学童野球の現役保護者でもあるトータルテンボス・藤田憲右氏が、日本一3度の強豪「多賀少年野球クラブ」の辻正人監督を質問攻めした本【「卒スポ根」で連続日本一! 多賀少年野球クラブに学びてぇ! これが「令和」の学童野球】(インプレス)。
この本の中から、全国の指導者、保護者からの質問、相談に辻監督が答える『教えて辻監督!』の章の一部を紹介します。
息子のチームの監督、コーチの怒声、罵声が酷いです。彼らは「子どものメンタルを鍛えている。この程度のプレッシャーに負けるような子は甲子園には行けない」と言っています。子どもは全然楽しそうに野球をしていません。辻さんはどう思いますか?
【辻】この罵声を浴びせている監督、コーチの方は、毎日会社で上司から罵声を浴びせられたら仕事の成績がすごく上がるんですかね?
【藤田】絶対上がらないですよ。
【辻】それと一緒だと思うんですよね。野球も会社も一緒です。上司から罵声を浴びせられても成績が上がることはないと大人は分かっているのに、子ども達には罵声で成長を求めるのはちょっと無理がありますよね。
【藤田】そうですよね。
【辻】でも、今はこんなふうに偉そうに話していますけど、僕も昔はやっていました。子ども達にめちゃくちゃ罵声を浴びせていました。
【藤田】はいはい、昔はね。
【辻】全国大会では緊張やストレス、プレッシャーで子ども本来の実力の70%くらいしか発揮できていなかったんです。だから全国大会でも実力を発揮させるために、日頃から実力以上の練習メニューを組んだり、罵声で本番以上のストレス、プレッシャーをかけたりしないといけないと思っていたんです。
【藤田】それが、そうじゃなかった?
【辻】そうなんです。本来の実力、それをそのまま出させてあげれば良かったんです。緊張、ストレス、プレッシャーがあるから実力の70%しか発揮できないんだったら、それらを取り除いてあげたら良かったんです。
【藤田】なるほど。
【辻】それをやった次の年に日本一になりましたから。
【藤田】どういうことをしたんですか?
【辻】単純なことですよ。第1章でもお話していますけど、フルスイングをする、ファーストまで全力疾走する、これができたら必ずチーム全員で褒め合うようにしただけなんです。これならバッターボックスに立つだけで、子どもはもう成功しているんです。
【藤田】フルスイングしてまず褒められる。それが凡打になってもファーストまで全力疾走すればまた褒められる。そういうことですね。
【辻】そうなんです。そこでさらにヒットを打ったら3つ褒められるんです。これをやっただけで子ども達がめちゃくちゃ打つようになったんです。
【藤田】プレッシャーなくガンガン振れるようになったからですね。
【辻】そうなんです。そんな単純なことで? と思われるんですけどね。すごく効果が出るのでぜひやってみていただきたいですね。
【藤田】実はこれ、うちの息子のチームでも取り入れたんです。でも意外と難しいんですよね。ヒットが出た時は本気で盛り上がるんですけど、凡打で盛り上がるのは疑似だからどこか恥ずかしがるんですよね。
【辻】うちもはじめはそうでしたよ。子ども達は恥ずかしがっていました。だから喜ぶ練習を大人がまずやったんです。野球って喜びすぎるのは相手に失礼みたいな文化があるじゃないですか? だからそこを取り除くためにも、ヒットが出た想定で「うわーっ!」って大人が喜ぶ手本を見せたんです。はじめは大人も恥ずかしかったですよ(笑)。だから大人がまず喜ぶ練習をしてください。
【藤田】喜ぶ練習かぁ。面白そうですね。
藤田憲右(ふじた・けんすけ)
1975年、静岡県生まれ。トータルテンボスのツッコミ担当。高校時代は小山高のエースとして活躍。高校野球大好き芸人として有名だが、現在は息子をきっかけに学童野球にも造詣が深く、『ヤキュイク』で連載を持つほか、オンラインサロン「トータル藤田の野球教」も運営中。
辻正人(つじ・まさと)
1968年、滋賀県生まれ。近江高では三塁手として活躍。1988年「多賀少年野球クラブ」を結成。則本昂大(楽天)は同クラブOB。2016年に全国スポーツ少年団大会優勝。2018年、2019年に全日本学童大会(マクドナルド杯)2連覇。
この本の中から、全国の指導者、保護者からの質問、相談に辻監督が答える『教えて辻監督!』の章の一部を紹介します。
【しつもん】
息子のチームの監督、コーチの怒声、罵声が酷いです。彼らは「子どものメンタルを鍛えている。この程度のプレッシャーに負けるような子は甲子園には行けない」と言っています。子どもは全然楽しそうに野球をしていません。辻さんはどう思いますか?
【辻】この罵声を浴びせている監督、コーチの方は、毎日会社で上司から罵声を浴びせられたら仕事の成績がすごく上がるんですかね?
【藤田】絶対上がらないですよ。
【辻】それと一緒だと思うんですよね。野球も会社も一緒です。上司から罵声を浴びせられても成績が上がることはないと大人は分かっているのに、子ども達には罵声で成長を求めるのはちょっと無理がありますよね。
【藤田】そうですよね。
【辻】でも、今はこんなふうに偉そうに話していますけど、僕も昔はやっていました。子ども達にめちゃくちゃ罵声を浴びせていました。
【藤田】はいはい、昔はね。
【辻】全国大会では緊張やストレス、プレッシャーで子ども本来の実力の70%くらいしか発揮できていなかったんです。だから全国大会でも実力を発揮させるために、日頃から実力以上の練習メニューを組んだり、罵声で本番以上のストレス、プレッシャーをかけたりしないといけないと思っていたんです。
【藤田】それが、そうじゃなかった?
【辻】そうなんです。本来の実力、それをそのまま出させてあげれば良かったんです。緊張、ストレス、プレッシャーがあるから実力の70%しか発揮できないんだったら、それらを取り除いてあげたら良かったんです。
【藤田】なるほど。
【辻】それをやった次の年に日本一になりましたから。
【藤田】どういうことをしたんですか?
【辻】単純なことですよ。第1章でもお話していますけど、フルスイングをする、ファーストまで全力疾走する、これができたら必ずチーム全員で褒め合うようにしただけなんです。これならバッターボックスに立つだけで、子どもはもう成功しているんです。
【藤田】フルスイングしてまず褒められる。それが凡打になってもファーストまで全力疾走すればまた褒められる。そういうことですね。
【辻】そうなんです。そこでさらにヒットを打ったら3つ褒められるんです。これをやっただけで子ども達がめちゃくちゃ打つようになったんです。
【藤田】プレッシャーなくガンガン振れるようになったからですね。
【辻】そうなんです。そんな単純なことで? と思われるんですけどね。すごく効果が出るのでぜひやってみていただきたいですね。
【藤田】実はこれ、うちの息子のチームでも取り入れたんです。でも意外と難しいんですよね。ヒットが出た時は本気で盛り上がるんですけど、凡打で盛り上がるのは疑似だからどこか恥ずかしがるんですよね。
【辻】うちもはじめはそうでしたよ。子ども達は恥ずかしがっていました。だから喜ぶ練習を大人がまずやったんです。野球って喜びすぎるのは相手に失礼みたいな文化があるじゃないですか? だからそこを取り除くためにも、ヒットが出た想定で「うわーっ!」って大人が喜ぶ手本を見せたんです。はじめは大人も恥ずかしかったですよ(笑)。だから大人がまず喜ぶ練習をしてください。
【藤田】喜ぶ練習かぁ。面白そうですね。
藤田憲右(ふじた・けんすけ)
1975年、静岡県生まれ。トータルテンボスのツッコミ担当。高校時代は小山高のエースとして活躍。高校野球大好き芸人として有名だが、現在は息子をきっかけに学童野球にも造詣が深く、『ヤキュイク』で連載を持つほか、オンラインサロン「トータル藤田の野球教」も運営中。
辻正人(つじ・まさと)
1968年、滋賀県生まれ。近江高では三塁手として活躍。1988年「多賀少年野球クラブ」を結成。則本昂大(楽天)は同クラブOB。2016年に全国スポーツ少年団大会優勝。2018年、2019年に全日本学童大会(マクドナルド杯)2連覇。