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「スタメンなら試合に行くけどベンチなら家族旅行に行く」という保護者【少年野球お悩み相談】

「スタメンなら試合に行くけどベンチなら家族旅行に行く」という保護者

【今回のお悩み相談】
とある少年野球チームの監督をしています。
毎年GWは大会にエントリーをしているのですが、今年は4月初めに5年生のある保護者から「GWの大会、うちの子はスタメンですか?」と聞かれました。質問の意図を聞くと「スタメンじゃないなら家族旅行に行こうと思うので早めに教えて欲しい」と言われました。
「スタメンは今の時点では決まっていません」と答えましたが、内心ちょっとイラッとしてしまいました。

スタメンなら試合に行くけれどベンチなら家族旅行に行くというのは、ちょっと違うのではないかと思ったのです。
うちのチームはそれほど強いわけでもないですが、実力的に7つのポジションが埋まっていて、残り2つのポジションは日替わりという感じで、子ども達をできるだけ順番に使っています。その子もその2つのポジションを争っている一人です。

会社でこのことを同僚に話すと「その親の気持ちも分かる」「レギュラーじゃないなら家族旅行優先でよくない?」などと言われました。私の考え方は古いのでしょうか?
ちなみにその子は「体調が悪い」という理由でGWの試合には来ませんでした。

<ヤキュイクからのアドバイス>

【学童野球監督からのアドバイス】

私のチームではどんなやり取りになるだろうと想定してみると、
「監督、GWは家族旅行に行ってきます」
「了解! 楽しんできて」
で終わります。
もしもそのGWの大会がチームとしても大事な大会で、そのことを保護者も認識していたら、そこに予定は入れようとはしないのかなと思います。
また、2つのポジションは「日替わりで」とありますから、その子に出場機会を与えてあげれば問題は無いのかと思います。
相談者さまの「考え方が古い」というより、保護者との関係性、ルールに問題があるように思います。
同じ少年野球の監督としての見解は、保護者との関係性を見直す、指導指針や理念をしっかり打ち出す必要があると考えます。
何でも話せる環境も良いですが、何でもありではなく、一定のルールも必要ではないでしょうか?

【元高校野球監督&現小中高球児の保護者からのアドバイス】

この件でのポイントは、
①学童野球におけるチームの方針を指導者側は説明しているか?保護者側は理解しているか?
②そもそも本人の意向はどうなのか?

という点にあるかと思います。
①について
指導者側としては、単に技術指導をするだけではなく野球を通じて社会性を学ばせたいと思っていて、そのひとつにとして、「団体競技を通じて組織の在り方や他者との関わり方」を重要視しますね。考え方としてはとても大切なので、間違ってはいないと思いますが、それが果たして保護者にまで浸透しているでしょうか?
・入団の際に方針や条件などは説明はしているか?
・年間の予定や月間予定などを予め伝えているか?
・旅行や塾など、様々な家庭の状況について、指導者側と相談できる雰囲気はあるか?

もちろん、いきなり初めから全てを説明することはできないかもしれませんが、小学生は自分の予定を自分で決めることはできません。選手への説明も大切ですが、同じかそれ以上に保護者とのコミュニケーションは大切だと思います。

また、保護者側にも問題はあります。家族旅行に行くことが問題なのではなく、
・スタメンかどうかという価値観でしか見ていない(先発メンバーにしろ、そうしないとチームには参加しないぞ、と指導者を揺さぶっているようにも聞こえる)
・指導者に相談ではなく一方的な印象

この保護者がどのような考え方で指導者に話をしたのかは文章だけではわかりませんが、
GW全てが大会で埋まるのか?
GW前半が大会なら後半は空くのか?
いつなら両立できそうか?
など、もっと指導者側と相談できる余地があるはずです。チームで活動しているということは、自分の知らないところで子どもが様々な体験や経験、サポートを指導者陣や他の保護者から頂いているはずです。自分の考えだけでなく、至らない点を指導者と相談して共にチームを盛り上げていくことへの配慮が必要だと思います。

そして、何より大切なのは、
②選手本人がどうしたいのか?ではないでしょうか。本人が大会に参加したいのであれば、それが一番だと思います。本人の意思を育むことが何より大切な指導です。

この件についてはどちらが正しいとか間違っているということではないと思います。
昔と違い、共働きが普通となったことで平日の家族の時間が圧倒的に少なくなっていますので、現在の状況を踏まえながら最適解を探していくことが必要です。
指導者側も保護者側も、お互いをきちんと理解してもらうために普段からしっかりと話ができる環境を作りましょう。

私はチーム毎に方針が色々あって良いと思っています。ガンガン野球をやるチームも、野球以外の時間を優先して良いチームも、野球も両方大切にできるように配慮するチームも、それぞれに良さがあると思います。それぞれに大切な方針です。
それをきちんと公言し実行する指導者と、想いをキチンと理解して選手をサポートする保護者の両方がいることで、選手が幸せになるということを忘れないようにしたいですね。

【学童野球監督からのアドバイス】

チーム、またはチームスタッフの方は「ベンチ(リザーブ)メンバーも大切」という考えなのだと思いますが、その子の保護者には、それが伝わっていない状況なのではないでしょうか?
2つのポジションを争っている他の子や、試合によく出場するであろう7人の子またそのご家族の方には、その考えは伝わっているのでしょうか?
チームとしてその考えが伝わっている状態であれば、今回の問い合わせはあまり気にすることはないと思います。

ただ、小学生のスポーツにおいて、リザーブメンバーの大切さや価値を教える・伝えるのはとても大変なことではあります。ましてや「7つのポジションが埋まっている」状態のチームでは更に難易度が上がります。この7人の子ども・家族はその立場・役割を経験することがあまりない状態で、それを教えなければならないからです。
「考えが古いのでしょうか?」という問いに対しては「NO」だと思います。古いとされる考え方も、新しいとされる考え方も、考え方の時点では正解・不正解はないと思います。(もちろん一般的な常識の範囲内で)
その組織・チームでその考え方・方針を適切に周知し、その考え方に沿って指導を行っていくことが大切なのではないかなと思います。

【中学硬式野球監督からのアドバイス】

これはシンプルにチームの方針がちゃんと保護者に伝わっていないのだと思います。
もちろん、保護者の方もスタメンだろうがなんだろうが旅行に行けばいいのに、そういう事を言わせてしまう曖昧な状況なのではないでしょうか?
レギュラーの子が「家族旅行に行きます」と言ってきたらどうするか? その解を持っておいた方が良いですね。今の保護者のニーズは多様化してるので、想定の幅を広げておかないといけないと思います。
会社の同僚の感覚とその保護者が同じだというのがむしろ答えではないでしょうか?
古い考えがいいとか悪いではなく、古い考えを言語化して、入部してくれた家庭とエンゲージメントしないといけないという事だと思います。
古いなら古いで「休みは原則無し」「大会は必ず参加」とか、チームの方針を明文化した方が良いのかもしれないですね。

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