選手たちが試合運びを考える
Liga Agresivaではアメリカの年齢別の球数、登板間隔を定めた「ピッチスマート」に準拠した球数制限、低反発金属バット、または木製バットの使用を定めているが、これに加えて各リーグで独自のルールを導入することもできる。福岡の場合、投手はストライク先行、打者は初球から打つ積極性を身につけるために1-1のカウントから始まることになっている。
また、試合は選手が主導して戦うこととし、監督、指導者はベンチを外れて試合を見ることにしている。ただしランナーコーチになることはできる。
10月31日、福岡県立城南高校グラウンドでは、城南高対福岡講倫館高、福岡講倫館高対大川樟風高、城南高対大川樟風高の3試合が行われた。
両校の指導者はネット裏の席で、試合を見ている。大きな声で選手に指示を送ることもなく、腕を組んで教え子たちの試合を見ていた。
また、指導者同士で意見交換をするシーンも見られた。城南高校の中野監督の言う通り、リーグ戦は高校指導者が交流を通じて治験を高める機会でもあるのだ。
各校の選手数にはばらつきがあり、選手の実力差もあると思われる対戦もあったが、好ゲームが続く。低反発の金属バットや木製バットを使用することで打球速度が落ちて、野手は思い切って突っ込むことができる。また投手も長打を過度に気にすることなくストライクゾーンに投げ込むことができる。
低反発のバットを使用することで思わぬ効果が表れるのだ。
口汚いヤジなどが飛ぶこともなく、和気あいあいとした雰囲気で試合が進行した。
「高校野球をする仲間」という一体感を醸成
高校グラウンドで行われる試合では、ホスト校が遠征する学校を受け入れていろいろなサポートもする。城南高校は選手数が多いこともあって、自分たちが出場しない試合も含めて、グラウンド整備を行っていた。
これに対して、ゲスト校の生徒からは「ありがとうございます!」という声が上がっていた。
このリーグ戦のポイントは、試合経験を積むだけではなく、他校の選手、指導者が交流し「高校野球をする仲間」という一体感を醸成することもある。
始まったばかりの福岡リーグだが「野球どころ福岡」の未来をに向けて、新たなムーブメントになりそうな気配がした。(取材・文・写真:広尾晃)