春季キャンプってつらいの?
2月1日の“球春到来”から、早いもので2週間が経とうとしている。
徐々に実戦のフェーズに突入している春季キャンプであるが、テレビやインターネットでの中継を見ていると、意外と選手たちに笑顔が多いのが印象的だった。
「もしかして、それほどキツイ練習ではないのでは...?」。そんな疑問を持ったファンの方も少なくないのではないか。やはり実際に動いている選手でなければ、そのつらさは分からない。
というわけで今回は、OBの増渕竜義氏に春季キャンプのことを振り返ってもらった。
体力的なつらさはないが...
率直に言って、春季キャンプの練習自体はさほどきつくはありません。オフの期間に自主トレをしっかりやっていれば、そうつらいものではないです。
春季キャンプというのは、主にオープン戦やシーズン開幕に向けた準備期間です。なので、シーズン終了後に行われる秋季キャンプと比べると、体の追い込み方は3分の1程度かなと。秋季キャンプは、それが終わればオフが待っているので、まさに「地獄」です。まるで高校時代の夏合宿のような、プロといえどもかなり過酷な日々を過ごします。
また、春季キャンプと自主トレの大きな違いをあげると、自主トレはキャンプに入るための体づくりや、個人の課題克服期間というのが適切でしょうか。一方の春季キャンプは、個人と言うよりもチーム全体での練習や実戦的な練習、または確認作業となるのがほとんどです。
しかし、これはほとんどの選手が同じように感じていると思いますが、キャンプの初日だけは“疲れ”を感じるのです。
いよいよ始まったという緊張感に加え、首脳陣とライバルたちを前にしてモチベーションも上がっている分、無意識のうちに頑張っているんですね。
初日の夜は筋肉痛が発生してしまうくらい、どっと疲れます。報道陣も多いですし、注目度も高い。そんな独特の雰囲気の中で練習をするという“つらさ”はひとつ挙げられます。
ちなみに、私は春季キャンプでつらかったという思い出は特にありません。もし強いて挙げるとしたら、約1カ月も地元を離れることになるので、家族や恋人、友人らと気軽に会えないという事でしょうか。
実際に、「家族に会えないから辛いよ」と嘆いている選手は珍しくはなかったです。慣れ親しんだ家を離れてのホテル暮らしとなるだけに、気苦労も多いのです。
まとめると、肉体的・体力的なつらさはさほどないものの、精神的にはキツイ部分がある。これが春季キャンプの“つらさ”だと思います。