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小さな子どもが「ボールを投げる」ということを改めて考えてみる【デキる選手を育てる方法】

【習得レベル:★☆☆☆☆】

甲子園優勝校を追い詰めた元高校野球監督が「お父さんコーチ」になって考えたデキる選手を育てる方法!第5回目の今回は、小さな子どもが「自然に投げ方が良くなっていく」ためのアプローチの一つを紹介しています。野球経験の浅い子や低学年の子たちに理屈で投げ方を教えてもなかなか上手く伝わらないという経験がある方も多いのではないでしょうか?是非参考にしてみてください。


<大きくて軽いボールから始めてみよう>

チームに入ったばかりの野球経験の浅い子や低学年、未就学児の子にとって、最初のハードルは「投げる」という行為です。遊びのなかでたくさん投げてほしいのですが、最近は公園や家の前など、屋外ではなかなか投げられる環境がないことも多く、練習は室内になりがちです。そんな時にやってみてほしいことをまとめてみました。

ハンドボールサイズの少し大きめのボールを投げる

軽いビニールボールのようなものを投げるところから始めると良いと思います。その際に「肩を使って投げる」動作を練習しましょう。肘は使わないで大きく肩を回して投げること。いわゆる円盤投げのような形でも構いません。ただし、無理やり強く投げようとすると痛めてしまいますので、強さよりも大きい動きが大切になります。

野球ボールは直径約7cmですので、指や手首、肘、肩など、多くの部位が動かすことができてしまうため、野球のボールを投げるという行為自体が非常に複雑で難しい動作になります。まずは肘より先をあまり使わずに固定して、肩を回す練習から行うと良いと思います。

ボールを少しずつ小さくする

次はソフトボールくらいのサイズの(こちらも最初は軽量のもの)ボールを投げるようにしてみてください。その際に、先ほどの①の投げ方をしようとする子には「肘を曲げて小指側から出す」ことを伝えると良いでしょう。少し早く腕を振ることができる感覚を掴みましょう。少しずつ内旋外旋の動きが自然と起こるようになります。

野球ボールのサイズを投げてみる

最初から軟式ボールを握るのではなく、ビニールボールやウレタンボールなど少し軽めのボールから始めましょう。より深く肘を曲げて振ることができるようになると思います。

色んなサイズのボールを投げる

上記①〜③までできるようになったら、今度は卓球くらいの小さなサイズのボールを投げてみたり、逆にソフトボールなど少し重いボールを投げてみたり、大小様々な重さのボールを投げるようにすると良いでしょう。そうすることでボールを投げる感覚が良くなると思います。

重いボールを投げるのは筋力を鍛えることが目的ではありません。投げ方や理屈を口で伝えるだけではなく、重さや大きさの違うボールを投げることで、投球動作に関わる筋肉や神経へ刺激をたくさん与えることで、「自然と投げ方が良くなっていく」ことを目的にしています(子どもの肩や肘に負荷をかけすぎないように注意して下さい)。

<豆知識>

少年野球の現場でも「肘を上げろ!」と指導されている方を見かけることがあります。
ですが肘は上げるものではなくて「上がるもの」です。肘を無理やり上げた状態で投げると、無理に負荷がかかってしまい、故障の原因にもなります。

(著:伊豆原真人/企画・編集:ヤキュイク)

伊豆原真人(いずはら・まさと)

野球指導者。高校数学科教員。令和4年12月で神奈川県立川和高校野球部監督を降りて令和5年4月に異動。現在は長男野球部の保護者としてサポートしながら幼小学生〜大学社会人まで幅広く指導中。高2、中1、小3の球児の父親。