ニュース 2022.03.02. 17:13

選手の主体性を重んじる、つくば中央リトルシニア・つくば中央ポニー (前編)

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何がなんでも目の前の試合に勝つこと、野球による「強豪」高校への進路を目的としない。少年野球人口の減少が叫ばれる中で野球の普及モデル構築を目指す中学硬式野球チーム、つくば中央リトルシニア・つくば中央ポニー (一般社団法人 つくばベースボールクラブ)。選手の主体性を重んじ、効率と質の高さを意識した練習で選手達を決してお腹いっぱいにはしない。そんなチームの代表である堀田哲也さんにチーム立ち上げの経緯やチームに込めた想いなどについてお話を伺いました。




このチームをモデルケースとして発信したい


——まずはチームを設立したいきさつから教えてください。

2010年4月に野球教室を立ち上げたのがきっかけです。6年生の子が数名通っていましたが、進学する中学の部活に専門の指導者がいないという相談を受けました。それだったら、ということでチームを立ち上げることになったんです。もともといつかはチームを作ろうとは思っていたんですけどね。

——もともとやろうとは思っていたのはなぜ?

少年野球チームに入ってない子が野球教室に参加してくるようになったのですが、その子達がチームに入るのはいろいろな事情で難しいという問題点があることを知ったんです。親の負担が大きいなどの理由ですね。じゃあそういう問題点がないチームをやってみようかな、そういうチームを作ってそれがモデルケースとなって少しでも広がっていけばいいなと思っていたんです。野球がやりたい子がいるのにやらせてもらえない環境があったので、そこをどうにかできないかなということですね。



——堀田さんは関西大学まで野球をやられて、その後は筑波大学の大学院で学ばれていますね。その頃から将来は子どもに野球を教えたいと考えていたわけですか?

いえ、そのときは思っていなかったですね。大学院を修了した後に都内の民間企業に就職しました。その後スポーツ関連の法人に勤務した際に、サッカーやテニスなどのスポーツ教室を見て「野球にはこういう教室はないな」と思ったのがきっかけですね。野球人口が減っていましたけど、野球をやりたい子はもっといるんじゃないか? そういう子達に向けた教室(機会)を作れるんじゃないかと思ったんですね。

——一般社団法人のチームは珍しいですね。どういった経緯から一般社団法人になったのでしょうか?

今期で4期目になるのですが、地域社会に対しての活動であり、会計的な部分を社会に対しても明朗にしておきたいということ、さらには活動が一つのチームが行うことの範囲を超えていたことが理由ですね。サッカーなどではそういうモデルケースがたくさんあって野球界もやらなければならないのではないかと思いました。
野球は地域の方々などに支えられてボランティアで成り立ってきた部分ももちろんあるんですが、でもボランティアで継続的に安定的に運営していくことにはちょっと限界を感じていたんです。SDGsじゃないですけど、安定して運営して行くにはやはりお金も必要ですし、ボランティアで運営されているチーム以上のお金を頂くからには社会的責任も伴うと思いますので、その辺を明確にするためにも社団法人にしました。責任を持って子どもたちの指導にあたるということには必要なことだと考えます。

知らずに陥った「野球をやらせる」指導


——チームの指導方針を教えてください。

「スポーツマンシップ」と「エンジョイベースボール」の2つですね。

——それはチーム設立当初からの方針なのですか?

いえ、当初は「自主的、自発的に野球に取り組む」「自分でできることは自分でやる」という方針でした。



——その方針がどのようにして変わったのでしょうか?

チーム設立3年目から4年目にかけて学童野球で主力だった子達が多く入ってきたんです。「このメンバーだったら勝てるぞ」という感じだったんですね。実際に関東大会にも出場して、あと1勝で全国大会というところまで行きました。ですので、翌年になって次の代の子達に対しても同じように全国大会を目指すことを押しつけるような指導になってしまったんです。

——チームを立ち上げた頃とやっていることが段々変わってきたんですね。

そうなんです。子ども達に「野球をやらせる」指導をしてしまっていたんですね。子ども達も野球が好きじゃないというか、「野球がやりたい!」という感じではなくなってしまったんです。そのときに初めて気付いたんです。これは自分が考えていた野球とは違う、間違っていると。そこで堺ビッグボーイズの阪長さんにお会いして、色々と話を聞かせていただいたり、自分でも色々と学びを重ねて、現在の「スポーツマンシップ」と「エンジョイベースボール」という方針に行き着きました。

——あと一歩で全国大会というところまで行ったことで、「勝つ」方向に舵を切りすぎてしまったということですね。

そうですね。私の「勝ちたい」を子ども達に押し付けていました。

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