ニュース 2022.04.04. 18:50

選手たちの「学び」にもつながった「甲子園夢プロジェクト」、慶應義塾高校野球部員達の声

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3月6日、慶應義塾日吉台野球場で、甲子園を目指す知的障碍児の集まりである「甲子園夢プロジェクト」と、慶應義塾高校硬式野球部との対面合同練習会には、多くの慶應義塾高校生が参加したが、その中で障碍のある生徒を「マンツーマン」でリードした、慶応義塾の2年生たちに、森林貴彦監督のご協力を得て、アンケートをとった。そのサマリーを紹介する。




慶應義塾高校野球部員達の声


アンケートに答えてくれたのは以下の2年生の選手たちだ(順不同)。
横地広太(内野手)、沖村要(投手)、広池浩成(投手)、福田岳杜(内野手)、後藤誉(内野手)、宮腰悠生(内野手)、村岡龍(投手)、石崎世龍(内野手)、吉野太陽(内野手)、森本亜裕夢(内野手)、吉開鉄朗(捕手)、渡邉旭(外野手)、古庄浩記(内野手)、谷口航大(内野手)、藤田大輝(外野手)、清水真輝(捕手)、中村紳之介(投手)、宮原慶太郎(外野手)

【1】「甲子園夢プロジェクト」について話を聞いてどう思いましたか?


・正直硬式で野球が出来るのだろうかと思っていた。

・久保田先生の著書(「甲子園の夢プロジェクト」主催者、久保田教諭の著書『甲子園夢プロジェクトの原点』)を拝読して、障害のある人への理解が浅かったことがわかって実際に会って話したり野球をしてみて自分で色々感じたり気づいたりしたいと思いました。

・本を読んだり、話を聞いていくうちにどんどん応援したくなるというか一緒に協力したいと言う気持ちが現れてきました。

【2】当日(3月6日)選手たちと顔を合わせてどんな印象を持ちましたか?


・もっともっと野球を教えてくれというのをひしひしと感じて、 これが今の自分に足りないんじゃないかと気付かされる言動が多かったです。そして、人と比べないで自分に勝つという考えを持っていたなと思います。

・自分の兄はダウン症を患っており、やっとコミュニケーションをとれるようになったのが高校生になってからだったため、会話や教え合う事をすぐできるが疑心暗鬼でしたが、ペアを組んだ選手とは最後に冗談を言えるほどの仲になり、新しい友達が出来た感覚になりました。

・顔合わせの時、選手の顔を見渡すと知的障碍にもレベルがあるんだなと感じました。健常者と同じような振る舞いをする選手もいれば、そうでない選手もいて、様々な環境なんだと感じました。

・自分のペアを組んだ選手は顔を合わせた時はコミュニケーションをとるのが難しいのかなと思いました。しかし、練習をしていくとペアの選手から話しかけてくれたり円滑なコミュニケーションをとることができました。

【3】ペアを組んで練習をしてみて、どう思いましたか?


・野球のことから、日常生活のことまで、これでもかというほどおしゃべりできて、最高に楽しかった。そして、野球を楽しむことに関しては、障碍の有無は関係ないな、と思った。

・コミュニケーションがとても難しいと思いました。話しかけても無視されたり、見本を見せようとしてもこっちを見てくれなかったりしました。ただ伝えられたことはすぐ吸収して、上手くなっていくのが見て取れました。

・僕は中学1年生の子を担当した。体は少し小さく非力だなと感じた。また野球の細かいルールの知識が劣っていると感じた。だが、技術に関してはそこまで変わらないと思った。

・キャッチボールをした時に想像以上にコントロールも良く、球も速くて驚きました。ノックではゲッツースローなど色々なパターンもあり、すごく野球がわかっていてびっくりしました。

・知的障碍を持つ方は自分にとって良いこと、嫌なことがはっきりとしていて極端だと感じました。そのため、個性に合ったコミュニケーションがとても大切だと思いました。

・ペアの人の成長の速さに驚かされました。最初はゴロを捕るのに怖がりながら苦戦していたが最後は逆シングルでも捕れるようになっていました。

【4】 3月6日の練習会を経験して、あなたの認識は変わりましたか?


・障碍者に対する認識が変わった。ほぼ境目なんてないし、健常者となにも変わらないと思った。今までは障碍者だから優しく接しなければならないと感じていたが、今回の交流で普通の友達のような関係でいることが相手も自分も幸せになれると感じた。

・健常者と同じように、チームを作り、指導してくれる人がいれば健常者と同じ大会に出ても引け目を取らないのではないかと本気で思いました。
・心の壁がなかったと言ったら嘘になるが、今回の交流でその隔たりがなくなって障碍のある方への理解が少しできたから今後は積極的に関わりを持てたら良いなと思いました。

・障碍の重い軽いは異なるということを、言葉ではわかっていても、本当の意味で理解できていなかったと感じました。障碍の軽い人でも、障碍があるからと言ってひとくくりにされて、野球をする権利や環境を制限されてしまっています。障碍があってもみんな平等にしようではなく、一人一人の障碍の重さを考慮した公正な判断が必要だと思います。

・認識が大きく変わりました。もちろん障碍の重さによって出来る出来ないはあると思いますが、全然僕より上手い子もいたし、野球において障碍は関係ないなと思いました。僕達はこのプロジェクトをもっと広めていく使命があってスポーツをもっと良くしていけると確信しました。

・自分たちが毎日簡単に取っているボールは夢プロジェクトのメンバーにとってはかけがえのない一球で、取りたくて仕方のないボールなのだと感じました。

・一度彼らのプレーを見たら考えが変わる可能性は大いにあるし、何よりあんなにも志高く野球に打ち込み努力している選手が当たり前に野球ができて、当たり前に甲子園が目指せる環境が整えばいいなと感じました。

・危なくて硬式野球はやらせられないという理由で学校が部を作ってくれないという話を聞いた時は、正直自分も学校の先生ならそう考えるなと思った。けど一緒に練習したり、打席に立たせてもらったりして、自分たちと同じことがふつうにできる選手もいたし、部を作ってほしいという気持ちになった。

【まとめ】


選手たちが、知的障碍のある同世代に対する認識を改め理解を深めたことが、このアンケートからもわかる。この練習会に先立って1月29日に事前にリモートでのミーティングを行っていたことが、選手の理解の促進に役立ったと思われる。
森林貴彦監督は、この話があったときに「選手たちの学びになる」と快諾したが、このアンケートは森林監督の言葉を裏付けている。(取材・写真:広尾晃)
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