少年野球の現場を取材していると、子どもの肘、肩に対する指導者のケア意識が一昔前よりも高まっているように感じます。とても良い傾向だと思いますが、肘、肩だけでなく腰にも注意がです。骨や筋力の弱い小学生は腰を痛めやすく、小学生時代に腰を痛めると高校、大学などで悪化する可能性もあります。ではどんなことに注意することが必要でしょうか? 東京経済大学 全学共通教育センター 特任講師の押川智貴先生にお話を聞きました。
一昔前までは、グラウンドに行くと監督に掌を見られ、家で素振りをしているかチェックされるのは当たり前の光景でした。ですが、最近では素振りを禁止にしているチームも多くなってきました。指導者に理由を尋ねると「素振りは子どもの腰に悪い」「腰椎分離症に繋がるから」という答えが返ってきます。
素振りは子どもの腰に悪いのでしょうか?
「小学生時代から素振りが積極的に実施すべき練習であると考えることはちょっと問題だと思います。毎日素振りをやり続けることによって、いずれそれが腰痛を引き起こす原因になる、個人的にはそう思います」
そう話してくれたのは東京経済大学 全学共通教育センター 特任講師の押川智貴先生。
一言で「腰痛」と言っても、腰痛にも様々なものがあり、野球選手がなりやすい腰痛は以下の3つなのだそうです。
①椎間関節が原因の腰痛(重症化すると腰椎分離症)
②椎間板が原因の腰痛(重症化すると腰椎椎間板ヘルニア)
③筋肉が原因の腰痛
「腰椎分離症」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、どんな怪我なのでしょうか?
これは簡単に言えば背骨の疲労骨折です。この「腰椎分離症」になると一定期間の強い腰痛に悩まされるだけでなく、放置して完治させないと椎間板への負担が高まりやすくなり、椎間板が後ろに飛び出す「椎間板ヘルニア」になる場合もあります。椎間板ヘルニアになると、神経を圧迫し、痺れや鈍痛、急に動いたときに鋭い痛みがあり、日常生活もままならず、野球を続けるどころではなくなってしまいます。また、腰椎が滑るように前にずれて、神経が圧迫されやすくなることで、慢性的な痺れや鈍痛に悩まされ続けることもあります。
「野球の動きの中で、特に腰に良くないのはピッチングとバッティングです。骨が弱い小学生にそれらの過度な反復練習をさせることが、腰を痛める一番の原因になってきます」
押川先生もこう警鐘を鳴らします。
なかでも「腰をまわせ!」という指導が一番の問題なのだと押川先生は言います。
「腰は構造上回りにくく、ひねることで負担が高まります。ですので『腰を回せ』という指示は、腰痛を誘発させます」
子どもは大人に「腰を回せ」と言われると、本来回らない、ひねれない腰を一生懸命に回そう、ひねろうとします。それが腰を痛める原因の一つなのだそうです。
素振りに関しては、「毎日100回振る」など、数多く振ることを目標、日課にしている子は特に注意が必要です。
「素振りもたとえば10回だったら振った後にしっかりと止まれると思いますが、数が多くなると、疲労からバットを振った後にしっかり止まることができず、フォロースルーの後にそのまま振りっぱなしになってしまいます。そうなると『回らない腰』に大きな負担をかけてしまいます」
ピッチャーは下半身に疲れが溜まってくると、それでも強いボールを投げようとして無理に腕を振ろうとすることでフォームのバランスが崩れます。それが肘や肩に負担をかけることになり怪我に繋がります。バッティングの腰も同じということですね。
【素振りは子どもの腰に悪い?】
一昔前までは、グラウンドに行くと監督に掌を見られ、家で素振りをしているかチェックされるのは当たり前の光景でした。ですが、最近では素振りを禁止にしているチームも多くなってきました。指導者に理由を尋ねると「素振りは子どもの腰に悪い」「腰椎分離症に繋がるから」という答えが返ってきます。
素振りは子どもの腰に悪いのでしょうか?
「小学生時代から素振りが積極的に実施すべき練習であると考えることはちょっと問題だと思います。毎日素振りをやり続けることによって、いずれそれが腰痛を引き起こす原因になる、個人的にはそう思います」
そう話してくれたのは東京経済大学 全学共通教育センター 特任講師の押川智貴先生。
一言で「腰痛」と言っても、腰痛にも様々なものがあり、野球選手がなりやすい腰痛は以下の3つなのだそうです。
①椎間関節が原因の腰痛(重症化すると腰椎分離症)
②椎間板が原因の腰痛(重症化すると腰椎椎間板ヘルニア)
③筋肉が原因の腰痛
「腰椎分離症」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、どんな怪我なのでしょうか?
これは簡単に言えば背骨の疲労骨折です。この「腰椎分離症」になると一定期間の強い腰痛に悩まされるだけでなく、放置して完治させないと椎間板への負担が高まりやすくなり、椎間板が後ろに飛び出す「椎間板ヘルニア」になる場合もあります。椎間板ヘルニアになると、神経を圧迫し、痺れや鈍痛、急に動いたときに鋭い痛みがあり、日常生活もままならず、野球を続けるどころではなくなってしまいます。また、腰椎が滑るように前にずれて、神経が圧迫されやすくなることで、慢性的な痺れや鈍痛に悩まされ続けることもあります。
「野球の動きの中で、特に腰に良くないのはピッチングとバッティングです。骨が弱い小学生にそれらの過度な反復練習をさせることが、腰を痛める一番の原因になってきます」
押川先生もこう警鐘を鳴らします。
なかでも「腰をまわせ!」という指導が一番の問題なのだと押川先生は言います。
「腰は構造上回りにくく、ひねることで負担が高まります。ですので『腰を回せ』という指示は、腰痛を誘発させます」
子どもは大人に「腰を回せ」と言われると、本来回らない、ひねれない腰を一生懸命に回そう、ひねろうとします。それが腰を痛める原因の一つなのだそうです。
素振りに関しては、「毎日100回振る」など、数多く振ることを目標、日課にしている子は特に注意が必要です。
「素振りもたとえば10回だったら振った後にしっかりと止まれると思いますが、数が多くなると、疲労からバットを振った後にしっかり止まることができず、フォロースルーの後にそのまま振りっぱなしになってしまいます。そうなると『回らない腰』に大きな負担をかけてしまいます」
ピッチャーは下半身に疲れが溜まってくると、それでも強いボールを投げようとして無理に腕を振ろうとすることでフォームのバランスが崩れます。それが肘や肩に負担をかけることになり怪我に繋がります。バッティングの腰も同じということですね。