ニュース 2023.11.01. 11:05

明豊・川崎絢平監督の中学生チェックポイントと野球普及活動

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2021年のセンバツ大会では準優勝、今年の夏も3年連続9度目の甲子園に出場するなど、いまや全国区の強豪校となった明豊高校(大分)。そんなチームを率いる川崎絢平監督に、スカウティングの際に中学生のどんなところを見ているのか、そして地元・別府市で続けている子ども達への野球普及活動などについてお話を伺いました。




【野手は投げ方と走り方】


——スカウティングのお話から伺いたいのですが、中学生を見る際に、意識的に見ているポイントなどはありますか?

ピッチャーはコントロールを注意して見ていますが、野手ではスローイングを見ます。肩が強い、弱いなどもありますが、それ以上に自分の思ったところに投げられているかどうか。理にかなっていない、無理な投げ方をしていないかどうかを見ます。あとは走り方ですね。走るフォームが綺麗かどうかを見ています。いくらバッティングが良くても、投げ方がおかしい、走るフォームがおかしいと「ちょっとどうかな・・・・・・」と思ってしまいます。

——投げ方と走り方を重視する理由は?

高校に入ってからだと直す時間がないからです。入学して3年の夏までは実質2年ちょっとしかないですから、そこをじっくり直している時間がありません。逆にバッティングは高校入学後でも変化していきやすいですから、そこはどうにかなります。でも投げ方と走り方は変わりにくいんです。ですから、中学生を見るときは、バッティングよりも投げ方、走り方を見るようにしています。

——中学野球にも軟式、硬式とありますが、それぞれの一長一短はどんなところにあると思いますか?

硬式出身の子は、1年後にこれくらいになればいいな、2年後にこうなればいいなと、順調に育てば自分の想定内の成長を見せてくれるのですが、軟式出身の子は想定外の成長を見せてくれる可能性を秘めていると思います。良くも悪くも計算ができないのが軟式出身のピッチャーですね。
打つ方に関してはバットの影響もあると思うので、そのバッターが良いのかどうなのか、軟式はちょっと分かりにくい部分があるのは事実です。「その打ち方であんなところまで飛ぶの? 硬式球だったらどうなんだろう?」って、ちょっと判断がつきにくいですね。
守る方でも、軟式の内野手はファーストまでワンバウンド送球することが徹底されているチームもありますが、それだと肘から先だけで小手先でできてしまうんですよね。そうなるとファーストへの強い送球を高校でやり直さないといけなくなります。
(高校で硬式野球を続けるのであれば)ファーストが捕りやすいところにワンバウンドで投げるのではなくて、軟式でもノーバウンドでしっかりスローイングしてもらいたいですね。

【子ども達が「野球が好き!」になる指導を】


——強豪高校でレギュラーを獲りたい、甲子園に出たいと思っている小・中学生は、日々の練習ではどんなことを意識した方がいいですか?

小・中学生の指導をしている方からも「子どもに何をさせればいいですか?」と、よく聞かれるのですが、本人がどうこうよりも、指導者の方にお願いしたいことがあります。それは、子ども達が「野球が楽しい!野球の練習に行きたくて行きたくて仕方がない!」そんなふうに子ども達を野球好きにしてもらいたいということです。やっぱり野球を好きにならないと伸びないと思います。だからこそ、小中学時代は子ども達が「野球が好き!」という気持ちになるような指導をしてもらいたいと思っています。

——具体的な練習の面ではどうでしょうか?

練習面ではやっぱり投げ方、捕り方、打ち方の基本ですよね。高校に入って上積みしていける選手は基本がある選手ですから、まずは基本の反復をしっかりやって欲しいですね。目先のパワーや体格ばかりに目がいって、打ち方がガチャガチャだけどパワーで何とかなるのは中学までです。レベルが上がるとそれでは対応できなくなりますから。

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