■全員を試合に出すことの難しさ
少年野球人口が激減していると言われている近年、それでも横浜球友会には各学年で1チーム作れるくらいの子ども達が集まっている。そうなると、チームの方針である「全員試合に出す」ことも簡単な話ではなくなってくる。
4年生以下の区大会は同一チームからの複数エントリーが認められているため、全員を試合に出すことができる。しかし、なぜか5年生以上の区大会は複数エントリーが認めてもらえない。そのため、全員を試合に出すことに苦労しているのだと話す。
「普段試合に出られない子を練習試合に出してあげるチームも最近は増えていると思います。それは良いことだと思いますが、練習試合はあくまでも練習、確認の場なんですよね。子どもの成長を考えると、やっぱり全員を公式戦に出してあげたい。公式戦の緊張感とか空気を経験させてあげたいんです。ですので、大きな大会でとは言わないまでも、せめてローカルの小さな大会、区大会公式戦では人数の多いウチのようなチームは2チームでエントリーさせてもらいたいとお願いしています。そうすれば5年生以上も全員公式戦に出してあげることができるんですけどね・・・・・・。『誰のための学童野球なのか?』 そこはこれからも諦めずに言い続けていかないといけないと思っています」
笹木監督が全員を試合に出すことにこだわるのには、こんな理由もある。
「普段試合に出られない子が試合に出ることによって、普段出ている子は試合に出ないことになりますよね? その時に率先してボールボーイやバット引きなどをやらせるんです。
試合に出られない子達が普段そういうサポートや雑用をどれだけしてくれているのか、それを分かってもらうことも、大切なことだと思っています。それが分かれば、レギュラー組が三振をしたり、エラーをしてくよくよしていたら『試合に出ていない奴は三振もエラーもできないんだぞ。だったらどうする? 出ていない仲間のことを思いながらプレーするしかないよな?』って話ができるんです」(取材・写真:永松欣也)
後編に続きます。