「昨年辻さんに来て頂いたことが記事で紹介され、チームのSNSなども見て頂く機会が増えて15名だった部員も34名に増えました。今は県外から通ってくれている子、園児も数名もいるんです」
そう話してくれたのは城東ベースボールクラブ(東京都江戸川区)の監督森糸法文さん。昨年4月に結成されたチームはヤキュイクでも9月に取材しました。そんなチームに全国優勝3度の多賀少年野球クラブ(滋賀県多賀町)の辻正人監督がやってくると聞いて、江戸川区のグラウンドに足を運びました。子どもを飽きさせない、楽しく上達させる練習で有名な辻監督はどんな練習を行ったのでしょうか?
練習が行われたのは江戸川区の水辺のスポーツ公園。昼間の暑い時間を避けて日の落ちた19時からスタート。グラウンド周辺には辻さんの練習を見ようと30人近い保護者の姿もありました。この日の練習は、投げる、捕るがまだおぼつかない野球歴の浅い低学年のグループと、捕る・投げるがしっかりできる高学年を中心にした2つのグループに分かれて行われました。
低学年のグループで行われたのは主にゴロ捕球とフライキャッチの練習。
フライキャッチの練習では、まず子ども達が一箇所に集まり、10メートルちょっと離れた距離からコーチが手であげるフライを体の正面でキャッチします。これを何度か繰り返してから、今度は3つのグループに分かれます。一番右のグループルは8メートルくらいの距離から、あまり上がりすぎないハーフライナー気味のフライをキャッチする練習を繰り返します。これが捕れるようになると隣のグループに移動して、今度は12メートルほどの距離から高く上がったボールを体の横でキャッチする練習。捕れなければ前のグループに戻ります。捕れるようになると、今度は20メートルほどの距離でフライをキャッチするという、一番難易度の高いフライキャッチの練習。ここでも捕れなければ1つ前のグループに戻ります。
「フライを捕る時の姿勢は手足の関節を全部曲げること。間寛平の『かいーの』のポーズで捕るんやで」と辻監督。しかし、間寛平が分からない東京の子ども達はキョトン。それでも、辻監督のお手本の姿勢を真似ながらフライキャッチの練習に明け暮れる子どもたち。捕れれば次のステージに上がり、捕れなければ前のステージに戻るというゲーム性があるため、子ども達は飽きることなく楽しそうに夜空に浮かぶ白球を追っていました。
このとき、一番下のグループではある事件が起きていました。2年生の女の子が「怖い怖い、捕れない」と泣き出してしまったのです。聞けば以前の練習でボールが顔に当たったことがあり、それ以来ボールを怖がっているといいます。そこにすかさず辻監督が駆けつけると、女の子とグラウンド脇でマンツーマンでのフライ特訓がスタート。特訓といっても、2メートルほどの距離からトスされるボールを体の横に構えたグローブでキャッチするというもの。女の子がキャッチしているというよりも辻監督がグローブの中にボールを投げ入れていると言った方が正しいかもしれません。それでもボールがグローブに収まると「上手いやーん! 上手上手!」「うわぁ! また捕れた! 上手くなったなぁ」と辻監督は大げさに女の子を褒めちぎります。
キャッチできる頻度が上がってくると少しずつフライも高くなり、辻監督と女の子の距離も伸びていきます。気がつけば5メートルほどの距離からのフライも女の子は捕れるようになっていました。
「もう大丈夫やで。みんなと捕っておいで」と女の子を再びグループに戻すと、ついさっきまで捕れずに泣いていたのが嘘のように女の子は何度もフライをキャッチ。表情もどこか得意げになり、最後はフライをあげ続けてくれたコーチと笑顔でグータッチを交わすまでになりました。
辻監督は言います。
「野球を始めたばかりの子は自分の正面に飛んでくるボールが怖いものなんです。だから正面じゃなくて、避けながらでいいよ、体の横で捕っていいよって言ってあげることが大事なんです」
「だから野球初心者の子どもとキャッチボールをするお父さんには、『小さい子どもは正面に飛んでくるボールが怖い』ということを覚えておいて欲しいですね」
そう話してくれたのは城東ベースボールクラブ(東京都江戸川区)の監督森糸法文さん。昨年4月に結成されたチームはヤキュイクでも9月に取材しました。そんなチームに全国優勝3度の多賀少年野球クラブ(滋賀県多賀町)の辻正人監督がやってくると聞いて、江戸川区のグラウンドに足を運びました。子どもを飽きさせない、楽しく上達させる練習で有名な辻監督はどんな練習を行ったのでしょうか?
■ボールが怖いと泣いていた女の子
練習が行われたのは江戸川区の水辺のスポーツ公園。昼間の暑い時間を避けて日の落ちた19時からスタート。グラウンド周辺には辻さんの練習を見ようと30人近い保護者の姿もありました。この日の練習は、投げる、捕るがまだおぼつかない野球歴の浅い低学年のグループと、捕る・投げるがしっかりできる高学年を中心にした2つのグループに分かれて行われました。
低学年のグループで行われたのは主にゴロ捕球とフライキャッチの練習。
フライキャッチの練習では、まず子ども達が一箇所に集まり、10メートルちょっと離れた距離からコーチが手であげるフライを体の正面でキャッチします。これを何度か繰り返してから、今度は3つのグループに分かれます。一番右のグループルは8メートルくらいの距離から、あまり上がりすぎないハーフライナー気味のフライをキャッチする練習を繰り返します。これが捕れるようになると隣のグループに移動して、今度は12メートルほどの距離から高く上がったボールを体の横でキャッチする練習。捕れなければ前のグループに戻ります。捕れるようになると、今度は20メートルほどの距離でフライをキャッチするという、一番難易度の高いフライキャッチの練習。ここでも捕れなければ1つ前のグループに戻ります。
「フライを捕る時の姿勢は手足の関節を全部曲げること。間寛平の『かいーの』のポーズで捕るんやで」と辻監督。しかし、間寛平が分からない東京の子ども達はキョトン。それでも、辻監督のお手本の姿勢を真似ながらフライキャッチの練習に明け暮れる子どもたち。捕れれば次のステージに上がり、捕れなければ前のステージに戻るというゲーム性があるため、子ども達は飽きることなく楽しそうに夜空に浮かぶ白球を追っていました。
このとき、一番下のグループではある事件が起きていました。2年生の女の子が「怖い怖い、捕れない」と泣き出してしまったのです。聞けば以前の練習でボールが顔に当たったことがあり、それ以来ボールを怖がっているといいます。そこにすかさず辻監督が駆けつけると、女の子とグラウンド脇でマンツーマンでのフライ特訓がスタート。特訓といっても、2メートルほどの距離からトスされるボールを体の横に構えたグローブでキャッチするというもの。女の子がキャッチしているというよりも辻監督がグローブの中にボールを投げ入れていると言った方が正しいかもしれません。それでもボールがグローブに収まると「上手いやーん! 上手上手!」「うわぁ! また捕れた! 上手くなったなぁ」と辻監督は大げさに女の子を褒めちぎります。
キャッチできる頻度が上がってくると少しずつフライも高くなり、辻監督と女の子の距離も伸びていきます。気がつけば5メートルほどの距離からのフライも女の子は捕れるようになっていました。
「もう大丈夫やで。みんなと捕っておいで」と女の子を再びグループに戻すと、ついさっきまで捕れずに泣いていたのが嘘のように女の子は何度もフライをキャッチ。表情もどこか得意げになり、最後はフライをあげ続けてくれたコーチと笑顔でグータッチを交わすまでになりました。
辻監督は言います。
「野球を始めたばかりの子は自分の正面に飛んでくるボールが怖いものなんです。だから正面じゃなくて、避けながらでいいよ、体の横で捕っていいよって言ってあげることが大事なんです」
「だから野球初心者の子どもとキャッチボールをするお父さんには、『小さい子どもは正面に飛んでくるボールが怖い』ということを覚えておいて欲しいですね」