【早生まれの子達のことも考えて】
——「強いけどレギュラー固定で戦うチーム、弱いけど全員試合に出れるチーム。野球をやるならどっちの方が良いですか?」という質問が来ることが多いのですが、監督はどう思いますか?
どちらでもなく、理想は「強いけど全員出られるチーム」ですね。私もこの学校に来て二年目の春、地区大会で優勝して長野県大会は準優勝まで行ったことがあるのですが、そのときはキャッチャーだけはキャプテンだったの固定しましたが、大会を通じて毎試合、ほぼ全選手を入れ替えて試合に出したんです。調子が良い、悪いは関係なく。初戦はあなた、二戦目はあなた、という感じで。だからみんな使って勝てるというのが理想だと思います。
——それは最高ですね。それで結果も出たし、選手達は楽しかったでしょうね。
やっぱり野球は楽しくないと。自主練習もそうなのですが(楽しければ)言わなくても(自分で)やると思うんです。いかに選手達の意欲を出させてあげるかというのが指導者として一番重要かなと思うので。だから小学生も中学生も、選手は固定せずにできるだけとっかえひっかえ使ってあげるべきだと思います。だから「全員使って勝つ」ことを目指すべきだと思いますね。
——勝つ、勝たないはさておき全員試合に出してあげることが第一ということですね。
あとは、早稲田大学の後輩の勝亦陽一(東京農業大学准教授)がよく言っていますけど、小中学生時代は早生まれの子達のことも考えてあげて欲しいと思いますね。私は早熟でしたので中1で173センチ、高校入学時点で185センチありましたから中学校まではやっぱり活躍できたんです。逆に1〜3月生まれの子なんかは(生まれが遅いため早く生まれた同級生よりも成長速度が遅いから)、この先中学、高校で伸びる可能性を持っているのに、試合で使って貰えないから「自分に能力がない」と思ってしまう子もいると思うんです。甲子園でもプロでも、4月から夏頃にかけて生まれた選手が圧倒的に多いんですよね。
——それは間違いないですね。以前にここ数年だけでも調べてみましたけど如実にその傾向が表れていました。
だから小学校、中学校くらいまでは、例え今は身体が小さくて上手くできなかったりしても、色んな選手を試合で使ってあげて欲しいですよね。
(取材・写真/ヤキュイク編集部)