ニュース 2022.02.25. 13:49

高校生のお兄さん、お姉さんがリードする野球教室

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1月30日、第4回OSAKA BASEBALL PLAZAが、大阪府守口市の大阪府立香里丘高校で開催された。

このコラムでは2021年3月28日に行われた第1回のこのイベントについてレポートしたが(https://baseballking.jp/ns/273155
)、日本高野連の「高校野球200年構想」に基づいて大阪府高野連の承認のもと、高校野球部の選手、指導者が大阪府内の小学生に対する野球普及活動を行うと言う主旨のイベントだ。
第2回は2021年7月18日に大阪府立大阪わかば高校で行われたが、第3回は新型コロナの緊急事態宣言によって中止となり、年をまたいで第4回の開催となったものだ。

大阪府には蔓延防止等重点措置が発令中ではあったが、屋外でのイベントであり、参加する子ども、父母は検温、手指消毒をしたうえでマスクを着用するなど厳重な感染症対策を施したうえで実施された。


経験者、初心者に分けてのスタート


参加者は近隣の小学生23人、中高学年を中心にすでに野球を知っているグループと、低学年を中心にした初心者のグループに分かれる。
子どもたちの指導は、すべて高校生が行う。野球部の岡田泰典監督、藤本祐貴部長は現場で立ち会っているが、指図はせずに見ているだけだ。

子どもたちは2つのグループに分かれて、まずは準備体操。ダッシュなどで体を温める。続いて、しっぽ鬼ごっこ。高校生がユニフォームのパンツに挟んだ赤いリボンを子どもたちが追いかけてとっていく。これは、いろんなイベントで行われているが、絶対に盛り上がる鉄板のプログラムでもある。
子どもたちは声をあげて一生懸命に選手たちを追いかける。つかまりそうになると身をかわして逃げる選手たち。
選手と子どもたち、尻尾鬼ごっこによって、年齢差を越えて一気に距離感が縮まり、仲良くなっていく。


女子マネが指導力を発揮


野球経験者はキャッチボールへ。そして初心者の子どもたちも、ボールを捕ることに挑戦する。うまく捕れない子たちも次第にコツをつかんでくる。
低学年の子どもたちの教室で力を発揮するのは、マネージャーの女子部員たちだ。優しい口調で子どもたちをリラックスさせることができる。



この後、経験者はスピードガンでの球速や打球速度の計測などを体験する。自分の投げたボール、打ったボールがどんなスピードなのかを知るのはほとんどの子どもが初めての体験だ。中には80㎞/hの球速を出す小学生も。小学生に混じって、高校生たちも、目の色を変えて球速を計っている。



初心者の子どもたちはストラックアウトからティーバッティングへ。投げる、打つという野球の基本的な動作を体験する。
昭和の時代までの子どもたちは、テレビのナイターを家族と見るなどして、野球の動きが自然に身についていたが、今の子どもは野球そのものと触れる機会が少ない。このために野球の基本動作も初体験の子どもが多い。当初は戸惑いを見せていた子たちもお兄さん、お姉さんの指導でだんだんに動きがこなれていく。



経験者はシートノックを経験する。高校生たちが手本を示しつつゴロをさばいていく。さらに打撃も経験した。
経験者の子どもたちは、選手たちのスピード感やパワーを体験して、高校野球のレベルを実感したことだろう。

「並びっこベースボール」で盛り上がる


初心者の子どもたちは、最後に「並びっこベースボール」を経験した。ティーに置かれたボールを攻撃側の子どもが打ち、守備側はボールを捕球すると守備側全員がその周囲に集まって腰を下ろす。攻撃側の子がそれまでに回った塁の数が得点になる。
最初はルールもおぼつかなかった子どもたちだが、次第にルールを覚えるとともに、ゲームも熱を帯びてくる。
高校生たちは、子どもたちに「もっと走ろう」「はやく集まって」と促してゲームを盛り上げている。
「並びっこベースボール」はベースボール型授業の基本のゲームであり、こうした野球教室では定番となっているが、指導者がうまくリードすることで「野球というゲームの楽しさ」を子どもたちに実感させることができる。初心者向けのアプローチとしては非常に有効だ。

香里丘高校野球部の藤本祐貴部長は、
「基本的な考え方は示しましたが、実際の運営は選手たちが自分で考えて行いました。割とうまくやったのではないでしょうか。コロナ禍で、活動は大変でしたが、今後もこういう取り組みを続けていきたいと思います」
と語った。



高校生が行う野球教室は、子どもを野球好きにするだけでなく、高校生自身も指導の経験をすることで、様々な気づきを与えると言う意味でも意義深い。
「野球離れ」を食い止める取り組みは、まだまだこれからだ。ささやかな努力ではあるが、今後も、OSAKA BASEBALL PLAZAに注目していきたい。(取材・文・写真:広尾晃)
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