最後に行われたのはバッティングのレッスン。数メートル先、天井付近にある的をめがけて置きティーのボールを打ちます。的に当たるとポイントがもらえるゲーム形式で、ここでも二人は交互に打ちながら楽しそうに得点を競いあっていました。前方上部の的をめがけて打つことで、子ども達は自然にゴロやポップフライにならないように注意して打つようになっていました。この練習で菅澤さんが子ども達に指摘していたのは次の3点。
① 構えたときに脇をしめすぎない。
→しめすぎるとリストターン(手首をこねてしまう)してしまう
② トップの位置からボールをコンタクトするまでの間は右の掌がずっと上を向いたままにして振る(左打者の場合は左の掌)
→高学年や中学生クラスになると「バーティカルスイング」の習得を目指したレッスンになるため、スムーズに移行できるよう低学年のうちからトップハンドの掌が上を向いてスイングできるように練習をする。バーティカルスイングとは投球とバットを効率よくコンタクトさせるための理論で、効率よくコンタクトさせることでエネルギーロスを最小限に留めることができるスイング
③ 右肘がしっかりと脇腹につくように振る(左打者の場合は左肘)
→右肘が脇腹についてしっかり曲がった状態でインパクトを迎えられる
「大谷選手もこうやって打っているよ」とタブレットで大谷選手のスイング写真を見せると、子ども達もそれを真似るようにバットを振っていました。
「子どもが100%分からなくても『こうして、こうなって、こうだよ、なぜならば——』と順序立てて説明してあげることで、子ども達も頑張って理解しようとしてくれます。昔は『いいからやれ!』でやっていたじゃないですか? でも今の子達は納得するまでやらないですからね」
現在の少年野球指導者の多くが、「バットは下から出すな」「上から叩け」と指導されてきた世代だと思います。野球塾で学んだバーティカルスイングがチームの指導者から否定されてしまうことはないのでしょうか?それによって子どもが困惑することはないのでしょうか?
「それは『野球塾あるある』ですね(笑)。バーティカルスイングがなぜ良いのか、それは『サイクロイド曲線』というものを用いて物理的に説明できるのですが、でもそれが100パーセント正しいから絶対にやれというつもりはありません。選択肢の一つとして、その子のバッティングの引き出しの一つだと思って指導しています。試合の中ではチームで指導しているダウンスイングが必要な場面もあるかもしれないですから、子どもには『使い分けできるように、どっちもできたらいいよね』と話しています」
確かに強豪高校などではキャッチボールでも試合の中のあらゆる場面を想定して上から投げたり、横から投げたり色んな投げ方しています。色んな投げ方ができるようにする練習があるのであれば、色んな打ち方の練習があってもおかしくはありません。これも子ども達の将来を見据えた指導の一つと言えるのではないでしょうか。
今回は低学年クラスの取材だったため入門技術的なレッスンでしたが、高学年クラス、中学生クラスでは『4スタンス理論」に基づいた、より高度でパーソナルな指導が行われているそうです。詳しくは後編でご紹介いたします。(取材・写真:永松欣也)
【Gate1Field Baseball Labo】
<住所> 神奈川県横浜市青葉区美しが丘5−14−10 ラ・エレガンス2階
<電話番号> 090−6650−5994
<営業時間> 10:00 〜 22:00
<定休日> 日曜・祝日
<HP> https://www.g1f-baseball-labo.com/
<代表・トレーナー>菅澤遼(すがさわりょう)
1984年生まれ 39歳
保有資格
・REASH公認コーチ級トレーナー
・JSBB公認学童コーチ
・U-15&12 BFJ公認野球指導者