ニュース 2022.08.18. 11:25

【導く力 自走する集団作り】「心技体を磨き上げる」(高松商業・長尾健司監督)


■部員全員で作った「イチローレポート」


夢のような2日間が終わったあと、私は部員たちに告げた。
「みんなで協力して、『イチローレポート』を作ろう。それぞれが良い質問をしていたと思うけど、イチローさんの考えを全員が聞いていたわけではないやろう。みんなが聞いた言葉を共有することで、チームの力が上がっていく。野球ノートに、イチローさんから教わったことを書いてきてほしい」

こうして出来上がったのが、『第1回イチローレポート』である。わざわざ、「第1回」と入れたのは、「いつの日か2回目の指導を受けたい!」という気持ちの表れだ。一部ではあるが、その中身を紹介したい。何かひとつでも、読者のみなさんの参考になれば幸いである。

Q.バッティングではどのような意識でバットを出しているか
「ボールのラインに合わせて、レベルでバットを出していく。上から叩いてしまうと、ミートポイントがわずかしかないため、芯で捉える確率が下がってしまう。トップを作るときから、バットを地面と平行にしておくとレベルで出しやすい」

Q.安定した送球を投げる方法と肩を強くする方法
「自分が投げやすい安定した形をキャッチボールで見つけて、実戦でも捕球してからその形に持っていけるようにする。体が開いたりしないようにして、低い球で真っすぐ投げられる形を練習し、それができるようになったら距離を延ばしていく。遠投でも投げ方を変えないことが大事」

Q.外野守備での構えと一歩目の切り方
「足を平行にして、ヒザの上に手を置いた状態で構える。体を浮かさず、目線を変えないように我慢して、一歩目を切る(走塁と同じ)。判断の難しい打球ほど、一度沈むぐらいの意識で一歩目を切る」

Q.フェンス際の打球の捕り方
「右手を使って、フェンスとの距離を判断する。レクザムスタジアムでは、赤土を頼りにして距離を測る。定位置からフェンスまでの距離、歩数を、あらかじめ把握しておく」

Q.セーフティーバントのコツ
「バッティングと一緒で、体の中でやるとボールの力に負けない。走りながらしてしまいそうになるが、やってから走ることを意識する。バントを失敗するときはヘッドが寝ていることが多いので、バットを立てて、少しだけ寝かした形にする。バットを地面と平行にすると、ヒジが逃げてしまう。イチローさんの場合は、フライになるのが怖いので、一塁側にはほとんどしないで三塁側を狙う。サードの位置などを見て仕掛ける」

Q.外野前に飛んだ、捕れるか捕れないかの微妙なフライの判断への対応
「前に行かないと、ノーバウンドで捕球することはできないので、捕れると思ったら前に出ること。ノーバウンドで捕球できないときには、体を使って必ず止める。一番いけないことは、捕れない打球にダイビングで飛び込み、後ろに逸らすこと」

高校生が書いたことなので、少しわかりにくい表現もあるかと思うが、彼らなりに学び、吸収しようとしていた。その姿勢が何よりも大事なことである。

(続きは書籍で......)

目次


第1章 指導者としての原点
「失敗」と書いて、「成長」と読む/トップダウンの罰に意味はない/Education=引き出す/プロに進んだ剛腕左腕を攻略 ほか

第2章 良き伝統を作り上げる
厳しい上下関係を撤廃する/全部員が平等に練習できる環境を作る/多くの選手を試合で起用する/負けたのは選手の責任 ほか

第3章 やんちゃ軍団が果たしたセンバツ準優勝
明治神宮大会で起きた奇跡/試合の空気を変える男になれ/逆転勝ちの多さこそ主体性の表れ/今も残る決勝戦での後悔 ほか

第4章 4元号での甲子園勝利
センバツ準優勝後に苦しんだ2年間/夏に勝つための考え方/選手の考えを尊重した継投/最強打者を二番に置く打順 ほか

第5章 心技体を磨き上げる
考えもしなかったイチローさんからの直接指導/ピッチングの基本は「釣り竿」にあり/「もうダメだ」ではなく「まだダメだ」 ほか

終章 私の原点〜学びの大切さ
ひそかな夢は甲子園で早稲田実と戦うこと/『勝利の女神は謙虚と笑いを好む』/「優」しい人間が「勝」つ

書籍情報


導く力 自走する集団作り」(著・ 長尾健司 高松商業野球部監督)
竹書房
定価1800円+税

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