「スポーツ人間模様」 ~日本ハム・大谷翔平~
2016年プロ野球界の主役といえば、やはり大谷の名前を避けては通れないだろう。今年もWBCからはじまりシーズン終了まで、どれだけの伝説を作ってくれるのか。いまから楽しみでならない。
12月に行った契約交渉では、2億7000万円でサイン。本人の口から柔和な表情で「2億7000万円」と告げられた時には、“安い”と感じた方も多かったのではないでしょうか。
しかし、チームのバランスを考えると、トップの中田翔が2億8000万円ですから、それを上回ることは事実上不可能。そうはいっても高卒5年目で、あのダルビッシュ有と並ぶ史上最高額です。
さらにその日、話題を集めたのは、早ければ2017年オフにはポスティングシステムを利用したメジャー挑戦を容認されたことです。高校を卒業してからプロ入りするまでの経緯、その後の二刀流での活躍ぶり。ここまで、すべてうまく動いています。
今年も活躍して、大変な争奪戦になってメジャーリーグへということになると、日本の野球界にはぽっかり穴が開くことになりますが、メジャーでどのくらいのピッチングをするか、二刀流がはたしてあるのかどうか、非常に興味深いところです。
なお、ポスティングの現行システムでは、入札上限が2000万ドル(約22億8,000万円)と定められています。ポスティングでの最高額は、2011年のレンジャーズがダルビッシュを落札した際の5170万ドル(当時約40億3,300万円)。次いで2006年にレッドソックスへと移籍した松坂大輔が5111万ドルでした。
日本のプロ野球は大きく変わってきており、近年では選手の年俸を抑え、自前のスターを作ることがトレンドになっています。その先駆けが日本ハム。北海道へ移転した2004年に1億円を投じ、さまざまな角度から保有する選手の能力や、現在の地位などを数値化した「ベースボール・オペレーション・システム」を導入しています。
もし大谷が移籍しても、次の選手へ活躍のチャンスを与える。今オフ、FAとなる陽岱鋼を無理に引き止めなかったのも、そんな事情があればこそ。これまで我々が気づいていなかったすごい選手が、日本ハムから新たに出てくる可能性が十分あるということです。
今回の“移籍容認”については、メジャー側でも話題になっています。ただし、打者限定の選択肢はなし。「投手オンリー」か、もしくは「野手+セットアッパー」の2通りだと言われています。最大の魅力は、何といっても160キロ以上のストレートを投げることですから。二刀流の実現は、あくまで交渉しだいです。
どうなるのか分かりませんが、今年の大谷は「タイトルはすべて獲りたい」と意欲を燃やしているとのこと。今年も漫画みたいな野球を実現してくれるでしょうか。たのしみです。