どうなる?「大谷とWBC」
球春到来直後の球界に激震が走った。
日本ハム・大谷翔平が、投手としてのWBC参戦を断念。抱えていた右足首の不安からくる調整不足によるもので、本人も悔しさをにじませた。
まずは状況を整理してみよう。
投手として侍ジャパンメンバーに選ばれていた大谷翔平であったが、故障による調整の遅れから投手としての出場を辞退する旨を発表した。
故障は「昨年の日本シリーズで走塁中に右足首を痛め、11月の日本代表の強化試合で悪化」(2/1・共同通信)したもので、最悪の場合は手術の可能性もあるということが報じられている。
期待度が高かっただけにがっかりするファンは多く、その一方で“日本の宝”に無理はさせられないとするファンも...。擁護派とがっかり派のような棲み分けが徐々にできつつある中、ある動画が注目を集めた。
それはこのオフに行われたダルビッシュとの自主トレ風景。そこにはキックボクシングに挑戦し、ミットへ向かって右足を打ち付ける大谷の姿が...。
“先輩”の見解は...
ちょうど箇所が箇所だっただけに、この騒動はダルビッシュの元にも飛び火する。
ファンからキックボクシングが辞退に至るまでの一因になったのではないかと言われていることを教えてもらうと、「あれは正月で身体の状態もかなりいい感じでしたよ(^^)」と返答。「しかもそのあと1月下旬まで鎌ヶ谷で調子良さそうに走ったりしている動画を確認していますし。 もしあれで痛めていたら年始から走れていないはずですね」とケガとの関連を否定した。
その後もファンと多くのやり取りを重ねたが、ダルビッシュは使う筋肉の箇所や強度の違いを挙げながら、「日本シリーズで軽く痛めたのが強化試合でも痛く、オフに入り良くなってきていたが1月下旬の強度を上げてきたときにまた痛くなったということでは?」と結論付けている。
大谷や日本ハム側が故障のキッカケとなった日本シリーズでのプレーを挙げていたため、そんな状態でキックボクシングなどとは何事だと思ったファンも多かったことだろう。
しかし、ダルビッシュの言い分としては「普通に本人の状態が悪ければやらせるわけないでしょう(^^;」。「しかもメニューの一つではなくあくまでやりたければどうぞ的な感じ」であったことも明かしている。
いつしか議論は「狼探し」の方にすり替わっていったが、大谷本人も、球団も、そしてダルビッシュも、誰も嘘はついていないということだ。
指揮官の決断は...?
もはや投手だけでなく、出場辞退すら考えられるという厳しい状況も報じられており、何よりも頭を痛めているのは侍ジャパンだろう。
今回の「辞退」は、日本ハム側からの発表によって明らかにされた。侍ジャパンを率いる小久保裕紀監督は「突然のそういう発表ということなので、詳細はまったく把握していない」(2/1・スポニチ)と驚きを隠せず、NPBエンタープライズの今村司社長も「どういう形でNPBに日本ハムから話があったのか、どういう形で日本ハム側が本日話をしたのかも含めて、状況を把握しないといけない」(同)と戸惑いを見せたという。
日本ハムがアメリカでキャンプを張っているという事情から物理的な距離はあるものの、双方の理解の一致無くして辞退のような大きな決断を下せるものなのか...。違和感や怒りを露わにするファンも多くいたが、起きてしまったことはどうしようもない。
多くの不安を露呈したこの騒動。小久保監督がここからどうやってチームをまとめ、導いていくのか。大谷の今後も含め、指揮官の決断に注目が集まる。