しかしながら「200年構想」から3年が経過したが、高校が主体となった普及活動は限定的だ。中には「やりたいと思うけど、時間がない。ノウハウもないので始めるきっかけがない」という指導者もいた。
大阪府は全国屈指の「野球王国」ではあるが、大阪府下の高校の硬式野球部員数は2014年は8636人だったのが、2020年6473人と25%も減少した。全国的に見ても深刻な「野球離れ」が起こっているのだ。
川村監督は、大阪府高野連に相談した。
「これまで、高校に中学野球部員を招いて小規模な野球指導をした例などはあるそうですが、小学生に本格的な野球教室を行った事例は大阪府ではないそうです。協力するので、ぜひ実施してほしいとのことでした」
前例がない取り組みのために、手探りでの準備が進んでいる。用具を集めて、プログラムを考えて、安全対策も考えた。
「準備体操の後、打つ、投げる、捕るなどの体験をしてもらって、最後は簡単なゲームをしたいと思います。対象は小学校1年生から6年生まで幅広いですが、小さな子から上級生まで、みんなに楽しんでもらえる内容にしたいです」
当日は13時30分受付開始、14時から2時間の予定だ。
野球に興味がある子供なら、経験の有無にかかわらず参加できる。保護者も見学できる。
参加費は無料だが、スポーツ安全保険の費用として1人300円が必要。
こうした取り組みは、1回だけでなく続けることで、野球人口の増加につながるし、選手たちの成長にもつながる。それだけに第1回はぜひ成功させたいところだ。
「普及活動を熱心に行っていた静岡県立三島南高校は、今年のセンバツ高校野球への出場が決まりました。甲子園に行くために普及活動をするわけではないですが、これも励みになるニュースです。
これからは普及活動も野球部の重要な活動の一つになると思います。これを契機に、大阪府での普及活動を広げていきたいですね」
(取材・文・写真:濱岡章文)