復活に燃える左腕
史上初となるFAでの3選手獲得など、このオフを大いに盛り上げた巨人。V奪還へ向けてたのしみな陣容を揃えたが、注目すべき選手は新加入選手だけではない。
今季の復活に燃えるのが、左腕の山口鉄也だ。かつては絶対的なリリーフエースとして存在感を発揮していたが、昨季は勝負所で不安定さを露呈。2008年から続ける60試合以上の登板はクリアしたものの、防御率4.88は自己ワーストの数字となってしまった。
今年が3年契約の3年目...。リリーフ左腕・森福允彦の加入という刺激も力に、逆襲への思いは強い。
アメリカ、育成を経た苦労人
巨人入団は2005年、育成ドラフト1巡目で指名を受け、最初は育成選手だった。
実は横浜商高を卒業後、ダイヤモンドバックスと契約を結んで渡米した過去がある山口。そこから4年間マイナー暮らしを送るも、メジャーはおろか1Aに昇格することもできず、まさに失意の帰国を経験。それでも巨人の入団テストに合格し、同年初開催となった育成ドラフトの1巡目で巨人から指名を受けたのだった。
困難を乗り越えた男は2007年に一軍デビュー。上でも触れたように2008年から昨年まで9年連続で60試合以上に登板するなど、あれよあれよと言う間に球界を代表するリリーフ左腕となった。
10年のキャリアで624試合に登板し、積み上げたホールド数は270個。2位の宮西尚生(日本ハム)に38個の差をつける日本記録である。山口の年度別成績は以下のとおりだ。
【山口鉄也・年度別成績】
2007年:32試 2勝0敗2HLD 防3.91
2008年:67試 11勝2敗23HLD 防2.32
2009年:73試 9勝1敗35HLD 防1.27
2010年:73試 8勝3敗20HLD 防3.05
2011年:60試 5勝1敗25HLD 防1.75
2012年:72試 3勝2敗44HLD 防0.84
2013年:64試 4勝3敗38HLD 防1.22
2014年:60試 4勝3敗35HLD 防3.04
2015年:60試 4勝5敗29HLD 防2.73
2016年:63試 1勝6敗19HLD 防4.88
―――
通 算:624試 51勝26敗270HLD 防2.30
順調なキャリアを歩んできた左腕だが、ここ2年ほどは勤続疲労を指摘する声も挙がるようになってきた。
これまでの功績だけでも計り知れないものがあるが、まだ33歳。まだまだ老け込む年ではない。ここらでひと叩きムチを入れ、登板数も通算ホールド数も伸ばしていってほしいところだ。
大型補強が注目を集めた巨人だが、だからこそ逆襲を期す生え抜き選手にも期待したい。