ニュース 2023.11.09. 18:47

少子高齢化時代における「野球チームに必要なこと」|少年野球指導者コラム

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中学硬式野球チームでコーチを務める傍ら、全国約8,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」の管理人でもある廣川寿さん(横浜港北ポニーコーチ)の少年野球コラムです。




少子高齢化時代における「野球チームに必要なこと」


今は言わずと知れた「少子高齢化時代」です。
選手が減っているだけでなく、少年野球の業界では「指導者の高齢化」も大きな問題となっています。昔は「若くて"熱血"の高い指導者」のもと、多数の選手が「競争」の中で切磋琢磨することで選手が成長する構造にありました。実はこの「競争構造」は指導者にとっても楽で、あれこれ言わなくても「競争」の中で勝手に選手が成長する側面がありました。競争が激しければ、選手は「言わなくても一生懸命やる」のです。

今はどうでしょう?
少年野球チームはどんどん合併や廃部などによって減少し、「多数の部員による競争」のあるチームはほんのひと握りです。多くのチームは「人数がギリギリ」「人数が足りず、他チームとの合同で試合」といった状況にあります。こうなるとチーム内にはほとんど競争はなく、ほとんどの選手が試合には出ることができます。
最近は最初から「競争が少ない(=試合に出られそう)チーム」を選んで入団する子もいます。こういうチームでは練習中の態度やチーム内の規律にも「甘さ」が出ます。その「甘さ」を戒めようと、指導者ばかりがガミガミと叱責の言葉を繰り返す悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。

そもそもの話ですが、子どもたちは何のために野球をやっているのでしょうか?
保護者の皆さんは何を望んで子どもたちを野球に通わせているのでしょうか?
選手やご家庭ごとに「野球をやる理由」は様々です。目的が違えば行動も違います。「将来はプロ野球選手に!」と本気で思っている選手と、「今が楽しければいい!」という選手の間で練習態度が異なるのは当然のことです。
大所帯で競争の激しいチームでは「競争」の中で選手の「野球に取り組む姿勢」は時間の経過とともに多数決的に揃ってきます。一方で「少数精鋭で質の高い野球を!」は理屈上あり得るのですが、競争が少ない中で選手の意識を高く保ち、高度な技術をキメ細かく指導するチーム運営を実現させるのはとても難しいです。
意識を高く保つために選手に対して厳しくすれば「今が楽しければいい」という選手の離脱を招き、そういう選手が不真面目に練習することを許容すれば「本気で野球やりたい」と思っている選手に対してもその選手だけを厳しく指導するわけにはいかなくなり、チーム全体に甘さが出てしまいます。そうすると「ここではやりたい野球ができない」と主力選手の流出に至るケースもあります。

少人数のチームにおいて、大所帯のチームと同じチーム運営は不可能なのです。
私は「少人数のチーム運営のために指導者に求められること」は3つあると思います。
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