チーム創設間もない2年前、30人超の子ども達を見て驚きました。「野球人口減少が叫ばれる中、なぜ短期間にこんなに子どもが集まるの!?」。今ではさらに増えて50人を超えたといいます。そんな「できたてチームのそれから」が知りたくて、多摩川の河川敷に「ブエナビスタ少年野球クラブ」を再び尋ねました。
ブエナビスタが活動する地域は中学受験などにも熱心な土地柄であり、野球以外の習い事をしている子どもも多いという。
「うちのチームは練習が週末半日だけの『週末1/4ルール』ですから、その辺りが地域のニーズに合っているのかもしれませんね」
そんな風に話してくれたのは、2年前にもお話を聞いた宇田川淳GM。旧来の少年野球に一石を投じるGMの方針は、この2年間で多くのメディアでも紹介された。
東京、神奈川ではブエナビスタのような短時間練習、怒声罵声の禁止、保護者の負担なしなどの方針を掲げた新しいチームが増えている。それは旧来の少年野球チームに対するカウンターともいえるが、一方で「それで勝てれば苦労はしない」「そういうチームは結局弱い」というような冷ややかな声も耳にする。
しかし、宇田川GMはそんな冷ややかな声に静かに反論する。
「『週末1/4ルール』でも思っていた以上に戦えています。チームを結成したときに当面の目標を『勝率5割』にしていたのですが、それが予定以上に早いタイミングで達成できそうなんです」
嬉しい想定外の要因は、子ども達の「もっと野球をやりたい」という気持ちにあるという。
「チームとしての練習時間も量も少ないですが、その分、家で自主練習をしっかりやる子が多いんです。『ちょっと野球をやり足らない』と思うからこそだと思っています」
素朴な疑問をぶつけてみた。「もう少しだけ練習時間を増やせば、もっと勝てるようになる」という誘惑に駆られないのだろうか? 練習時間を増やそうという声はコーチや保護者からは出てこないのだろうか?
「そういった声は出てこないですし、僕自身も週末は半日で家に帰りたいですから(笑)。それは冗談として、練習が週末の半分だからこのチームを選んできた保護者の方も多いですし、練習試合や大会が日曜にある場合は結果として土日共に野球をやる場合もありますから。だからそこはこれからも変えずにやっていこうと思っています」
『週末1/4ルール』を実戦する上で欠かせないのは練習場の確保だ。コロナ禍で特に身をもって経験したのは「連盟に加盟していないチームは練習場所を借りるにしても、申し込みが殺到した場合は抽選申し込みの運頼みになってしまう」ということ。しかし今年から3つのリーグにも加盟したことで、近隣の球場(多摩川)で安定して活動が出来ている。練習場所を求めて遠征をすることもほぼなくなった。限られた時間をより有効に使えるようになったという。
宇田川GMは10月、滋賀県犬上郡で練習する多賀少年野球クラブのグラウンドを尋ねた。18、19年にマクドナルド杯を連覇している強豪で、「世界一楽しく!世界一強く!」を標榜する、「楽しい」と「強い」を体現できている唯一無二のチームだ。
練習を視察した宇田川GMは、小さな子ども達の技術レベルの高さに驚いた。未就学児の子どもたちが肘をしっかりあげて胸を張り綺麗なフォームでボールを投げ、年中の子どもが試合形式のノックでファーストに入って送球をバンバン捕球していた。
「僕は、子どもは3年生くらいになったら技術などを教えていけばいいと思っていたのですが、その考えがガラっと変わりました。小さいうちから育成をしっかりやらないといけないなって。子どもは学年ではなくて『野球歴』の年数の方が大事だということを多賀少年野球クラブさんから学びました」
実際にチームに持ち帰って取り入れたメニューもある。
「入部間もない小さな子たちには楽しく捕球することから経験してもらう。転がしたゴロをダッシュして捕って、その後に障害物に見立てたベンチの上を走ってボールを籠に運ぶ競争みたいなメニューがあったんです。それをチームにも直ぐに導入したのですが、もう効果を感じています。それまでは小さい子ってボールを捕ったら一旦そこで動きが止まっていたんです。「捕れた!やったー!」という感じで。それがこのメニューをやることによって、ボールを捕って終わりじゃない、捕ったら直ぐに次の動作がある! というように子ども達が止まらずに次の動作に移るようになりました。走る、しゃがむ、ボールを捕る、ベンチの上に駆け上がる、一連の動きもコーディネーション的にも凄くいいと思います」
【チーム結成2年、嬉しい想定外】
ブエナビスタが活動する地域は中学受験などにも熱心な土地柄であり、野球以外の習い事をしている子どもも多いという。
「うちのチームは練習が週末半日だけの『週末1/4ルール』ですから、その辺りが地域のニーズに合っているのかもしれませんね」
そんな風に話してくれたのは、2年前にもお話を聞いた宇田川淳GM。旧来の少年野球に一石を投じるGMの方針は、この2年間で多くのメディアでも紹介された。
東京、神奈川ではブエナビスタのような短時間練習、怒声罵声の禁止、保護者の負担なしなどの方針を掲げた新しいチームが増えている。それは旧来の少年野球チームに対するカウンターともいえるが、一方で「それで勝てれば苦労はしない」「そういうチームは結局弱い」というような冷ややかな声も耳にする。
しかし、宇田川GMはそんな冷ややかな声に静かに反論する。
「『週末1/4ルール』でも思っていた以上に戦えています。チームを結成したときに当面の目標を『勝率5割』にしていたのですが、それが予定以上に早いタイミングで達成できそうなんです」
嬉しい想定外の要因は、子ども達の「もっと野球をやりたい」という気持ちにあるという。
「チームとしての練習時間も量も少ないですが、その分、家で自主練習をしっかりやる子が多いんです。『ちょっと野球をやり足らない』と思うからこそだと思っています」
素朴な疑問をぶつけてみた。「もう少しだけ練習時間を増やせば、もっと勝てるようになる」という誘惑に駆られないのだろうか? 練習時間を増やそうという声はコーチや保護者からは出てこないのだろうか?
「そういった声は出てこないですし、僕自身も週末は半日で家に帰りたいですから(笑)。それは冗談として、練習が週末の半分だからこのチームを選んできた保護者の方も多いですし、練習試合や大会が日曜にある場合は結果として土日共に野球をやる場合もありますから。だからそこはこれからも変えずにやっていこうと思っています」
『週末1/4ルール』を実戦する上で欠かせないのは練習場の確保だ。コロナ禍で特に身をもって経験したのは「連盟に加盟していないチームは練習場所を借りるにしても、申し込みが殺到した場合は抽選申し込みの運頼みになってしまう」ということ。しかし今年から3つのリーグにも加盟したことで、近隣の球場(多摩川)で安定して活動が出来ている。練習場所を求めて遠征をすることもほぼなくなった。限られた時間をより有効に使えるようになったという。
【日本一チームの練習から学んだこと】
宇田川GMは10月、滋賀県犬上郡で練習する多賀少年野球クラブのグラウンドを尋ねた。18、19年にマクドナルド杯を連覇している強豪で、「世界一楽しく!世界一強く!」を標榜する、「楽しい」と「強い」を体現できている唯一無二のチームだ。
練習を視察した宇田川GMは、小さな子ども達の技術レベルの高さに驚いた。未就学児の子どもたちが肘をしっかりあげて胸を張り綺麗なフォームでボールを投げ、年中の子どもが試合形式のノックでファーストに入って送球をバンバン捕球していた。
「僕は、子どもは3年生くらいになったら技術などを教えていけばいいと思っていたのですが、その考えがガラっと変わりました。小さいうちから育成をしっかりやらないといけないなって。子どもは学年ではなくて『野球歴』の年数の方が大事だということを多賀少年野球クラブさんから学びました」
実際にチームに持ち帰って取り入れたメニューもある。
「入部間もない小さな子たちには楽しく捕球することから経験してもらう。転がしたゴロをダッシュして捕って、その後に障害物に見立てたベンチの上を走ってボールを籠に運ぶ競争みたいなメニューがあったんです。それをチームにも直ぐに導入したのですが、もう効果を感じています。それまでは小さい子ってボールを捕ったら一旦そこで動きが止まっていたんです。「捕れた!やったー!」という感じで。それがこのメニューをやることによって、ボールを捕って終わりじゃない、捕ったら直ぐに次の動作がある! というように子ども達が止まらずに次の動作に移るようになりました。走る、しゃがむ、ボールを捕る、ベンチの上に駆け上がる、一連の動きもコーディネーション的にも凄くいいと思います」