ニュース 2022.11.29. 18:17

【山田西リトルウルフ】何のために子どもにスポーツをやらせるのか?


子ども達が社会に出たときの姿を想定して指導する


——現在は部員が130人ということですが、ここ数年メディアで紹介される機会が多くなって部員が増えたのでしょうか?

総監督:
いえ、もうずっと前からですね。30年以上ずっと100人を超えていますね。OBのT-岡田(オリックス)が卒団した後くらいがピークで、その頃は240人くらいいましたね。

——そんなに多くなると試合に出られないことかできてませんか?

総監督:
そこは学年ごとに分かれてA、Bチームを作ったりして、できるだけ全員が試合に出られるようにしています。たまに大会の決勝がウルフA対ウルフBになったりすることもあるんですよ。

——長年、ほぼ口コミだけで多くの子どもが集まってくる要因はどこにあると思いますか?

総監督:
やっぱり一番はおばちゃんの存在でしょうね。保護者の方が知り合いの方とかに「子どもに何かスポーツやらせるんやったウルフがえぇよ」「おばちゃんとこに預けたらえぇよ」と口コミで広めていただていることが大きいと思いますね。

おばちゃん:
卒団してチームに自分の子どもがもういないのに、それでも今、32人のお父さんがコーチとしてチームに戻ってきてくれています。そういうチームはなかなかないと思います。

総監督:
今年は4人の卒団生が甲子園に出ましたけど、その子達も含めて卒団した子たちも高校野球を終えるとき、ほとんどの子が挨拶に来てくれるんです。「そんなのいちいち来んでえぇよ」とは言っているんですけど、でもやっぱり来てくれると嬉しいですよね。

——それくらい、親も子どももウルフに愛着を持ってくれているということですね。

総監督:
50周年記念の集まりをやったときも、一期生を含めて250人の卒団生が集まってくれました。還暦を超えてる方や会社の重役になっている方とかもいらっしゃるんですけど、皆さんウルフで野球をやっていたことを誇りに思っておられて、「ウルフのお祝い事やったら是非いきたい」と言うてくれたことがめちゃくちゃ嬉しいですし、ありがたいですね。

おばちゃん:
みんな大きくなってもウルフのことは忘れないらしいですよ。

——大人になっても、少年野球で学んだことを忘れない、誇りに思えるってすごいですね。

おばちゃん:
私らは子ども達の今の姿を見ていません。この子らが20歳を超えて社会に出たときの姿を想定して、いま、いろんなことを言うて聞かせています。そういうことを心がけて子ども達にスポーツを教えていくべきやと思います。それをやらないと、何のためにスポーツをやらせているか分からないじゃないですか。
運動神経と体力と心を育てて、初めてスポーツをやらせる値打ちがある。それが子ども達を預かっている以上は、私らの役目だと思っているので、そこをしっかり育ててあげて卒業させてあげたいんです。

ウルフを通じて子ども達にかかわった以上は、次の世代を育てることが先に生まれた者としての役目ですよね。試合に勝った負けたということよりも、そういうことの方が大事だと思っていますから。

(取材・文・写真:永松欣也)

< 1 2

ポスト シェア 送る

もっと読む

連載・コラム
カラダづくり
練習
お役立ち
チーム紹介
TOPICS