーなどを教えてください。
指導方針は小さな成功体験を沢山身につけてあげたいなと思っています。例えばバッティングでも「こうなってるよ」「こうだよ」と言って立ち去るのではなく、「そうだよ、それを続けていれば良くなるよ」と感覚がちょっとでも身につくまでしっかり教え込む。きちんとその感覚、コツなどを毎日つかませてあげる。練習場所などの時間制限はもちろんあるんですが、できるようになるまでやります。それが指導方針です。
あとは子どもにチャレンジ精神を持って欲しいと思っています。こじんまりとならず、とにかく強く振ることですとか、強く振るためにはどういうことが大事なんだよとかを伝えながら、今は股関節の感覚を身につけるための練習をしていますが、そこは意味合いを教えながら丁寧に行っています。
ーー今日は選手が3人で指導者も3人。ほぼマンツーマンでの指導は贅沢ですね。
チーム結成直後にコロナ禍に見舞われて現在の部員は4人(当日は1人欠席)なのですが、今後は部員数の増加に合わせてスタッフも増やす予定です。一学年20人に絞って、一学年でチームを作れるようにしたいと思っていまして、選手10〜15人に対して最低でもスタッフは1人は置きたいですね。
ーーコロナの影響で部員が4人ということですが、選手たちのポジションや試合などはどうのようにされているのですか?
ポジションは特定せずにピッチャー、内外野含めて全部守れるようにしています。試合も合同チームなどを組んで中学のチームと練習試合などを行なっています。
ーー平日はチームとして勉強と体幹トレーニングをされているそうですね。
進路の選択肢が少しでも増えればいいなと思い、平日の2日は勉強と体幹トレーニングに取り組んでいます。
私自身も中学時代にある程度勉強もやっていましたので進路の選択肢が広がりました。中学時代は緑東シニアというチームで全国優勝もしましたので有名強豪校から声がかかるチームメイトもいました。でも成績が基準に達していなかったために進学できなかったということもありました。たらればですけど、(その高校に行けていたら)もしかしたらその後プロにもいけて1億、2億稼げる選手になっていたんじゃないかなと思えるような選手だったので、成績がネックになって進路が限られるのはもったいないなと。
【宮前ドリームスの週間スケジュール】
月:OFF(祝日の場合は活動)
火:体幹トレーニング/勉強(勉強は18:10〜20:35/国語、数学、英語)
水:OFF(祝日の場合は活動)
木:体幹トレーニング/勉強(勉強は18:10〜20:35/国語、数学、英語)
金:平日練習(16:30〜19:30)
土:練習または試合(8:00〜16:00)
日:練習または試合(8:00〜16:00)
(宮前ドリームス硬式HPより)
ーー教えている教科は?
国語、数学、英語を教えています。でも教科よりも大切にしているのは勉強のやり方ですね。自分がどれぐらいやったら自分がどうなるのかというのを知ることが勉強だと思っています。
ーー野球の監督、コーチが勉強も教えるって子どもたちからしたら結構強烈じゃないですか?
抜く暇がないですからね(笑)。でも、グラウンドの中だけだとどうしても「師弟関係」になってしまうんですけど、勉強のときは一人の13歳の少年と人生の先輩という関係で、「彼女できたか?」「学校楽しいか?」「学校の先生はどんな人?」など普通に色んな話しをしたりとか、そういう会話ができることで壁が取っ払われたりとか、そういうことを含めて野球の指導もしやすいなと思うんですよね。
ーー平日も何かしらの活動があるのであれば学校で部活動をやる必要がないですね。
そうですね。クラブチームに入りながら塾などに通うと普通に4、5万円くらいかかると思いますけど、うちのチームは全部含めて2万5000円でやっています。週2回オフにして、その2日はからのメンテナンスに使ったり、自分の好きなことに使いなさいと言っています。
ーー今後、子どもたちにどんな風に育って欲しいですか?
チームの目標が日本一なのですが、でも目的は人材の育成です。熱き思いを持って周りを巻き込めて進んでいける子ども達になって欲しいと思っています。この子たちが高校でも大学でも、社会人になっても、その中心にいて色んな人を自分の力で巻き込んで良い方向に引っ張ってくれるような人間になってくれたらと思ってやっています。
ーー子ども達に何か一言お願いします。
野球じゃなくてもいいから、何か夢中になれるモノを見つけて欲しいと思っています。でも僕たちは野球しかやってこなかったので野球くらいしか教えることができません。でも野球を通じて真剣に悔しいと思ったり嬉しいと思ったり、自分自身が感動したり他の人を感動させることができたり......そういうことはあんまりないと思うんですよね。
とにかく真剣に何か取り組めるモノを見つけて欲しいですね。見つからなかったらとりあえず野球をやってごらんって言いたいです。野球を本当に真剣にやったら絶対に面白くなるから。(取材・写真:永松欣也)
*次回はこの日行われていた練習ドリルなどを紹介します。
宮前ドリームス指導者プロフィール
監督:石倉周/中学時代に緑東シニアで全国優勝を経験。鎌倉学園、日本体育大学出身。
コーチ:高橋直樹/石倉監督と共に中学時代に全国優勝を経験。国士舘高校、創価大学を経て社会人野球の日本新薬でもプレーした。
コーチ:野倉大南/創価高校、創価大学を経て社会人軟式野球の曙ブレーキでもプレー。