ニュース 2017.01.26. 18:30

あの悔しさを糧に…託された13名の新・侍投手陣

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カギを握る、“継投”のタイミング

注目の抑えは...


 1月24日、WBCに挑む侍ジャパンの代表メンバー27名が発表された。

 内定者の中から1名辞退が出たため、登録枠には空きがひとつある状態。ただし、小久保裕紀監督は「野手で考えています」とコメントしているため、投手は発表された13名で確定と考えて良いだろう。

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 今回はダルビッシュ有や田中将大、前田健太といったメジャー組が参加できず、いわゆる“国内組”だけの13名。起用法については、「先発は4枚」と明言しており、大谷翔平(日本ハム)、菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)、石川歩(ロッテ)の4人の名前を挙げた。

 また、直近の課題となっている抑えについて聞かれると、松井裕樹(楽天)と初選出の平野佳寿(オリックス)という2人を挙げたものの、「経験で言ったらこの2人になると思うんですけど、その時の状態のいい投手を使っていく」とし、明言は避けている。


今回の代表における特徴とは...


 ここで、今回代表に入った13名の投手を見てみよう。

【侍ジャパン・投手】
10 松井裕樹(楽天)※
11 菅野智之(巨人)
12 秋吉 亮(ヤクルト)
14 則本昂大(楽天)
15 宮西尚生(日本ハム)※
16 大谷翔平(日本ハム)
17 藤浪晋太郎(阪神)
19 増井浩俊(日本ハム)
20 石川 歩(ロッテ)
34 岡田俊哉(中日)※
35 牧田和久(西武)
41 千賀滉大(ソフトバンク)
66 平野佳寿(オリックス)
[※は左投手]


 メンバーを見てみると、中継ぎを主戦場とする選手が半数を超える7名入っている(※増井も含む)。

 また、先発候補として名前が挙がった4名と、第2先発要員が予想される藤浪、千賀は全員右投手。左投手は3名選出され、松井、宮西、岡田といずれもリリーフを専門とする投手となっている。


比較してみると...?


 リリーフの方が多いというメンバー構成は、今回の投手人選における最大の特徴だろう。

 昨季は先発として活躍を見せた増井や、千賀や牧田のようなどちらでも行ける“先中タイプ”が多いというのはひとつ言えそうだが、これまでの代表ではバリバリの先発投手が第2先発、あるいは中継ぎに回るというのも珍しくなかったように思う。


 では、前回大会のメンバーと比較してみよう。山本浩二監督が率いた2013年の第3回WBCでは、投手が13名選ばれたうち、リリーフが本職の投手はなんと3人だけ。実に10人が先発投手であった。メンバーは以下の通り。

【第3回WBC・投手陣】
11 涌井秀章(西武)
14 能見篤史(阪神)※
15 沢村拓一(巨人)
16 今村 猛(広島)
17 田中将大(楽天)
18 杉内俊哉(巨人)※
20 前田健太(広島)
21 森福允彦(ソフトバンク)※
26 内海哲也(巨人)※
28 大隣憲司(ソフトバンク)※
35 牧田和久(西武)
47 山口鉄也(巨人)※
50 摂津 正(ソフトバンク)


 当時から本職リリーフだったのは、今村と森福、そして巨人の山口の3人。涌井はこの前年に抑えを務めていたが、それまではご存知の通り生粋の先発投手であった。


 また、2015年秋に開催された「プレミア12」も同様。当時のメンバーは以下の通り。
 
【プレミア12・投手陣】
10 松井裕樹(楽天)※
11 菅野智之(巨人)
14 則本昂大(楽天)
15 沢村拓一(巨人)
16 大谷翔平(日本ハム)
18 前田健太(広島)
19 増井浩俊(日本ハム)
21 西 勇輝(オリックス)
22 大野雄大(中日)※
24 山崎康晃(DeNA)
29 小川泰弘(ヤクルト)
30 武田翔太(ソフトバンク)
35 牧田和久(西武)


 この時も、本職リリーフは松井と沢村、山崎康、増井の4人だけ。WBCから1人は増えているものの、則本や西、大野といったところを第2先発兼中継ぎのように起用していた。

 そしてその結果、あの悪夢が生まれる...。準決勝の韓国戦。3-0とリードし、あとアウト3つで決勝進出というところから、まさかの4失点で逆転負けを喫した。あの悔しさは小久保監督の脳裏にも焼き付いていることだろう。


いつ、どこで、どのカードを切るか


 苦い経験を糧に、今回は投手陣の比重をリリーフ寄りに傾けた小久保監督。ただし、もちろん数だけ揃えればいいというわけではない。

 今大会に関しては未だ公式なアナウンスがないが、例年通りならば球数制限や連投制限といった問題が立ちはだかってくるWBC。それだけに、“継投”が試合を左右する大きな要素となることは間違いない。


 ちなみに、今回のチームで投手コーチは権藤博氏ただ1人。ブルペンはバッテリーコーチの村田善則氏が担当することになっているという。

 「その時、状態のいい投手を...」。小久保監督の采配が、侍の命運を握っていると言っても過言ではない。