ニュース 2021.12.14. 13:20

「厳しいけど強い」ではなく「楽しくて強い」|江戸崎ボーイズ

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年末年始の30日間はチームの活動を行わない。そんな「積極的休養」を取り入れながらも創部5年で全国大会ベスト4になったチームがあるらしい—。どんなチームなのか気になり、グラウンドに足を運んだのがコロナ禍前の2年前。江戸崎ボーイズの「それから」が知りたくて再びグラウンドを訪ねました。




【自主性に委ねられた平日練習】


BTS 、あいみょんといった中学生たちにも人気の高いアーティストの音楽が流れる新利根総合運動公園野球場(茨城現稲敷市)。平日のこの日は17:30から20時まで練習が行われていた。ナイター施設が完備された野球場でほぼ毎日練習ができる。練習場の確保に奔走する都市部のチームには垂涎の練習環境だ。

この秋の選手権予選に優勝した江戸崎ボーイズは四期連続の全国大会出場を決めただけでなく、茨城県内では2年間公式戦無敗、3学年全ての大会を制してグラウンドスラムも達成。今や県内の中学硬式野球を代表する強豪チームになっている。2年前の全国大会ベスト4は偶然ではなかった。

恵まれた環境でほぼ毎日練習をしているのだから強くなるのもうなずける。しかし平日練習は強制ではなく自由参加。遠方の子や塾に通っている子など、平日練習にほとんど参加していない子もいるという。
「出席も取っていないので今日も何人来ているとか、誰が来ていないとか分からないんです。来たいときにきて休みたいときに休んでいい。選手に自覚や責任が芽生えていれば、そこは強制ではなく選手の判断でいいと思っています」
そう話してくれたのは2年前にもお話を伺った渋谷泰弘監督。

江戸崎ボーイズの渋谷泰弘監督の写真

この日は、マシン2台とバッティングピッチャー1人の三カ所バッティングとノック、トレーニングが行われていた。しかし、監督とコーチは誰に何をしろなどと指示は行わない。平日練習に参加するかどうかだけなく、その日に何の練習をするかも選手の判断に委ねられていた。監督とコーチの主な役割は選手達が練習をやりたいと思った時に集まれる場所と環境を用意しておくこと。聞きに来れば教えるが、基本的には練習を見守るというスタンスだ。



「こうじゃないといけない、というような型にはめることはしません。だから自分でネットで調べたりYouTubeを見て色んなバッティングフォームを真似したり試したりするのも全然OKです。悩んでいる時にはこちらからアドバイスをすることもありますが、基本的には本人が聞きに来るまでは何も言いません」

子ども達の自主性が重んじられているチームだからこそ、茨城を代表する強豪になってもピリピリした緊張感がない。監督やコーチの目を気にする選手もいない。大人の罵声や大声が響き渡らないから、流行の音楽が流れる中で選手達は伸び伸びと練習に打ち込めているように見えた。

【根底にある「楽しく、強く」というチームの方針】


高校野球へ直結する中学野球では「楽しく」と「強く」の両立が難しい。強いチームであればあるほど「楽しく」とは対極に位置するように思える。江戸崎ボーイズではなぜ両立ができているのだろうか? 篠田優也コーチはこう話す。

江戸崎ボーイズの篠田優也コーチの写真

「休むときは休む、野球をやるときはしっかりとやる。このあたりのON・OFF、メリハリがはっきりしていることが大きいのではないでしょうか。それが選手達のリフレッシュにも繋がって良い状態で練習ができていると思います。選手達が前向きになっていない「やらされる練習」では意味がないですからね」



2014年にチームを立ち上げた藤田大輔オーナーもこう話す。
「強いチームの監督=怖いみたいなイメージがありますけど、江戸崎は穏やかでしょ?(笑)。大人の怒声、罵声って子どもを萎縮させてしまいますよね。そういうのは今時のやり方ではないですよね」

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