何かと問題点を指摘されることの多い少年野球。そこで「もしも私が少年野球チームを作るなら」と題して、著名人の方々にお話を聞いていきます。第1回目はNPBトップ選手だけでなく、小中高生や大学生、社会人まで幅広くアスリートのサポートを行い、『革新的投球パフォーマンス:普通の高校生でも毎日50分の練習で140km/hを投げられる』という本も出している「Mac's Trainer Room」代表の高島誠さんに聞きました。
全員左右両投げ、両打ち、全ポジションを守らせる
もしも自分が小学生のチームを作るなら、全員両投両打で全部のポジションを守るようにしますね。試合では毎イニングポジションを入れ替えます。早いうちから決められた動きばかりやると、左右の動きにも得意な方と苦手な方が出てきますから。
ポジションはもちろん本人がやりたいポジションをやるのも大事ですけど、色んなポジションを経験することで他の選手の気持ちも分かるようになると思うんですよね。上のレベルに行った時にも、一つのポジションしか守れないよりも、色んなポジションを守れた方が通用しやすいですよね。
個人的には左投でもキャッチャーやれると思いますし、セカンドなんかも左の方が有利なんじゃないかなと思いますね。全員がピッチャー、キャッチャーができれば怪我の防止、体の負担軽減にもなりますよね。
体の使い方や肩、肘の負担を考えても、小学生なら左右の両方で投げさせたいですね。左右で投げることはプラスの面の方が大きいと思います。最終的に中3くらいになってから「僕は右投げ左打ちでいきます」のように決められるのが理想的だと思っています。
もちろん、こういったことをやりながらも試合はやるからには勝ちに行きます。でも勝つことが目的ではないですから盗塁やバントをちょこちょこやらせて勝つのではなく、育成をしっかりした上で、その上で勝ちも目指します。
バッティングでは軽いバットで打たせますね。重たいバットは禁止です。重くなればなるほどバットのヘッドが体から離れて操作が難しくなりますから。よくお父さんから「この子のスイングみてください」と言われることがあるんですけど、日頃から使っている重たいバットを振らせると問題の多いスイングをするのですが、軽いバットで振らせてみるとめちゃくちゃきれいなスイングをしたりするんですよね。重いと力んで持たざるをえないですから、どうしてもバットを腕で振ろうとしてしまいます。バッティングは「如何に腕を使わずに打つか」ですから。だから全員軽いバットで打たせますね。
(小見出し)自宅での素振りとティーバッティング禁止
あとは自宅で一生懸命素振りをしたり、お母さんにティーをあげてもらったりして練習する子も多いと思いますけど、それも全部禁止にします。素振りは打球角度が分からないですから、理にかなったスイングができているのかどうかが分からないので意味がありません。
自宅で行うティーも斜め横からトスされたボールを正面のネットの円の中をめがけて打っていると思いますけど、あれだと右打者の場合、右手をかぶせて打ってしまうため「内野ゴロを打つ練習」をしていることになります。やるのであれば、正面からトスをあげるか置きティーにすること。正面の円をめがけて打つのではなく15度くらいの角度を意識してそこをめがけて打って欲しいですね。そうすれば内野ゴロではなくてヒットを打つ練習になると思います。
子どもの頃からストレッチもしっかり行います。子どもの頃から柔軟性の高い選手はナチュラルに動ける幅が広くなりますから、良い動きをするのにも無理がありません。逆に柔軟性の低い選手は硬い体にあった動きになってしまっていますから、それをリセットするのに時間がかかります。
小学生時代は体の発育が早い子は柔軟性がなくても結果を残せることも多いと思います。でも上手い、下手に拘わらず小さな頃からストレッチはしっかりさせておきたいです。高校生になると柔軟性がないことで対応できないことも増えてきますし、怪我のリスクも高くなりますから。
練習は土日は半ドン(午前または午後のみ)にします。その方が体も大きくなりやすいですよね。空いた時間で塾とか他の習い事もどんどんやってほしいですし。しっかり栄養を摂って体を大きくするということが大事ですから、長時間練習をさせて消費エネルギーが摂取エネルギー上回ることがないように注意しますね。
ウォーミングアップの中にパルクールを取り入れます。跳んでしっかり着地する、地面で上手く回転する、そういった動きを身につけることで「身体操作性」が高まりますから。こういったこともストレッチと同じように小さい頃からやっておくと野球の動作改善に繋がりやすいですからね。
私だったら、こんな少年野球チームを作りたいですね。
(取材・構成・写真:永松欣也)
高島誠(たかしま・まこと) Mac's Trainer Room代表。
広島商業高校、四国医療専門学校を経て2001年からオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、2005年からワシントン・ナショナルズでインターンシップトレーナーを務め、その後正式採用、2008年に野球肩肘専門のMac's Trainer Roomを開業し、野球の障害を中心に日本での活動を開始。現在はNPBトップ選手だけでなく、小中高生や大学生、社会人まで幅広くアスリートのサポートを行っている。
全員左右両投げ、両打ち、全ポジションを守らせる
もしも自分が小学生のチームを作るなら、全員両投両打で全部のポジションを守るようにしますね。試合では毎イニングポジションを入れ替えます。早いうちから決められた動きばかりやると、左右の動きにも得意な方と苦手な方が出てきますから。
ポジションはもちろん本人がやりたいポジションをやるのも大事ですけど、色んなポジションを経験することで他の選手の気持ちも分かるようになると思うんですよね。上のレベルに行った時にも、一つのポジションしか守れないよりも、色んなポジションを守れた方が通用しやすいですよね。
個人的には左投でもキャッチャーやれると思いますし、セカンドなんかも左の方が有利なんじゃないかなと思いますね。全員がピッチャー、キャッチャーができれば怪我の防止、体の負担軽減にもなりますよね。
体の使い方や肩、肘の負担を考えても、小学生なら左右の両方で投げさせたいですね。左右で投げることはプラスの面の方が大きいと思います。最終的に中3くらいになってから「僕は右投げ左打ちでいきます」のように決められるのが理想的だと思っています。
もちろん、こういったことをやりながらも試合はやるからには勝ちに行きます。でも勝つことが目的ではないですから盗塁やバントをちょこちょこやらせて勝つのではなく、育成をしっかりした上で、その上で勝ちも目指します。
バッティングでは軽いバットで打たせますね。重たいバットは禁止です。重くなればなるほどバットのヘッドが体から離れて操作が難しくなりますから。よくお父さんから「この子のスイングみてください」と言われることがあるんですけど、日頃から使っている重たいバットを振らせると問題の多いスイングをするのですが、軽いバットで振らせてみるとめちゃくちゃきれいなスイングをしたりするんですよね。重いと力んで持たざるをえないですから、どうしてもバットを腕で振ろうとしてしまいます。バッティングは「如何に腕を使わずに打つか」ですから。だから全員軽いバットで打たせますね。
(小見出し)自宅での素振りとティーバッティング禁止
あとは自宅で一生懸命素振りをしたり、お母さんにティーをあげてもらったりして練習する子も多いと思いますけど、それも全部禁止にします。素振りは打球角度が分からないですから、理にかなったスイングができているのかどうかが分からないので意味がありません。
自宅で行うティーも斜め横からトスされたボールを正面のネットの円の中をめがけて打っていると思いますけど、あれだと右打者の場合、右手をかぶせて打ってしまうため「内野ゴロを打つ練習」をしていることになります。やるのであれば、正面からトスをあげるか置きティーにすること。正面の円をめがけて打つのではなく15度くらいの角度を意識してそこをめがけて打って欲しいですね。そうすれば内野ゴロではなくてヒットを打つ練習になると思います。
子どもの頃からストレッチもしっかり行います。子どもの頃から柔軟性の高い選手はナチュラルに動ける幅が広くなりますから、良い動きをするのにも無理がありません。逆に柔軟性の低い選手は硬い体にあった動きになってしまっていますから、それをリセットするのに時間がかかります。
小学生時代は体の発育が早い子は柔軟性がなくても結果を残せることも多いと思います。でも上手い、下手に拘わらず小さな頃からストレッチはしっかりさせておきたいです。高校生になると柔軟性がないことで対応できないことも増えてきますし、怪我のリスクも高くなりますから。
練習は土日は半ドン(午前または午後のみ)にします。その方が体も大きくなりやすいですよね。空いた時間で塾とか他の習い事もどんどんやってほしいですし。しっかり栄養を摂って体を大きくするということが大事ですから、長時間練習をさせて消費エネルギーが摂取エネルギー上回ることがないように注意しますね。
ウォーミングアップの中にパルクールを取り入れます。跳んでしっかり着地する、地面で上手く回転する、そういった動きを身につけることで「身体操作性」が高まりますから。こういったこともストレッチと同じように小さい頃からやっておくと野球の動作改善に繋がりやすいですからね。
私だったら、こんな少年野球チームを作りたいですね。
(取材・構成・写真:永松欣也)
高島誠(たかしま・まこと) Mac's Trainer Room代表。
広島商業高校、四国医療専門学校を経て2001年からオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、2005年からワシントン・ナショナルズでインターンシップトレーナーを務め、その後正式採用、2008年に野球肩肘専門のMac's Trainer Roomを開業し、野球の障害を中心に日本での活動を開始。現在はNPBトップ選手だけでなく、小中高生や大学生、社会人まで幅広くアスリートのサポートを行っている。