高校野球の聖地・甲子園で8月23日、史上初めて女子高校野球の決勝が行われました。白い歯を見せ楽しそうにプレーする女子球児たちの姿が印象的でしたね。女子野球独特の明るさ、男子と変わらない熱意などに多くの高校野球ファンが驚かされたことでしょう。いま、女の子が形成する野球界はどうなっているのでしょうか。
12月18日、全国トップレベルの女子高校球児が名を並べた『選抜チーム』と元マリナーズのイチロー氏が所属している草野球チーム『KOBE CHIBEN』のエキシビジョンマッチが行われました。未来の日本代表を担う選手育成を目的に、イチロー氏と9イニング制の“真剣勝負”が行われたのです。
『選抜チーム』には、今年の甲子園決勝でマウンドに立った松本里乃さん(高知中央)や巨人女子チームへ入団する吉安清さん(至学館)など全国23校に所属する選手が選ばれました。また、安食沙南さん(島根中央)は公立校から唯一選出されました。
野球の競技人口減少が叫ばれる昨今、女子球児の数は増加中です。全国的に多くの高校女子硬式野球部が新設されており、地域や指導者などの特色を活かしたチーム作りが行われてきました。しかし、高野連に加盟している男子硬式野球部の数にはほど遠く、女子の場合は地方大会を経ずに全国大会へ出場します。24年前に始まった夏の選手権はわずか3チームしか参加校がいませんでしたが、2021年には史上最多の40チームが参加。そのうち11チームは初出場でした。
女の子も数ある選択肢の中から進学先を選び、女子同士の大会で全国制覇を目指せるようになっています。『選抜チーム』の選手たちは、イチロー氏との交流はもちろん、他校の選手と交流できたことも大変うれしかったと口々にしていました。「野球は男の子のスポーツ」「女の子が野球をすると同性の仲間がいなくて孤立してしまう」という心配は不要な時代になったのです。
エキシビジョンマッチでは、イチロー氏がこの日最速135キロの直球と変化球で17奪三振。1-0で『KOBE CHIBEN』が完封勝利しました。しかし『選抜チーム』もイチロー氏を3打数無安打に抑える健闘をみせ、あっという間の2時間6分でした。
「今日は僕も負けたくなかった。緊張感があったし、こんなのいつ以来だろう。WBC以来じゃないかな。それくらい負けられない緊張感を味わいました」と、世界のイチロー氏が発言するほどの善戦だったのです。
今回のエキシビジョンマッチに参加した高校生が目指す日本代表チーム(侍ジャパン)は、2008年以降すべてのW杯を制し、現在6連覇中。女子野球は国内ではまだまだマイナースポーツとされていますが、日本が有する技術力の高さは世界が注目しています。
「女子の野球熱は男子に全然負けてないというか、こうやって野球をやる子たちはきっと男子よりも想いが強い子が多いんじゃないかな」とイチロー氏も関心していました。
女子野球には『プロアマ協定』がありません。そのため、イチロー氏だけでなく、多くの元女子プロ野球選手や高い技術を擁した選手が若手育成へ積極的に取り組んでいるのも女子野球ならでは。幼いうちから女子野球界トップレベルにいる現役選手に技術や考え方を伝授してもらう機会が豊富なのです。
女子野球は今後しばらく競技人口が増えると見込まれており、全日本女子野球連盟が主体となり女子が野球を続けやすい環境の整備を進めています。女の子だって迷いなく野球を始められる日はもうすぐそこ。いえ、もう到来しているのです!(取材・文・写真:喜岡桜)
【年々増加している競技人口と女子野球部】
12月18日、全国トップレベルの女子高校球児が名を並べた『選抜チーム』と元マリナーズのイチロー氏が所属している草野球チーム『KOBE CHIBEN』のエキシビジョンマッチが行われました。未来の日本代表を担う選手育成を目的に、イチロー氏と9イニング制の“真剣勝負”が行われたのです。
『選抜チーム』には、今年の甲子園決勝でマウンドに立った松本里乃さん(高知中央)や巨人女子チームへ入団する吉安清さん(至学館)など全国23校に所属する選手が選ばれました。また、安食沙南さん(島根中央)は公立校から唯一選出されました。
野球の競技人口減少が叫ばれる昨今、女子球児の数は増加中です。全国的に多くの高校女子硬式野球部が新設されており、地域や指導者などの特色を活かしたチーム作りが行われてきました。しかし、高野連に加盟している男子硬式野球部の数にはほど遠く、女子の場合は地方大会を経ずに全国大会へ出場します。24年前に始まった夏の選手権はわずか3チームしか参加校がいませんでしたが、2021年には史上最多の40チームが参加。そのうち11チームは初出場でした。
女の子も数ある選択肢の中から進学先を選び、女子同士の大会で全国制覇を目指せるようになっています。『選抜チーム』の選手たちは、イチロー氏との交流はもちろん、他校の選手と交流できたことも大変うれしかったと口々にしていました。「野球は男の子のスポーツ」「女の子が野球をすると同性の仲間がいなくて孤立してしまう」という心配は不要な時代になったのです。
【イチロー氏も認めた!女子の中に燃える野球熱】
エキシビジョンマッチでは、イチロー氏がこの日最速135キロの直球と変化球で17奪三振。1-0で『KOBE CHIBEN』が完封勝利しました。しかし『選抜チーム』もイチロー氏を3打数無安打に抑える健闘をみせ、あっという間の2時間6分でした。
「今日は僕も負けたくなかった。緊張感があったし、こんなのいつ以来だろう。WBC以来じゃないかな。それくらい負けられない緊張感を味わいました」と、世界のイチロー氏が発言するほどの善戦だったのです。
今回のエキシビジョンマッチに参加した高校生が目指す日本代表チーム(侍ジャパン)は、2008年以降すべてのW杯を制し、現在6連覇中。女子野球は国内ではまだまだマイナースポーツとされていますが、日本が有する技術力の高さは世界が注目しています。
「女子の野球熱は男子に全然負けてないというか、こうやって野球をやる子たちはきっと男子よりも想いが強い子が多いんじゃないかな」とイチロー氏も関心していました。
女子野球には『プロアマ協定』がありません。そのため、イチロー氏だけでなく、多くの元女子プロ野球選手や高い技術を擁した選手が若手育成へ積極的に取り組んでいるのも女子野球ならでは。幼いうちから女子野球界トップレベルにいる現役選手に技術や考え方を伝授してもらう機会が豊富なのです。
女子野球は今後しばらく競技人口が増えると見込まれており、全日本女子野球連盟が主体となり女子が野球を続けやすい環境の整備を進めています。女の子だって迷いなく野球を始められる日はもうすぐそこ。いえ、もう到来しているのです!(取材・文・写真:喜岡桜)