ニュース 2023.04.07. 15:45

都会のど真ん中で大人も子どもも野球を楽しむ|四谷外苑ユナイテッド


【「勝つ」ことよりも「力を合わせる」こと】




最近では「勝利至上主義」とは真逆の「楽しい」に振り切ったチームも多く見られる。だが、「楽しい」と「強い」は少年スポーツにおいてはトレードオフである場合が多い。四谷外苑ユナイテッドも例外ではなく、先日は全国レベルの強豪チームに大敗を喫したという。

だが、だからといって「もっと練習量を増やそう」「もっと厳しくやろう」とは考えていないと高学年チームを預かる藤井正敏さんは話す。

「これまでは『自由に楽しく』でよかった子どもたちの中にも、5、6年生になると『強くなりたい、勝ちたい』という気持ちが出てくる子もいます。ですから『自由に楽しく』ということとのバランスが難しくなってきます。とは言っても、全員が全員『強くなりたい、勝ちたい』と思っているわけではないので、そこがさらに難しいところでもあるのですが(笑)。

ですので、例えばゴロを捕るのが苦手、フライを捕るのが苦手な子がいたとして、スパルタ式で捕れるように練習をさせるのではなく、その子の性格や個性などを見ながら、その子が野球を嫌いにならない範囲内で練習をさせることが大事だと思っています。『やらせている、やらされている』という関係にはしたくないですからね」



藤井さんの理想は、上手くなるためにはどうしたらいいのかを子どもたちが自分で考えること。

「それが野球だけでなく、社会に出たときにも繋がってくると思いますから」

低学年チームを預かる中川慎太郎さんはこう話す。

「やる以上はもちろん勝利を目指します。でも大人が怒鳴って、子どもが萎縮するようになってまで目指すものではないと思っています。厳しい練習をたくさんやれば今よりも勝てるようになるのかもしれないですけど、子どもたちは小学校の野球がゴールではないですから」



多くの部員を抱えるチームでは学年毎に活動するチームも多いが、同じチームでありながら学年毎の指導者によって方針や考え方が異なるという場合も多い。だが、四谷外苑ユナイテッドは、小学校の野球がゴールではない、という方針で高学年チームも低学年チームも指導者の考え方が一致している。



最後に代表の松田さんにチームとしての今後の目標、目指すところについて聞いた。

「子どもたちにも当然上手い、下手はあります。上手い子が打って、投げて、勝つ。でも毎回上手い子ばかりが活躍して勝つわけではありません。彼等が不調の時は誰かが助ける。上手い子も、そうでない子も協力し合う、力を合わせる。そういうことをこれからも子どもたちに教えていきたいと思っています。

試合は相手があってのことで勝つこともあれば負けることもあります。だから『勝つ』ことは目指しますが、それよりもまずは『力を合わせる』こと、それを一番大事にしていきたいと思っています」

「勝つ」ことは目指しつつも、それは必ずしも目的ではない。目的は子どもたちが野球に触れ、野球を好きになり、次のカテゴリーでも続けてもらうこと。実際、卒団生のほとんどが中学でも野球を続けている。甲子園常連の強豪校で野球を続けているOBも増えてきているという。

小学校の野球がゴールではないのだ。

(取材・文・写真:永松欣也)

*後編に続きます。

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