ニュース 2022.07.29. 17:26

【教えて辻監督!】「ピッチャーのコントロールはどんな練習をしたら良くなりますか?」

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8月8日(月)から開催される「第42回 全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」。この大会を、監督がサインを出さない「ノーサイン野球」で18、19年に連覇しているのが「多賀少年野球クラブ」(滋賀県多賀町)。そんなチームを率いる辻正人監督を、学童野球の現役保護者でもあるトータルテンボス・藤田憲右氏が質問攻めした本【卒スポ根」で連続日本一! 多賀少年野球クラブに学びてぇ! これが「令和」の学童野球】(インプレス)の中から、全国の指導者、保護者からの質問、相談に辻監督が答える『教えて辻監督!』の章の一部を紹介します。




(しつもん)
「ピッチャーのコントロールはどんな練習をしたら良くなりますか?」


【辻】短い距離から投球練習をやらせますね。最初は短い距離でしっかりストライクを投げられるようにすることが大事です。いきなり16mの距離で練習をすると子どもも頭がパニックになってしまいますから。

【藤田】なるほど。

【辻】あとはフォームを固める上で大事なのが、ストレスなく投げさせることですね。

【藤田】ストレス?

【辻】例えば、小手先だけでコントロールしようとするピッチャーは試合で3ボールになった時に大きく外れるボールを投げることが多いんです。なぜかというと「フォアボールを出したらどうしよう」というストレスを感じて投げているから。それが筋肉の動きを止めたり鈍くしたり、可動域を狭めたりするんです。ストレスが試合中のパフォーマンスを上げることは絶対ありません。身体動作のマイナスに働きますから。

【藤田】なるほど。

【辻】だからうちのチームでは実戦練習や紅白戦で2点取られたら強制チェンジするようにしているんです。

【藤田】強制的にチェンジになることとピッチャーのストレスはどういった関係があるんですか?

【辻】どうせ2点取られたらチェンジになるんですから、3ボールになってもピッチャーがフォアボールを怖がらずに思いっきり投げられるんです。フォアボールをきっかけに大量失点して試合を壊すこともないですからピッチャーも傷つきません。だからボールカウントに関係なく、小手先でコントロールしようとせずにずっと同じフォームで投げられるようになるんです。そうやってフォーム固めをしています。

【藤田】なるほど。そんな効果があるんですね。そう考えると大量失点したピッチャーがそのあと懲罰のようにずっと投げさせられたりするのは、子どもにしたらすごいストレスですね。

【辻】そんなことをやらせても意味はないですしフォームも固まらないんですよ。小さい時にフォーム固めをするためには「●点入ったら強制チェンジ」というルールの中で投げさせてあげることが一番いいと思います。

【藤田】まずは短い距離からストライクを投げる練習。「●点入ったら強制チェンジ」というルールの中で投げさせる。そうすると小手先でコントロールをしなくなり、フォームが固まるということですね。

【辻】あと一つ、コントロールを良くするコツがあります。コントロールが悪い子がいたら、コースが悪いのか高低が悪いのか、どっちのコントロールが悪いのかをまず見極めてください。昔、多賀で教えていた則本昂大(楽天)が小学生の時にも同じようにしていたんですけど、左右のコントロールが悪い子には5〜10cm上から投げてごらんって言うんです。上下のコントロールが悪い子は逆で、腕を下げさせるんです。これ、試してみてください。いっぺんにコントロールが良くなって成長しますよ。

【藤田】へぇ! これはすごい! 横にボールが外れる子には腕を上げさせてみる、縦に外れる子には腕を下げさせてみる。

【辻】これはピッチャーだけじゃなくて野手にも効果がありますよ。僕は三塁手だったんですけど、投げる腕の高さでその日の送球の調整をしていましたから。「今日はちょっとホーム側にズレるなぁ」と思ったらちょっと腕を上げて投げたりとか。

【藤田】近江高校の元レギュラーサードが言っているのでこれは本当に効くと思います。みなさん一度試してみましょう。




藤田憲右(ふじた・けんすけ)
1975年、静岡県生まれ。トータルテンボスのツッコミ担当。高校時代は小山高のエースとして活躍。高校野球大好き芸人として有名だが、現在は息子をきっかけに学童野球にも造詣が深く、『ヤキュイク』で連載を持つほか、オンラインサロン「トータル藤田の野球教」も運営中。

辻正人(つじ・まさと)
1968年、滋賀県生まれ。近江高では三塁手として活躍。1988年「多賀少年野球クラブ」を結成。則本昂大(楽天)は同クラブOB。2016年に全国スポーツ少年団大会優勝。2018年、2019年に全日本学童大会(マクドナルド杯)2連覇。

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