【今回のお悩み相談】
お父さんコーチが勝手に技術指導していいの?
小学5年生の息子を持つ父親です。野球経験はありませんが、6年生のお父さんコーチから「チームのお手伝いしませんか?」と声を掛けていただき、息子の成長を近くで感じることができるならという思いで、お父さんコーチとしてお手伝いさせていただくこととなりました。その2~3か月ほど後、新たに3年生のお父さんコーチ3名(全員野球経験者)がチームに加わりました。
最初こそ3年生のお父さんコーチたちは、他のお父さんコーチ同様、練習の手伝い、グランド整備等を一緒に行っていたのですが、徐々に練習以外の手伝いが減少し、ご自身のお子さんがいる学年にのみ、自身の経験とYouTubeの動画を基に技術指導を行い出し、挨拶やお辞儀の仕方や声出しまで指導し変更するようになりました。最近では試合中のベンチで守備位置や走塁などの指示も出し始めています。
また、練習の際に「(同じチームの)上級生は基礎ができていないから下手。この練習をしたら絶対に上級生よりうまくなる。上級生と試合をしたら勝てるようにする」など、チームを分断するかのような発言も多くなり、何かしらの火種になりそうで非常に危機感を持っています。
この状況ってどうなのだろう? と思い相談させていただきました。
現在の状況を見ていて私が思うことは以下の3点です。
1点目:お父さんコーチが技術指導をそれぞれが行うことで、コーチによって内容が違ったりして子どもが困るのでは?
2点目:お父さんコーチは自身の子どもが卒部するといなくなる可能性があるのに、お父さんコーチの技術指導は無責任ではないのか?
3点目:学年で無用な競争を生み、チームが一丸とならないのでは?
上記を踏まえ、以下の4つをやっていく必要があるのではと思っています。
(1)代表者、監督、ヘッドコーチ、OBコーチ、お父さんコーチを組織化し役割を明確にする。
(2)異なる指導をしないために技術指導方針を決め、コーチ間で共有する。
(3)練習時は毎回持ち場を決めて、コーチの偏りを防ぐ
(4)練習メニューはOBコーチが決め、お父さんコーチに指示。(OBコーチは現場監督という位置づけです)
一般的な少年野球の指導者体制はどうなんでしょうか?
お父さんコーチが技術指導をしたりするものなんでしょうか?
この状況がよくないとした場合、どのように解決していくべきなんでしょうか?
ご指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【学童野球監督・野球パパからのアドバイス】
■学童野球監督からのアドバイス
一般的な指導体制や技術指導の有無など、基本的には子どもを中心に置いた『子どもファースト』にして考えたら理屈では無くもう少しスムーズにいくかと思います。また、ご相談者様が「いまの状況が良くない!」と感じたのであれば、代表もしくは監督へ想いを伝えてみてはいかがでしょうか?
ご質問についてですが、それぞれのチームで方針があると思いますので、ここでは「私のチームではこうしてる」という答え方にさせていだきますね。
1点目「お父さんコーチが技術指導をそれぞれが行うことで、コーチによって内容が違ったりして子どもが困るのでは?」
→ お父さんコーチが技術指導するのは全く問題無いと思います。但し、チーム内のコミュニケーションがある事が大前提だと思います。私のチームでは、少なくとも一週間に1度はミーティングを行って、個々の成長具合や気になる点を出しあって解消しています。
2点目「お父さんコーチは自身の子どもが卒部するといなくなる可能性があるのに、お父さんコーチの技術指導は無責任ではないのか?」
→ 指針がしっかりしていればOKだと思います。卒団と共に居なくなるのは予め考えられる事なので、そこも問題ないと思います。
3点目「学年で無用な競争を生み、チームが一丸とならないのでは?」
→ 競争自体は悪いことではないと思います。4年生が「6年生より上手くなってやるんだ!」と思うことは良いのではないでしょうか? 問題はそれが単に上級生の悪口になっていることにあると思います。上級生達が野球の基礎が出来ていないと感じるならば、高学年の責任者に思いを伝えて基礎練習をやらせてあげれば良いのではと思います。
(1)代表者、監督、ヘッドコーチ、OBコーチ、お父さんコーチを組織化し役割を明確にする。
→ 組織化する事は問題ないと思いますが、役割の部分は疑問です。お父さんコーチやOBコーチも監督と同じボランティアの部分もあります。その方の想いや温度感もありますが、気持ち的にギリギリの状態で参加してる方はそれが逆にプレッシャーになってグランドから遠のく事もあるのでは、と思います。
但し、ある程度の役割を決めて置く事は良いと思います。
(2)異なる指導をしないために技術指導方針を決め、コーチ間で共有する。
→ これは上記に書いた通り、チームとして子どもに関わる以上、大事な事だと思います。
(3)練習時は毎回持ち場を決めて、コーチの偏りを防ぐ
→ 大人の人数がある程度多いのであれば可能だと思いますが、方針がしっかり決まっていれば、持ち場やコーチの偏りは気にならないと思います。
(4)練習メニューはOBコーチが決め、お父さんコーチに指示(OBコーチは現場監督という位置づけです)。
→ 練習メニューは監督orヘッドコーチがまとめ、指示して皆で回していくのがスムーズかと思います。
■お父さんコーチからのアドバイス
まずYouTubeには指導の参考になる動画がたくさんあります。ですのでお父さんコーチがYouTubeを参考にして指導することに問題はないと思います。
守備位置や走塁への指示は絶対に必要ないと思います。私は毎回、守備位置の指示は「ソコでイイと思うか?」と声掛けします。それによって気づいてない子は位置を変えるし、分かってる子はあえてそこにいると自己判断で変えません。「もっと前!」「下がれ!」など都度都度、大人が全部指示をすると子どもの考える機会を奪ってしまいます。
1点目「お父さんコーチが技術指導をそれぞれが行うことで、コーチによって内容が違ったりして子どもが困るのでは?」
→ お父さんコーチと指導者で共有できているのなら問題ないし、それがチームとして正しいと思ったのならば全員で同じ指導をしたら良いと思います。
2点目「お父さんコーチは自身の子どもが卒部するといなくなる可能性があるのにお父さんコーチの技術指導は無責任ではないのか?」
→ 無責任ではないと思います。優秀であるならばチームがお願いして残ってもらうか、たまにアドバイスに来てもらうなりすればいいと思いますし、その方の指導が素晴らしいのであればその方の練習方法を継承すれば良いのではないでしょうか?
3点目「学年で無用な競争を生み、チームが一丸とならないのでは?」
→ 私のチームは各学年ごとにチームを作っていつもバラバラで活動しています。学年ごとに指導方針も違うし指導者も違うので同じチームという気持ちもあまりありません。同じ大会にAチームとBチームとして出場する事もあります。そこに無用な競争など生まれてはおりません。
他のチームの体制、運営方法など気になるのであれば、近隣で結果を残してるチームの練習を見学に行って、色々とお話を聞いてみてはいかがでしょうか?