ニュース 2024.03.28. 16:56

【上田西】吉崎琢朗監督の中学生チェックポイント「上半身の使い方」と「振れる」こと

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2021年春、2023年夏に上田西を甲子園出場に導き、昨年はプロの世界にドラフト1位選手も送り出した吉崎琢朗監督。そんな吉崎監督に中学生を見るときのチェックポイントなどについて聞きました。




【中学時代の軟式・硬式は関係ない】


——中学生を見るときにどんなところを意識して見ていますか?

技術的なことでいうと、ピッチャーでもバッターでも上半身の使い方に癖がないかというところを見ます。トップをしっかり作って投げ下ろせているか、振り下ろせているか。

——それは軟式でも硬式でも同じですか?

そうですね。下半身(の使い方)はいくらでも直せるのですが、上半身の使い方は(2年ちょっとの時間しかない)高校野球で直すには時間が足りないんです。

——軟式、硬式の違いは気になりますか?

気になりません。軟式もボールが固くなりましたし軟式特有の(プレーの)癖みたいなものもあまり見られなくなったように思います。今のうちのメンバーも結果的に硬式出身の子が多いですが、硬式、軟式を意識して中学生を見てきたわけではないですしね。

——プロでも活躍している中学軟式出身のピッチャーはたくさんいますが、バッターは苦労しているイメージがあります。軟式出身のバッティングで気になることなどはありますか?

(硬式出身者と比べて)時間は確かにかかります。でもボールの違いは関係なく、単純に振れる子であれば軟式、硬式出身はあまり関係ないですね。

——上田西もそうですが、甲子園を目指すような高校で野球をやろうと思っている全国の中学生たちに、いまのうちからやっておいた方がいいことなどあれば教えてください。

うちのチームカラー的には「自分で考えてやる」ことが身につかないと厳しいと思っています。例えば、バッティング練習を見ていても「いまどういうことを意識しているの?」って聞くと「下半身を使うような意識で打っています」と言うんです。でもそれは「イメージ」の話しなんですよね。そうではなくて「こういう打球を打てるようなりたいから前の足をこれくらい上げて打つようにしています」とか、動き、形をきちんと自分で考えて言語化できるようになって欲しいんです。それができるようになると、「こういう打球を打てるようになりたいと思っているので真横からトスするボールを右手だけで打つようにしています。なのでちょっとトップを広げたいと思って打っています」という会話ができるようになるんですよね。

——そこまで考えて言えるようになると立派ですね。

そうですね。あとは「すり足に変えたの?」と聞くと「追い込まれてからの対応がちょっと弱いので」とか返ってくると、ちゃんと考えてやっているなって思いますよね。
そういった話をするためにも、まず指導者である自分の頭に全選手のバッティングフォームが入っていないといけないと思っています。変わって結果が出たときに「足の上げ方ちょっと変わったな」とか「今の形良かったな」って言ってあげることが大事ですから。そういう部分は数値では見えないことですからね。

——オリックスに1位指名された横山聖哉選手はどうでしたか?

ものすごく考えてやっていましたね。感覚でやりたい選手でもあったと思うんですけど、何か変化を感じたときに話してみると絶対に答えが返ってきていました。フォームもよく変えていましたし、相手ピッチャーが右か左かでも足の上げ方とか変えて考えながら試しながらやっていましたね。

——野球人口が減っている時代ですが、少年野球年代で大事にして欲しいことはありますか?

いまは色んな方針のチームがありますが、それぞれのペースや成長度合いに応じて勝つことを目指してもらいたいですね。勝ち負けが全てではないとはいえ、試合をして勝つことで喜びも生まれると思いますから。野球はやっているけど勝利は目指さないのはもったいないと思います。(聞き手・写真/編集部)
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