【パワーポジションデータを活用したバッティング練習】
バッティング練習でもヒーローズならではの光景が見られた。
まずバントのような構えから3球ほどボールをバットの上、または下を通過させて見送る。バントの空振りのような形だ。これにも人によって違いがあるパワーポジションが関係している。
パワーポジションが下バランスの選手はバントの構えで、ヘッドを立てるようにして、バットの上を通過させる形でボールを見送る。上バランスの選手はグリップよりもヘッドが低い位置で設定してバットの下を通過させる。
これは、バットの扱い方を覚えることと、ボールのラインに対して、自分はどのようにスウィングでアプローチしていったらよいか、それぞれのパワーポジションに応じて、自然な感覚でスイングする感覚を養うために行われている。
ちなみに下バランスの代表的な選手はイチロー氏、上バランスの代表的な選手は杉本祐太郎選手(オリックス)なのだそうだ。
こういった練習に取り組むのは、動きのイメージを頭で描けた状態で練習に取り組むため。
「まずやることのイメージを言葉で揃えていきます。なぜかというと脳の前頭葉で自分たちがやることを理解して、イメージができた状態から体に落としていく。この流れを作っていきたいからです。何をやるか分からないという状態から、何をしたら良いか分かるという状態を作る、それが中学生を指導する上で一番大事だと思っています」(木村監督)。
中学生年代は筋骨格系の成長差が大きい時期だが、そこだけにフォーカスするのではなく、脳と神経をたくさん使い、そこから筋骨格系に繋げていくという方向性でアプローチすることで、成長差に関係なくみんなが取り組めると木村監督は考えている。
スタートを切ったばかりのヒーローズの新しいアプローチが、今後野球界にどのように広がっていくのか注目したい。(取材・写真:永松欣也)