ニュース 2017.01.19. 15:00

松坂、涌井、雄星…西武「高卒ドラ1投手」の系譜

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西武・今井達也(写真は17年新人合同自主トレ時)

西武「高卒ドラ1」の系譜


 エース・岸孝之が抜けた西武に、新たな希望の光が差し込んだ。

 2月1日のキャンプインを前に西武第二球場で行われている新人合同自主トレで、ドラフト1位・今井達也の評価がうなぎ登り。鈴木葉留彦球団本部長に「センスが良い。西口(文也/二軍コーチ)と岸(孝之/現楽天)の長所をミックスしたような」と言わしめた逸材は、2010年の菊池雄星以来となるキャンプ一軍スタートも現実味を帯びている。

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 近年の西武といえば、松坂大輔から涌井秀章、そして菊池雄星と、期待の高卒ドラ1投手がしっかりとエースの系譜に名を連ねるケースが多くなっている。

 1998年入団の松坂以降、ドラフト1位で入団した高卒投手は今井を含めて6名(※高校/大社の分離ドラフト時代は除く)。今回は高卒ドラ1入団の“先輩”たちがその後どうなっていったのかを探ってみよう。

▼ 松坂以降の「高卒・ドラ1投手」
・今井達也(2016年/単独)
・高橋光成(2014年/単独)
・菊池雄星(2009年/6球団競合)
・中崎雄太(2008年/単独)
・涌井秀章(2004年/単独)
・松坂大輔(1998年/3球団競合)
※分離ドラフトを除く


横浜高出身・背番号「18」


 まずは言わずと知れた“平成の怪物”こと松坂大輔。甲子園春夏連覇右腕という看板を引っさげ、プロへと乗り込んだ。

 キャンプでは連日ファンとマスコミが押しかける“松坂フィーバー”。そんな中でも自分を見失わず、開幕一軍入りを果たすと4月7日の日本ハム戦でプロ初登板・初勝利の鮮烈デビュー。なんと1年目から16勝を挙げ、最多勝にベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得し、文句なしの新人王に輝いた。

 それから西武在籍8年で108勝を積み上げ、かねてからの夢であったメジャーへの挑戦を決断。現在はソフトバンクで故障からの復活を
目指し戦っている。


 そんな松坂の後を受け継いだのが、同じ横浜高出身の右腕・涌井秀章だった。

 こちらもキャンプを一軍でスタートすると、当時の伊東勤監督から開幕ローテーションの一角に抜擢される。ただし、プロ初登板となった3月29日の日本ハム戦では3回途中7失点のほろ苦デビュー。結局、シーズン通して1勝(6敗)しか挙げることができなかった。

 それでも、2年目に12勝(8敗)を挙げてブレイクすると、2007年と2009年に最多勝を獲得。2012年からはリリーフに回ることが多くなったが、FAでロッテに移籍してからは2015年に3度目の最多勝に輝くなど、エースとして復活を遂げている。


苦しんだ左腕の2人


 一方で、うまく流れに乗ることができなかった投手もいる。2008年のドラフト1位・中崎雄太だ。

 単独指名に成功した際、当時の指揮官である渡辺久信氏から「ローテーションを10年くらい張ってくれるような投手になってほしい」と言われ、期待を受けた逸材であったが、プロ入りから4年間は一軍登板なし。2013年にようやく一軍デビューを果たすも、7試合で勝ち負けなし、防御率9.31と結果を残すことができなかった。

 その後も血行障害などにも悩まされ、2016年からはサイドスローにも挑戦。投球後に画面から“消える”投手として話題になったが、この年も8試合・6イニングの登板に留まり、オフに自由契約となった。

 一軍通算15試合で、白星も黒星もないまま戦力外という厳しい現実。NPBには残ることができなかったが、今季はBCリーグに新規参入する栃木ゴールデンブレーブスで選手兼コーチとしてプレーすることが決まった。


 そんな中崎の翌年、2009年にドラフト1位で入団したのが菊池雄星である。メジャー行きも考えていた超高校級左腕に対し、6球団から指名が集中。これを渡辺久信監督(当時)が見事に引き当てた。

 大きな期待を受けてキャンプも一軍メンバーに入ったが、5月に左肩を故障。以降、一・二軍ともに菊池がマウンドに登ることはなかった。

 その後も故障グセは抜けず、2年目の2011年に一軍デビューを果たすも、なかなか一軍定着とは行かない日々。そんな中で迎えた昨季、結婚を機に快進撃を見せ、自身初の2ケタ勝利(12勝)を記録。はじめて規定投球回にも到達した。回り道こそしたが、今季は新エースとしてさらなる活躍に期待がかかる。


西武の未来を背負う逸材


 最後は2014年のドラフト1位・高橋光成。高校2年時に全国制覇を成し遂げた男は、キャンプは二軍からのスタート。じっくり育てる方針の下で歩みを始めたが、8月には早くも一軍デビューを果たした。

 初登板こそ敗れたものの、プロ2戦目のオリックス戦から破竹の5連勝。デビュー月に月間MVP獲得という偉業を成し遂げ、18歳6カ月での受賞は“先輩”松坂大輔の18歳10カ月を抜く月間MVPの最年少記録となった。

 飛躍に期待がかかった昨季は、22試合の登板で4勝11敗と大きく負け越し。悔しい一年を終え、リベンジに燃える思いは“丸刈り”の頭にも現れている。「岸さんが抜けて、チャンスはいっぱいある。そのチャンスをものにして、良い年にしたい」。ハタチの右腕は、「今年はやります」と力強く言い切った。


西武の「高卒ドラ1投手」


・松坂大輔
[1年目] 25試(180回) 16勝5敗 奪三振151 防2.60
[通算] 205試(1403回2/3) 108勝60敗 奪三振1357 防2.96
※日本のみの通算

・涌井秀章
[1年目] 13試(55回1/3) 1勝6敗 奪三振57 防7.32
[通算] 352試(1903回) 118勝101敗 奪三振1387 防3.40

・中崎雄太
[1年目] 一軍登板なし
[通算] 15試(15回2/3) 0勝0敗 奪三振6 防8.04

・菊池雄星
[1年目] 一軍登板なし
[通算] 109試(659回1/3) 43勝36敗 奪三振533 防2.92

・高橋光成
[1年目] 8試(44回) 5勝2敗 奪三振22 防3.07
[通算] 30試(162回) 9勝13敗 奪三振111 防4.06