ニュース 2022.03.28. 17:36

様々な課題がある中、公立4校でスタートした「Liga Agresiva沖縄」

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高校野球のリーグ戦、Liga Futuraは昨年、Liga Agresivaと名称を変更した。そして全国各地でリーグ戦が始まった。一昨年までは、大阪府、新潟県、長野県の3府県だったが、昨年は15都府県の高校が参加するまで広がった。沖縄県でも昨年から4つの県立高校が参加して、リーグ戦が始まった。




ドミニカ共和国の野球に刺激を受けて


「Ligaの考え方は、野球指導者の阪長友仁さん(NPO法人NPO法人BBフューチャー理事長)のセミナーで話を聞いていました。そして他県でやっているのを聞いて、何年か前からやろうと思っていたのです。
以後、リーグ戦をやるタイミングをうかがっていたのですが、昨年、少し余裕があったので県内の高校に何校か声をかけて、4校でスタートすることにしました」

沖縄県立普天間高校の川満亨監督は語る。川満監督は2017年に阪長氏の案内でドミニカ共和国の少年野球に触れた。

「現地の高校生たちは、日本とは全く違う環境で野球をしていました。練習も何もかも違い、認識が変わりました」

沖縄県立那覇西高校の島袋俊哉監督も阪長氏のセミナーを受けた指導者だ。

「沖縄の高校野球では昔のような強い指導はなくなったし、ずいぶん変わったとは思いますが、それでも甲子園を目指す思いは強いです。阪長さんのセミナーで印象に残っているのは“甲子園の大会がなかったとしても、高校野球の指導をしますか?”という問いかけです。一瞬考えたけど、やれる指導者でいたいと思いますね」

沖縄県立那覇商業高校の上原健吾監督は、1997年夏の甲子園でベスト8になった浦添商のメンバーだった。しかし少年野球時代の指導者の影響もあって、選手に任せるべきところは任せて、締めるところは締めるという指導法だという。

「日本では甲子園がゴールみたいになっています。それに、沖縄の子は高校で野球を終わってしまうことが多いんです。内地では大学や社会人で野球を続けている人も多いと思うんですが、その点が違うなと思います。それから特待生などで、内地の高校に行ってしまう子が多いのも気になっています。私は子供たちに高校野球がゴールではなく、次を目指させたいですね」

沖縄県立浦添高校の大嶺真監督は、参加した動機として
「試合の運営方法もそうですが、生徒がどういう反応をするのか、どんな変化があるのか見て見たかったんです。生徒に話すと即座に“やってみたいです”と返ってきました。私はもともと“ここしか守れない野球でいいのか”という疑問を持っていました。例えば、将来指導者になるときに、投手しかできません、捕手しかできませんではなくて、いろんなポジションを経験した方がいいと思います」
と語る。

スケジュール調整に苦労するも得たものは大きかった


こうしてリーグ戦は11月にスタートしたが、スケジュールの調整は非常に難しかった。沖縄県ではこの時期に「一年生大会」など、多くの試合が行われていた。球場の確保も難しかった。そんな中で、赤間、東風平、嘉手納などの公営球場も使うなどして試合を消化した。
さらに、期末考査など学校行事ともバッティングした。何とか数試合を行うことができたが、改善の余地は大きかった。他のシーズンに実施することも含めて、今後検討していくとのことだ。

しかし試合数は少なかったが、得たものは大きかった。

■川満監督(普天間高校)
「投手はストライク中心というルールもあって、投手、打者が1対1の勝負ができました」
■島袋監督(那覇西高校)
「うちは人数が少なかったので“投手と捕手は全員やってください”ということになりましたが、選手の適性を試すいい機会になりました。そんな中で感覚をつかんだ子がいたのは良かったと思います」
■上原監督(那覇商業高校)
「レベルはバラバラですが4~5人は投手を作って、自分たちでローテーション考えたり、80球と球数制限を設定しなので“その制限内で何イニング投げます”と目標を宣言して、少ない球数で投げるようにしたり、普段使わない頭を使えてよかったと思います」
■大嶺監督(浦添高校)
「投手が、四球2個出したらその時点で交代とか、ボールから入るのが3人続いたら交代とか、投手陣と相談しながら決めました。そういう状況になると、何も言わなくても、次の選手が準備し始めるんですね」

視野を広げ、成長する機会に

ただ、運営面でも改善点はある。川満監督は語る
「Ligaはスポーツマンシップについて学ぶことが前提になっています。4校の全選手、指導者が理解を深めたうえでリーグ戦ができれば、もっといい試合、場面が増えたのかなと思います。その点しっかり準備ができなかったのが反省点です」

全国で始まったLiga Agresivaでも、その地方ならではの事情があって、運営は必ずしも順調とは言えなかった。しかし、そんな中で学校、地域、父母などの理解を得ながらリーグ戦を運営することは、選手のみならず指導者にとっても視野を広げ、成長する機会となるはずだ。

4校から始まったLiga Agresiva沖縄が今後、どんな展開をするのか、注視していきたい。(取材・文・写真:広尾晃)
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