【成長期に無理は禁物! 急がば回れ】
子どもがちょっとでも「腰が痛い」と訴えてきたら、慎重に見てあげなければいけません。
痛みがある間は、病院での受診はもちろんですが、チームに相談して練習を休ませる、軽めのメニューにしてもらうなどしてもらいましょう。
「主力選手に休まれては困る!」
「大事な大会なのだから休まれるのは困る!」
そういう指導者、保護者もいるかもしれません。しかし、そういった人達は、その子が将来、野球ができなくなってしまっても何の責任もとってくれません。
勇気を持って休むこと、休ませることも必要です。
「選手の実名は出せないのですが」と断ったうえで、押川先生はこんな話をしてくれました。
「高校生の頃に腰椎分離症になってしまい、完治させるために1年近くの期間を費やした選手が、結果として第一線で活躍しているという例を複数聞いています。前述した通り、腰椎分離症を完治させないと、その後の人生で他の腰痛に悩まされる可能性もありますので、選手の将来を見据える場合には完治させるべきだと思います。」
腰が痛くなったタイミングできちんと治療をしたこと。目先のことだけにとらわれず自分の将来を考えることができたこと。チームに理解があったこと。それにより、才能を大きく開花させることができたという好例といえるのではないでしょうか。
果たして、体に痛みがある小学生に無理をさせる必要があるでしょうか?
将来は強豪校に進学したい、甲子園に出たい、プロ野球選手になりたい。
そう思うのであればあるほど、成長期に無理をさせないことが大事です。
急がば回れです。(取材:永松欣也)
押川智貴プロフィール
高校まで選手として、大学時代は学生トレーナーとして野球に携わる。学士・修士・博士(スポーツ科学)の学位を早稲田大学にて取得し、早稲田大学スポーツ科学学術院 助教を経て現職。主な研究テーマは腰痛予防で、野球選手に起こる怪我を予防するための身体機能を解明する研究を行っている。