ニュース 2023.05.05. 18:01

見据えるのは中3の秋、焦らず基本から丁寧に指導|横浜港北ポニー

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現在の中学3年生たちが3期生。まだまだ設立間もない中学硬式野球チーム「横浜港北ポニー」。小学校時代にチームの主力だった選手やトップレベルの選手たちが集まってきているチームではない。だからこそ、キャッチボールはもちろん、野球の基本からじっくり指導している。また、他競技との掛け持ち、勉学の優先なども積極的に奨励している。そんな横浜港北ポニーを率いる、菊池栄次郎監督にお話を聞きいた。




——創設して今年が3年目だそうですが、チームを立ち上げたいきさつから教えてください。

別のポニーで監督をやっていたのですが、そのチームが諸事情によって解散になってしまったんです。解散当時は3年生が9人いて、「この子たちどうなるの?」となったときに、保護者の皆さんからチームを作って欲しいという話しがあり、それで立ち上げたのがきっかけです。

——チームを立ち上げるにあたって、大変なことなどはありましたか?

道具もないですしグラウンドもない、お金もない。そんななかでまずは道具を用意することが大変でしたね。

——現在の部員は26名(2023年4月時点)だそうですが、品川や八王子、鎌倉など遠方から通っている子もいるそうですね。遠方からでもこのチームに入りたいと思われた理由はどんなところにあると思いますか?

昔ながらの指導ではなくて、1人1人にあった指導をきめ細かくやっていること、一対一で教える時間も増やしていること、選手が自主的に活動できる環境があること、そういう方針が1つの要因かもしれませんね。実際、チームのSNSやHPでもそういったことを発信しています。

——チームの指導方針や指導ポリシーなどがあれば教えてください。

「面白おかしく厳しく」ということを選手達にいつも言っています。楽しくやるだけでは試合に勝てませんし、試合に勝てないと楽しくありませんよね。勝ち負けは別にしても、勝つ為にはどういうふうにやっていくか? そうやって試合で生きる練習をするのがチームのモットーです。楽しくやるのは良いのですが、厳しくやる瞬間も大事にするというメリハリを付けて練習をしています。



——中学硬式野球で他のスポーツとの掛け持ち、塾で欠席、早退OKというのは珍しいですね。

もともと野球は「究極の遊び」だと思っていますし、野球に限らず本人がやりたいことをやって欲しいと思っています。この年代の子たちにはマルチスポーツは凄く大事ですし、むしろ他のスポーツもやった方が良いと思っています。水泳や学校の陸上部に入っている子もいますけど、高校ではそういった他のスポーツとの掛け持ちが難しくなってくると思いますから、中学のうちはやりたいことをやらせてあげたいですね。

——このチームで野球をはじめた子もいるそうですが、初心者が中学硬式野球チームに入るのも珍しいですね。

私もコーチたちも初心者歓迎というスタンスです。実際、捕る、打つ、投げるを基本から細かく指導しますし、そういう意味では中学で初めて野球をやる子でも入りやすい硬式野球チームだと思います。
また、今は中学の部活もいろいろありますから、必ずしも熱意や経験のある指導者が学校にいるわけではないと思います。その点、クラブチームであれば指導者が勉強もしていますし経験もありますから、どうせ初めてやるならクラブチームの方が良いと思っていただいているのかもしれないですね。

——最近の中学生に感じることはありますか?

身体の面では猫背の子、股関節が硬い、動かない子が多いですし、股割りができない子も多いです。だからウォーミングアップやトレーニングではそういった点を意識していますし、子ども達の運動能力を上げることを心がけています。



——キャッチボールに時間をかけて、ゆっくり丁寧に指導をしている姿が印象的でした。

小学校時代から主力、トップレベルの子たちが集まってきているわけではありませんから、投げるだけでなく、打つ、守るもどうしても時間がかかります。ですから『コルト』という中学3年生の秋に行われる3年生大会がポニーにはあるのですが、そこをターゲットにして指導をしています。3年生の夏から秋にかけては心身共に充実してくるので、そこに間に合えば強豪チームとも良い勝負ができるかなと思っています。今の高校1年生たちがそうでした。1、2年生の頃は本当にけちょんけちょんにやらていましたけど、3年生の春から夏にかけて凄く強くなって、秋には全国制覇したチームと試合をして、負けはしましたけど結構良い勝負がでましたから。

——今後のチームの目標を教えてください。

チーム全体の目標は「積極性を持って野球をすること」です。今の子たちって指示を待つ、受け身の子が多くて、自分で考えて行動することが少ないように思います。多分、家でも学校でもそうだと思うんです。
それを乗り越えて自分たちでやりたいことをやる。こういうことをやらなきゃいけないと自分で考えて行動していこう、ということですね。
試合には勝ちたいですけど、勝つことが目標ではなくて、勝つ為には自分はどういうふうに積極的に行動するべきなのか? それを細かく一つ一つ「今のって積極的じゃなかったよね? じゃあ自分が思う積極的ってどんなの?」という感じで、本人たちと話し合いながら、突き詰めていく。そこがチームとしての目標ですね。(取材・写真:永松欣也)
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