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「野球王国神奈川」でプロと中体連、学童野球が協力して野球体験イベント

4月20日(日)に横浜スタジアムで「ハマスタB-PARK」というイベントが行われた。このイベントは野球をしたことがない、見たことがないというような未就学児、小学生を対象に、野球との出会い、接点を作り「投げる・捕る・打つ・走る」などの野球の楽しさを体験してもらおうという取り組み。
この日のイベントに参加した子どもと保護者は合計約3000人。「バッティングチャレンジ」、「ターゲットスロー」、「ボールをつなごうダッシュチャレンジ」など6つのエリアに分かれたチャレンジゲームを楽しんでいた。

今回のイベントが特異なところは、野球に触れてみて、子どもが野球をやってみたい、チームに入ってみたいと思ったときに実際の少年野球チームのスタッフに相談、あるいは入部の申し込みができるところ。そのために神奈川県下のいくつかの学童野球チームも参加し、相談、入部の受付ができるブースが設けられた。
このイベントに横浜DeNAベイスターズと普及振興事業で共働している、野球の競技人口減少などの研究をしている山梨学院大学スポーツ科学部 特任助教の南方隆太さんがその意図をこう話す。
「野球の普及振興活動を行って、多くの人が来てくれて『楽しかったね』で終わっているのが現状で、イベントを行うことのゴールがあやふやなところがありました。それであれば何かしらのゴールをまずは作ってやってみようというのが、今回のイベントの目的の一つです。球団としては野球に触れてもらって、そこから試合観戦に結びつけることもゴールの一つになると思いますが、私個人としては参加してくれた子ども達をどれだけ少年野球チームに繋げることができるかが今回の目標、ゴールだと考えています。今日イベントに参加してくれて『野球って楽しいね』『もっとやってみたいな』と思っていただいたときに『じゃあどうすればいいの?』というところがあると思うので、その場で(次の行動、ステップを)保護者に伝えてあげることが大事だと思います。イベントが終わったあとだと保護者も腰も重くなると思いますから」

実際にイベントに参加した保護者から相談、入部申し込みを受けた学童野球チームの代表はこう話します。
「保護者からの相談では、一番最初に聞かれるのがやっぱり『保護者の負担の部分』でした。その辺のことがやっぱり保護者の方にとっては関心が高いのでしょうね。あとはどんなチーム運営をしているかということを聞かれることが多く、保護者とチームの関わり方、実際にグラウンドではどのようなことをやっているのかであったり、活動場所についてなども聞かれました。(今回のイベントは)改善点もたくさんあると思いますけど、野球を体験してみたい子をチームに繋ぐということにまずはトライしてみて、一定の成果はあったのかなと思います。ブースを出した6チームそれぞれが相談をされたり、実際に入部が決まった子もいましたから、この取り組みを次に繋げていきたいですね」

最後にイベント実行委員の横浜DeNAベイスターズの野球未来創造室野球普及・振興部 地域コミュニティグループリーダーの浦田晃仁さんにお話を聞いた。
「去年までは参加した子ども達に野球に触れてもらうこと、『野球って楽しいよね』と思ってもらうこと、試合を見に来てもらうことを目的にやっていましたが、今回はそこから一歩踏み込んで『野球を始めてもらいたいよね』ということで、学童野球のチームの皆様にもご協力いただいて一緒にやらせて頂きました。野球に触れる機会をまずは創出して、その先にまだ実験的にですけど実際に野球を始める事に繋がるといいなと思っています。
今回は初めての試みでしたが、色々と課題も見えました。野球体験イベントに参加していきなりチームに入るという前に、まだまだステップが必要だなと感じました。では何をしていけばいいかというのは今後改めて考えていきたいと思っています。
今回はハマスタでの開催でしたけど、今後も色んな地域でこのイベントをやっていきたいと思っていますので、その地区の多くの学童野球チームにご協力いただければと思っています」

「B-PARK」はもともとはベイスターズと神奈川中体連が一緒に野球人口を増やそうという目的で始めたもの。大人が野球を教えるよりも、中学生くらいのお兄ちゃんに教えてもらう方が小さな子どもにとっても身近に感じてもらえるだろうし、中体連は中体連で中学の軟式野球にしっかり繋げていきたいという思いもある。そこでお互いに協力して一昨年から一緒に行われているイベント。今回からそこに学童野球チームも加わった。少年野球人口の減少が叫ばれる時代、「野球王国神奈川」の屋台骨を支える地道な活動は今後も続いていく。(取材・写真/ヤキュイク編集部)