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「木製バット」と「バーティカルスイング」にこだわる学童軟式野球クラブ|横浜球友会

毎年70人ほどの子ども達が集まってくる、いつもグラウンドが賑やかな学童軟式野球クラブ『横浜球友会』。今年で結成26年目を迎えるこのチームのこだわりはバッティング。学童野球の現場ではほとんど見られないバーティカルスイングを取り入れ、練習でも公式戦でも使うのは木製バット。そこには一体どんな狙い、考えがあるのでしょうか?


<投球とバットを効率よくコンタクトさせるためのスイング>

「小さい頃から『上から叩け』というバッティング指導を受けていましたが、子どもながらに『おかしいのでは?』と思って、いわゆる『アッパースイング』でずっと打っていました。指導者になってからも『上から叩け』と教えたことはありません。今考えたら『バーティカルスイング』に近いことを早くからやっていましたね(笑)」

チーム立ち上げ以来指導してきた笹木郁男監督はこう話します。

「バーティカル」とは直訳すれば「垂直の」「縦の」という意味。日本ではバットを投球の軌道と並行になるようにスイングするレベルスイング、投球に対してバットを最短距離で捉えるダウンスイングが一般的ですが、それに対して「バーティカルスイング」は、ヘッドの重みを利用して、ヘッドをキャッチャー側に落とすイメージでバットを縦軌道に振る、「縦振り」とも呼ばれているスイング。

「バーティカルスイング」と聞くと、ドジャースの大谷翔平選手をイメージされる方も多いと思いますが、実際メジャーリーグでは大谷選手のチームメイトでもあるフレディ・フリーマン選手やヤンキースのアーロン・ジャッジ選手など、メジャーを代表する多くの選手がこの打ち方でホームランを量産しています。

そのためか、「あれはメジャーリーガーだから打てる打法」「パワーがない選手がやっても無理」と、このスイング理論に否定がちな指導者の声もよく耳にします。つい先日も強豪校の監督が「あの打ち方はパワーがないと無理。やっている選手がいたら止めさせる」と語っている記事もありました。

しかし、笹木監督は「遠くに飛ぶのは結果論」だとしたうえで、このように話します。

「バーティカルスイングの基本は、ホームランを打つための理論ではなく、あくまでも『投球とバットを効率よくコンタクトさせるためのスイング』です」

では、「投球とバットを効率よくコンタクトさせる」とはどういうことなのでしょうか?

「『最短距離でバットを出せ』と指導を受けてきた方も多いと思いますが、この打ち方の場合だと、投球の軌道とバットの軌道がぶつかるミートポイントが点でしかありません。しかし、バーティカルスイングの場合は投球の軌道に早くからバットの面が入ることになるのでミートゾーンを肩幅分くらい長く確保することが出来るようになります。つまりミートポイントが多くなるということです」

その他にも、この打ち方の利点をいくつか挙げてもらいました。

  •  地面反力を得て、骨盤、体幹部、肩、腕の順に回って最後に手が出てくるので、緩急などで崩されても対応出来る。「あっ!」と思ったときにバットを止めることも出来る。
  •  角度のついた面でコンタクトをすることになるので、スピンをかけなくても打球が上がる。
  •  「最短距離でバットを出す」よりも、バーティカルスイングの方がバットの加速度が速くなるため強い打球が打てる。

また、斜め前からのトスバッティングは日本中の多くのグラウンドで行っている練習だと思いますが、横浜球友会では行われていません。それはミートポイントが引っ張る形になり「ミートポイントを長く確保できる」、つまり「奥行き」を使うバーティカルスイングの練習には適さないためです。