ニュース 2021.12.06. 12:40

【パイラスアカデミー】子どもの個性と野球を楽しむ力を育むアカデミー

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平日の夕方、河川敷のグラウンドに私服で野球を楽しんでいる子ども達の姿がありました。それはまるで昭和の時代に当たり前だった光景を見ているよう。彼等は「野球を通じて『思考力』を育む」パイラスアカデミーの子ども達。少年野球チームでもない、野球スクールでもない、パイラスアカデミーとは一体どんな団体なのでしょうか?




子ども達が安心して野球を楽しめる場所


グラウンドで楽しそうにボールを投げて、打って、走っている子ども達。揃いのTシャツを着ている子はいるものの、下はGパンであったりジャージであったり、学校帰りそのままの様子で格好はバラバラ。見ていると野球の技術レベルもバラバラ。でも共通しているのは全員が目を輝かせて野球を楽しんでいるということ。

「子ども達の半分は少年野球チームに所属しています。もう半分は自分が馴染めるチームが近くになかったり、他の習い事との兼ね合いなど、なんだかの理由でチームに所属することが難しい、そんな子ども達が集まっています」

そう話してくれたのは、子ども達に「スティーブ」の愛称で呼ばれているパイラスアカデミー代表の小林巧汰さん。中学時代は湘南ボーイズで高橋周平(中日)らとプレーし、日本大学高校卒業後はアメリカの大学で野球を続けながらファイナンス学科を首席で卒業。ドミニカで学生野球のコーチを務めた後、帰国後は大手銀行の投資銀行業務を経てパイラスアカデミーを設立するなど、野球界では異色の経歴を持ちます。



パイラスが野球スクールと一線を画すのは、「こうやって投げる」「こうやって打つ」などの一方通行の技術指導を行わないこと。アドバイスは子ども達のレベルにあわせて必要に応じて送る程度。それはパイラスが、子どもたちが自分で考え、決断し、そして行動することを促すことを大事にしているから。小林さんの穏やかな人柄も相まって、そこにギスギス感もピリピリ感もなく、グラウンドという空間が「子ども達が週に一度、安心して野球を楽しめる場所」になっているように思えました。

自然にボールをよく見る、よく見えるようになる練習


この日行われた練習はヤキュイクでも紹介しているフィールドフォースのネットとボールを使ったゴロとフライの捕球。
まずはネットスロー。投げたボールがネットに当たる角度によって跳ね返ってくるボールがライナーになったり、フライになったりゴロになったり。それが面白い様子でいつの間にか列を作って順番に投げる子ども達。それはやがて「地面に落とさずに何人続けてキャッチできるか?」「ノーバウンドで捕れなかった人が失格で誰が最後まで残れるか?」など、子ども達ならではのゲームに発展。不規則に跳ね返ってくるボールに、白い歯を覗かせながら一生懸命に反応していました。



続いて行われたのは青い迷彩柄のボール、茶色いボール、黒いボールを使ってのノック。小林さんがそれぞれのボールでゴロを打つと「ぜんぜん簡単!」「いつものボールとそんなに違いはありません」と答える子ども達。しかし、暫くしてから普段使っている白いボールに変えると「あれ!?なんか見やすい気がします」という声がチラホラ。
フライキャッチの練習では、この日は青空が広がっていたため、黒いボールでのフライは見やすかった反面、青い迷彩柄のボールのフライは空と同調して「見にくい!」の声が。それでもしっかり目をこらして、普段よりも恐る恐る子ども達はフライをキャッチしていました。





最後に行われたのは紅白戦。といってもこの日集まった7人のうち1人が途中で帰ったために3人対3人の形式で行われました。ピッチャーは小林さんが務め、先ほど使ったネットをキャッチャー代わりに使い、塁間も変則にするなど、工夫しながら野球を楽しむ姿は、昭和の時代も令和の時代も同じ。遊び要素の多い紅白戦ですが、子ども達は勝負に熱中。自分に打席がまわってくることを楽しみつつ、仲間に状況を伝えたり、アドバイスを送ったりする姿に、パイラスが大事にしている「自分で考え、決断し、行動する」を見た思いがしました。



日が落ちても終わろうとせず、「スティーブ、もうボールが見えないよ!」という子どもの声でようやく試合終了。

少年野球チームに所属している子は日頃チームでは経験できない野球を楽しみ、チームに所属していない子は週に一度野球ができるこの時間を楽しみにしている。そんな思いの伝わってくる、パイラスアカデミーの活動でした。(取材・文・写真:永松欣也)
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