ニュース 2022.01.28. 20:59

チームに人が集まらないのは、野球人口が減っているからではない|全員補欠 全員レギュラー

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4年前、ヤキュイクでも取材・紹介した埼玉県の浦和ボーイズ。この度中山典彦監督が『全員補欠 全員レギュラー 少年野球界の常識を覆す育成指導論』(竹書房)という本を出されました。今回はこの本の第四章「なぜ浦和ボーイズには選手が集まるのか?~私たちのチーム運営方法~」の中の一部をご紹介させていただきます。




チームに人が集まらないのは、野球人口が減っているからではない


野球の基礎と楽しさをしっかりと教え、「公式戦にも選手全員を出します」「親の当番はありません」ということを実際に行っていくと、選手の保護者の方々がいろんなところで浦和ボーイズの宣伝をしてくれるようになります。私は、学童野球チームに勧誘に行ったことはありません。子供たちが体験に来てくれるのは、口コミでうちの評判を聞きつけたか、ホームページの告知によってです。

「浦和ボーイズ、楽しそう」

「親の負担も少ないみたいだし」

そう思ってくれた選手、親が体験に来てくれるようになります。そしてその輪はどんどん広がっていき、今や県外(東京や神奈川)から通ってきてくれる選手もいます。過去には鎌倉から通い続け、卒団していった選手もいました。

本書で何度も述べていますが、全国大会に出場するような強さがなくても、選手は集まります。

「うちのチームに人が集まらないのは、野球人口が減っているからだ」

その考え方は間違っています。うちのように、選手、保護者たちのニーズと時代に合わせたチーム運営をしていけば、選手は集まってきます。

10年前と現在では、保護者の方々の考え方も大きく変化しています。かつては、

「勝つことがすべて」

「強いチームが正しい」

という考えが主流でしたが、今はそうではないと思っている親がたくさんいます。うちにはそういった「勝つことがすべてではない」「子供には楽しく野球をやってほしい」と願う親子がたくさん集まってきます。ある年の入団説明会で「中学のクラブチームに求められているのは、情操教育だと思います。私は、浦和ボーイズさんはそれを実践しているチームだと感じたので今日、説明会にやってきました」と、ある親から言われたこともあります。

たしかに、「全国大会出場」は目標ではあります。しかし、それはチームとしての目的ではありません。浦和ボーイズの目的は、人間性、自立心を高める、高校の野球部に行って活躍できる基礎(野球の技術、体力だけでなく学力、礼儀、あいさつ、整理整頓、準備といった生活の基礎も含む)を選手たちに育んでもらうことです。

私たちのやり方が正しいのか、間違っているのか。それは実際に入団してくれる部員数、卒団していく部員数を見ていただけばわかると思います。うちは他チームから移ってくる選手はいても、途中で出ていく選手はほとんどいません。

私たちの力など、野球界全体から見たら微々たるものかもしれません。私たちががんばっても、野球人口はわずかに増加するだけかもしれません。でも、それでもいいのです。浦和ボーイズが続く限り、私たちはこれからも実直に、真摯に、選手と野球に向き合っていきます。

全員補欠 全員レギュラー 少年野球界の常識を覆す育成指導論』(中山典彦/竹書房)より

【中山典彦(なやかまのりひこ)】
1965年5月28日生。東京都出身。東北高校では2年春、2年夏、3年春と3季連続で甲子園に出場。2年秋には明治神宮大会で優勝を果たす。東北高校卒業後は中央大学に進み、硬式野球部で4年間を過ごす。その後、飲食業界を経て2008年、高校時代の同期である宍戸鉄弥氏とともに浦和ボーイズを設立。「親の当番や係なし」「父母会なし」「各学年でチームを組み、全選手を試合に出場させる」「みんなで同じ練習を行う」「練習時間は短く、あえて9時集合」など少年野球界の常識を覆すチーム運営で注目を浴び、2010年以降、部員数が1学年25名を下回ったことがない。またこういった運営方針が評価され、2019年、2020年と2年連続で『ベストコーチングアワード』の最高位である三ツ星を受賞。2021年秋の時点での部員数は2年生60名、1年生50名。初の全国大会出場へ向け、100名を超える選手たちが現在も精力的に活動中。

【目次】


■第1章 浦和ボーイズ誕生~楽しくやって何が悪い~
心臓の病が発覚~野球に救われた命~/最初は部員4人からスタート~楽しくやって何が悪い~/私は落ちこぼれ~自分らしく生きる~ ほか

■第2章 私の野球人生は東北高校から始まった~恩師・竹田利秋先生との運命的な出会い~
2年秋から負け知らずでセンバツに出場/投げるイップスだけでなく、打つイップスも経験/私にとって必要だった「大学時代の失敗」 ほか

■第3章 中山流指導論~指導者は選手の見本であれ~
負けていいじゃないか~負け癖が付く、付かないは指導者次第~/本気で叱る、本気でほめる/根性論はもういらない~日々の生活での継続こそが大切~ ほか

■第4章 なぜ浦和ボーイズには選手が集まるのか?~私たちのチーム運営方法~
父母会はないが、全選手を我が子だと思ってほしい/各学年でチームを組む/行きたい高校に進むには学校の勉強もしっかりと ほか

■第5章 どこに進学しても通用する選手になる練習
長時間練習はいらない~選手の体の成長が第一~/正しい投げ方は言葉で説明せず、体で覚えさせる~浦和ボーイズのキャッチボール~ ほか

■第6章 これからの中学野球を考える
中学時代は引き出しを増やす時期/指導者こそ、レベルアップしよう~野球は、人生をよくするための手段である~/いいチームを見分けるポイント ほか

 



 
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